ストラテジー
2021.09.30

強い意志で実行する「経営計画2021」

強い意志で実行する「経営計画2021」

「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変える」というアステラスのVISIONの実現を目指すべく策定された「経営計画2021」は、2025年までの5カ年で、これまで構築してきた基盤を確実に成果へと結びつけることを最重要課題としています。アステラスの強みを最大限に活かしてこの経営計画を牽引する想いを、代表取締役社長CEOの安川健司が語ります。

 

「経営計画2018」では、従来のビジネスモデルからの脱却を実現

「経営計画2021」は、代表取締役に就任した際に発表した「経営計画2018」の3年間で築き上げた基盤を発展させ、確実に成果へと結びつけることを最重要課題としています。「経営計画2018」は、2010年代を通じて構想を練り、実現性を検討してきた新規ビジネスモデルへの大きな転換点でした。

2011年、当時製品戦略部長として当社の10年予想を立てた際、研究開発の生産性低下に大きな危機感を抱き、比較的狭い疾患領域で継続的に新薬を生みだすビジネスモデルへの限界を感じました。創薬には長い年月がかかり、発売中の医薬品はいずれ特許権が満了します。手遅れにならないうちに、当時の主力であった泌尿器、免疫、がんなどの特定の疾患領域に狙いをつけたビジネスモデルからの脱却を目指し、早急に改革を進める必要があったのです。

そのような状況で考え出したのが、「Focus Area アプローチ」です。疾患領域を決めて研究開発を始めるのではなく、まずは疾患の原因との関係が明らかで、我々が使いこなせる創薬ターゲット(バイオロジー)を見つけます。そのターゲットは、特定のたんぱく質、酵素でもあり、もしくは細胞や遺伝子かもしれません。そして、そのターゲットを修復、制御するために最適な治療手段(モダリティ)を選びます。このバイオロジーとモダリティからもっとも有効性の発揮が期待される疾患、それも15年~20年後にもアンメットメディカルニーズ(満たされない医療ニーズ)が高く、臨床開発の実効性も加味して創薬に取り組もうというアプローチです。アステラスは2015年頃から漸次Focus Areaアプローチへの経営資源配分を積み増してきました。

「経営計画2018」では、このモデルを前面に掲げ、経営資源を優先的に投入して研究開発を行ってきました。2020年までの3年間で進めてきた活動は、将来に渡り科学の進歩を革新的な治療法に変え、患者さんにとって真に価値のある製品を提供し続けるための正しい道であったと確信しています。

「経営計画2018」の振り返りはこちらをご覧ください。

 

確実な成果を目指し、実行する「経営計画2021」

確実な成果を目指し、実行する「経営計画2021」

これまで構築してきた基盤を引継ぎ、発展させた「経営計画2021」では、2025年までに着実な成長を実現し、成果へと結びつけることができるよう3種類の目標を掲げています。

「戦略目標」は、私たちが業務を進めていく上での優先事項を明確に示し、私たちの活動や選択の方向性をそろえるために設定されています。また、「組織健全性目標」は、私たちが戦略を実行して確実に成功を目指し、イノベーションを創造し続けられるような職場環境を構築するために設定されています。「成果目標」は、特に企業価値の向上に注目しながら、「経営計画2021」を実行していくことで上げられる業績面での成果を示すよう設定されています。
 

確実な成果を目指し、実行する「経営計画2021」

3つの目標の詳細についてはこちらをご覧ください。
 

アステラスの強みを活かし着実に前進

「経営計画2021」で掲げた目標を達成するには、社内の各部門が総力を挙げて目標に向かいまい進することが必要です。部門ごとにさまざまな改革が行われていますが、ここでは、研究、開発、製薬技術、営業、人事の取り組みを紹介します。

研究においては「自社の研究所に閉じこもって、内部で施策を講じているばかりでは世界においていかれる」という考えの下、最先端の科学(Best Science)が見出される場へ自ら赴き、世界のトップを走る人たち(Best Talent)と、最適な環境(Best Place)で研究活動を展開する「3B戦略」で革新的な新薬の創出に取り組んでいます。また、最近バイオベンチャー企業をモデルにした機動的な創薬オペレーション体制を整えつつあります。つまり、薬理、薬物動態、安全性といった研究機能毎にグループを作るのではなく、創薬研究を実施するにあたり着目するバイオロジーまたはモダリティ・テクノロジーごとにグループを作っています。それらの研究において強みを持つメンバーが集い、いち早く有望な新薬候補を次の研究・臨床段階へ進められる自律的かつ柔軟な組織を作っていきます。

臨床試験の計画や戦略を立案・実行し、薬事当局と議論の上で製品化につなげる開発では、日・米・欧・アジアのグローバル同時開発でプロジェクトの効率化・スピードアップを図っています。また、開発中の薬剤において、どのような製品性能・特性を目指すかについては、各国の薬事当局からの要求に合うデータを取得するだけでなく、患者団体への意見聴取や調査を実施し、患者さんの治療にあたり、重要となるQOL(生活の質)データも取得していきます。さらに、患者さんの治療フローや、服薬状況などのリアルワールドデータを収集し、その情報を基にした適応症の検討や、最適な剤形の選択といった、患者さん目線を取り入れた開発も行っています。

非臨床・臨床試験用から、実際に販売する医薬品までをつくる製薬技術においては、細胞医療や遺伝子治療を始め、求められる全てのモダリティに対応できるよう、自社内で独自の技術を蓄積してきました。2021年9月現在、日本の焼津技術センター内に、抗体医薬品の無菌製剤の製造ラインを新設しています。米国においては、細胞医療プログラムの研究開発から商業用生産に対応可能な新施設が2020年に完成し、稼働しています。また、遺伝子治療プログラムの臨床試験から商業用までの原薬を供給するための大規模工場を建設中で、近年稼働開始予定です。

営業については、重点戦略製品の戦略立案・遂行能力を強化するために、2019年にこれまで地域独立型だった営業体制を改革し、グローバル製品を統括するリーダーの下で一貫性のある製品戦略を策定・実行する体制を整えました。彼らのリーダーシップにより、主要市場のニーズをより的確に製品に反映することが可能となり、メディカル・開発部門との連携も強化しています。

最後に、人事です。私たちのモットーである適所適材を実現するため、組織全体において、グローバルでの業務を担う一定以上のポジションに、国籍、性別、年齢を問わず最も適していると思われる人材を登用します。全従業員が興味のあるポジションに立候補することができ、より広い視野から自身のキャリアを考えることが可能です。

 

パートナーシップを効果的に実現するグローバルネットワークと「目利き力」

アステラスでは、イノベーションを創出し、アンメットメディカルニーズを満たすために、社外の優れたケイパビリティを積極的に取り入れる機会を探索しています。

私たちは、単に事業規模拡大を目的とした提携や買収を行うことはありません。まず、注力している研究開発領域において、上市するまでのステップを考えた際に、自分たちにどのようなケイパビリティが足りていないのかを考察します。そして欠けている、あるいは目標レベルに到達していないケイパビリティを補うために、内部の成長を待つか、社外から補えるかを検討します。社外に、私たちが補うべき資産や能力、人材を有しているパートナーが見つかった場合、提携や買収を実施しています。

パートナーシップにおいては、日本、米国、欧州に拠点を置き、さまざまな研究機関との幅広いネットワークを構築し、優秀なパートナーとの戦略的かつ柔軟な提携を実現するための体制を整えています。また、長年の経験に基づいた「目利き力」もアステラスの強みです。
 

パートナーシップを効果的に実現するグローバルネットワークと「目利き力」


特に細胞医療や遺伝子治療は、複雑なモダリティであるため、技術面や品質面で、まだ多くの課題が残されています。それらの課題を解決するには、互いの専門性やベストプラクティスを掛け合わせ、1+1を5にも10にもするためのパートナーシップが不可欠です。そのためには、当社が持つケイパビリティを高め、魅力的なパートナーとして認められることが、今後のビジネスを成功させる上で重要な鍵となります。社内のケイパビリティを高めるための取り組みの一環として、2021年10月には研究組織の変更を実施します。Chief Scientific Officer(CScO)の管轄の下、従来の機能別の組織体制から、様々な機能のメンバーからなる個々の創薬チームが自律して革新的な医薬品創出に取り組む体制に変更することで、研究段階における部門間の相乗効果の最大化を目指します。 

 

「対症療法」ではなく「根本治療」が可能な未来へ

従来の医薬品の多くは、継続的な投与で症状を改善する「対症療法」を主体としていますが、私たちが目指すのは、単回、または数回の投与で根本的な治癒をもたらす「根本治療」です。近年は新たなモダリティである細胞医療や遺伝子治療に注力し、既にいくつかの治療法が確立されている疾患領域ではなく、現時点で有効な治療法が存在しない疾患、もしくは既存の治療法では満足な結果が得られない疾患に対して、根本治療が可能となる治療法の開発を目指しています。

既にFocus Areaアプローチから育ったプロジェクトは着実に前進し、未だ有効な治療法がないがんの治癒や、網膜変性により脱落した目の細胞を補う細胞医療、先天的な遺伝子の欠損や変異を病原性のないウイルスで正常な状態へ導く遺伝子治療といった治療法の開発が進んでいます。

根本治療により疾患から解放されれば、患者さん本人が健康になり、新たな生き方を選択できるだけではなく、患者さんをサポートしていたご家族、介護をしていた方にとっても、新しい生活を生み出すことが出来るでしょう。また、医療現場全体の負担を減らすことも可能となり、社会全体に大きな価値をもたらすでしょう。私たちはそんな未来を実現していきます。
「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変える」

このアステラスのVISIONの実現に向けて「経営計画2021」を実行し、私たちは2025年までの5カ年で、一つでも多く、少しでも早く、皆さまに価値を届けるために努力を続けていきます。


 


 

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