世界の製薬産業とアステラス
世界の医薬品市場は1兆3054億ドル(2020年)*と言われ、その額は年々増加傾向にあります。医薬品は、まず医師等の診断に基づき処方される医療用医薬品と、患者さんが自ら薬局・薬店で購入できる一般用医薬品に分類されます。日本の医薬品市場では、約9割が医療用医薬品で占められています。
さらに、医療用医薬品には新たな有効成分や使用法を開発し、自社で製造・販売する新薬(先発医薬品)と、新薬の特許切れなどに伴い、同一成分で他社から販売されるジェネリック医薬品(後発医薬品)に分かれます。アステラスは、新薬開発に特化した研究開発型の製薬会社です。
*出典:日本製薬工業協会 DATA BOOK 2022
出所:Copyright© 2022 IQVIA. IQVIA World Review, Data Period 2020より引用 (無断転載禁止)
医薬品の分類
*日本市場における割合
出典:「令和2年薬事工業生産動態統計年報 第1表 医薬品生産金額の推移」厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/105-1.html)をもとに当社作成
私たちはアンメットメディカルニーズ(満たされない医療ニーズ)の高い疾患分野において、未だ治療法のない患者さん、既存の治療法で十分な効果を得られない患者さんのために、革新的な新薬の創出にグローバルで取り組んでいます。
研究開発において、最先端の科学(Best Science)が見出される場へ自ら赴き、世界のトップを走る人たち(Best Talent)と、最適な環境(Best Place)で研究活動を展開することで革新的な新薬の創出に取り組み、新たな治療法を待つ患者さんにいち早く届けることを使命としています。また生産においても、日本に加えて中国・アイルランド・オランダに拠点を有しています。グローバル製薬企業として世界70以上の国と地域でビジネスを展開しており、世界の各市場に強い地盤を築き、成長を続けています。
グローバル製薬企業として世界70以上の
国と地域でビジネス展開
⋆本地図は、アステラスの市場を識別したビジネスマップです
アステラス製薬の主な製品
XTANDI®(前立腺がん治療剤)、ミラベグロン*(過活動膀胱治療剤)、プログラフ®(免疫抑制剤)のほか、今後は重点戦略製品であるPADCEV®(尿路上皮がん治療剤)、IZERVAYTM(地図状萎縮を伴う加齢変性黄斑治療剤)、VEOZAHTM(閉経に伴うVMS**)、VYLOYTM(胃がん治療剤)、XOSPATA®(急性骨髄性白血病治療剤)の伸長を見込んでいます。また、重点戦略製品の適応拡大によるライフサイクルマネジメントを積極的に推し進め、製品価値最大化に取り組んでいます。
医薬品の研究開発
新薬は、通常10年以上の年月をかけて、基礎研究・非臨床試験・臨床試験(治験)の過程を経て有効性、安全性および品質が検討されます。その後、審査を経たうえで、各国の薬事当局(日本では厚生労働大臣)の承認を得て初めて患者さんに医薬品を届けることができます。
他の産業に比べて売上高に占める研究開発費の割合が大きい点が、製薬産業の特徴のひとつです。製薬産業が成長していくためには研究開発の成功が鍵となっており、優れた医薬品を継続的に創出していくためには、研究開発への投資が重要となります。アステラスは医薬品産業の平均を大きく上回る18.3%を研究開発に投資しています(2024年3月期)。
アステラスは多くの研究開発中のプログラムを有しており、医療用医薬品(Rx)においては現在21のプログラムが進行しています。
また、Rx事業で培った経験を活かし、病気の予防、診断、治療および予後管理を含むヘルスケア全般において患者さんに貢献するRx+®事業においては3つのプログラムが進行しています(2024年3月期末時点)。
将来における成長
3つの目標で実行を加速する「経営計画2021」
アステラスは、「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変える」というVISIONを掲げています。このVISIONを継続的に追求するために、2021年度から2025年度の5か年にわたる「経営計画2021」を策定しています。
「経営計画2021」では、2025年度までに着実な成長を実現し、成果へと結びつけるために3つの目標を掲げています。私たちが創造し提供する価値を最大化するための「戦略目標」、長期にわたり優れたパフォーマンスを生み出す社内環境を構築するための「組織健全性目標」、経営計画の進捗を測り、業績面での意欲的な目標となる「成果目標」の3つが互いに補完しながら、経営計画の実行を加速させていきます。
*当時 代表取締役社長CEO 安川 健司(現 代表取締役会長)
株主還元について
アステラスは、企業価値の持続的向上とともに、株主還元にも積極的に取り組んでいます。配当については、成長を実現するための事業投資を最優先としながら、利益・資金計画および実績に基づき、経営計画期間を通じた配当水準の引き上げに努めます。余剰資金が生じた際には自己株式取得を機動的に実施し、資本効率と還元水準の向上を図っていきます。
経営計画2021の期間中は堅調な利益成長予想に
基づき、より高い水準の配当を目指す