遺伝子治療は医療に大きな変革をもたらす力を秘めています。遺伝子の違いにより、約7,000種類にも及ぶ疾患*が存在し、また、多くの一般的な疾患の病態生理にも関与しています。安全に遺伝子を導入・制御する技術が急速に進歩し、現在では実用化に至っています。遺伝子レベルで疾患を特定することで、現在有効な治療法が限られているかまたは存在しない患者さんの人生を変える治療法を開発できる可能性を秘めています。
*出典:“FAQs About Rare Diseases. Genetic and Rare Diseases Information Center (GARD).”
<https://bit.ly/3bd6lEw>(最終アクセス2022年3月)
Primary Focus「遺伝子治療」、これを社内で推進するアステラスジーンセラピーズ(Astellas Gene Therapies)のミッションは、遺伝性疾患を持つ患者さんのために有益な遺伝子治療法を探索、開発し、それを届ける事です。私たちは主に、希少な神経筋疾患および中枢神経系(CNS)疾患の治療のために、アデノ随伴ウイルス(AAV)を活用した遺伝子治療ポートフォリオの構築に注力しています。私たちは継続してケイパビリティを拡充し、遺伝子治療におけるサイエンスの新しい分野を追求することで、私たちの治療法を臨床現場にお届けすること、また患者さんの人生を変える治療法となり得る多様なパイプラインを拡大することに取り組んでいます。
アステラスの遺伝子治療におけるリードプログラム
- AT132(現在臨床試験差し止め中):骨格筋細胞におけるミオチュブラリンタンパクの欠如が原因となる、希少かつ致死性疾患であるX染色体連鎖性ミオチュブラーミオパチー(XLMTM)に対する遺伝子置換療法
- AT845:酸性α‐グルコシダーゼ(GAA)活性の欠如により、骨格筋および心筋におけるグリコーゲンが蓄積することにより発症する重篤な進行性神経筋疾患であるポンペ病に対する遺伝子置換療法
私たちのCoE(Center of Excellence)であるアステラスジーンセラピーズは革新的な治療法となる可能性のあるパイプラインを開発するとともに、製造に関しても業界をリードするようなケイパビリティを構築しています。
アステラスが外部パートナーに期待するアセット、ケイパビリティおよび人材
遺伝子治療分野の急速な発展は、私たちだけでは成し遂げられません。世界的に著名なアカデミアや企業のパートナーと協働して、遺伝子治療の研究開発における複雑な課題に取り組んでいます。私たちは継続して、多様なポートフォリオを拡大できるパートナー、患者さんのより良いサポートのための独自技術や研究の視点を持つパートナーを探索しています。
研究からIND(新薬の臨床試験開始届/Investigational New Drug)までのポートフォリオを強化するためのパートナーシップに加えて、新規遺伝子コンストラクトやより優れた送達ベクター、再投与を可能にする技術など、主要な課題を解決するためのパートナーシップを積極的に探索しています。
【アセット、ケイパビリティ】
- 医療価値の高い遺伝子治療の新たな製品コンセプトおよびAAVコンストラクト
- 遺伝子制御およびRNA編集のための新技術
- 新しい効率的なウイルスベクターおよびデリバリー技術
- AAV製造プロセスの改善
- AAVの脳内デリバリー方法
- AAVの再投与および既にAAVに対する抗体を有する患者さんへの治療を可能にする技術
既に臨床段階にある遺伝子治療プログラムを持ち、新薬を患者さんに届けるためにアステラスの専門性やリソースの活用に興味のある方々からの連絡もお待ちしています。
【人材】
遺伝子治療における研究、開発、製造、商業化のバリューチェーン全体に渡り、優秀な人材を積極的に求めています。
Primary Focusリードからのメッセージ
Primary Focusリード(遺伝子治療)
部門長
リチャード ウィルソン
私たちの目標は、多くの疾患領域において患者さんの人生を変える「価値」をもたらすような、革新的な遺伝子治療を届ける可能性を拡げていくことです。遺伝性疾患を持つ患者さん、また患者さんをケアする周りの人々の未来を変えるために尽力しています。
AAVを活用した遺伝子治療の研究開発の目覚ましい発展により、世界中で遺伝子治療が実用化に至っています。私たちは遺伝子治療における新時代の幕開けを迎えました。
この分野をリードするアカデミアや企業と提携し、私たちはAAVを活用した遺伝子治療の研究、開発、製造、商業化におけるリーダーになろうとしています。患者さんに治療法を届けるため、グローバルなケイパビリティを備えた遺伝子治療の強力なチームを構築し、この分野のイノベーターから選ばれる存在を目指します。「科学の進歩を患者さんの『価値』に変える」というVISIONに向かって、前進していきます。