アステラスにおける資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応状況は以下の通りです。
現状分析・認識 | - 持続的な成長と企業価値の向上のためには、資本コストや株価に対する意識が不可欠であると認識している
- 資本コストを上回る資本収益性の確保を目指し、定期的にWACCを算出・検証し、資本コストを明確に把握した上で、事業投資の意思決定に活用している
- 一方、医薬品セクターの株価は、業績と開発パイプラインの将来価値に大きく影響されると認識している
- 単年度の実績値として算出されるROE・ROIC等の資本収益性指標よりも、中長期的な企業価値向上を実現するための将来パイプライン価値による評価を指標とした経営を実践している
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計画・方針 | - 2021年5月に中期経営計画「経営計画2021」を発表。成果目標として、「売上収益」「パイプライン価値」「コア営業利益率」を設定した
- 上記成果目標を達成し、株式時価総額7兆円以上と評価されるような企業となることを目指している
- 経営計画2021の策定と合わせてキャピタルアロケーション方針を改定・開示している (詳細は下図を参照)
- 将来の成長を実現するための資本投資の機会を見出した場合は、適切な手元資金水準を検討・コントロールした上で、必要に応じて資金調達を実施している
- 大型の企業買収の際には、将来のキャッシュフローや安定的な経営基盤を維持するために必要なバランスの取れた資本構成を維持していく
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取り組み | - 取締役、トップマネジメント及び幹部社員の報酬に、中長期インセンティブ報酬として業績連動報酬である株式報酬( 評価指標「TSR*」 )を採用し、中長期的な企業価値・株主価値の向上を重視した経営を推進している
- 四半期毎に「パイプライン価値」等から算出する企業価値(理論値)を確認し、進捗状況をモニタリングしながら企業価値向上のための必要な事業判断を実施している
- 事業投資の際には、WACCを用いたDCF法によるNPVの算出により事業評価を行い、資本コストを上回るリターンの獲得を目指した意思決定を実施している
- 将来の成長性も含めた適切な市場評価の実現および資本コスト低減のため、積極的なIR活動による投資家との接点づくりや、充実した情報開示を推進している
- キャピタルアロケーション方針に則り、利益・資金計画および実績に基づき配当水準を引き上げ、機動的な自己株式の取得を実施している
- Iveric Bio社買収に伴う有利子負債増加を踏まえて、キャッシュフローを念頭においた適正な負債管理を遂行し、財務健全性の早期回復を目指している
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*: Total Shareholder Returnの略。キャピタルゲインと配当を合わせた、株主にとっての総合投資利回り
キャピタルアロケーション
*2012年度(2013年3月期)以前は、日本基準の営業利益
**2024年度からコアベース業績の定義を変更(従来の調整項目に加え、「無形資産償却費」、「無形資産譲渡益」、「持分法による投資損益」を新たな調整項目として除外)