細胞医療

他家細胞医療

私たちは、幹細胞技術と遺伝子編集技術を融合し、次世代細胞医療の開発に取り組んでいます。他家細胞医療の開発に最新のテクノロジーを導入することにより、オーダーメイドではなく、あらゆる患者さんに適用可能な「既製品」ともいえる細胞医療の実現を目指します。
 

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多能性幹細胞由来の他家細胞医療は、自家細胞医療と比較して以下のような利点があります。
あらゆる組織に適応可能:多能性幹細胞は多種多様な細胞に分化することができるため、様々な疾患や症状に対応できる細胞医療の開発が可能です。
ドナー間のばらつきが少ない:一貫した供給源からの細胞を用いた他家細胞は、自家細胞では課題となる細胞の品質や有効性のばらつきを回避することができます。
大量生産が可能:多能性幹細胞は大量に増殖するため、大量に製造することが可能です。
準備期間が短い:採取、分化、増殖に時間がかかる自家細胞よりも、既製品を用いる他家細胞は、迅速に患者さんに届けられます。
低い製造コスト:多能性幹細胞は大量に生産できるので、製造コストが低く、患者さんにとってより身近な治療法となります。
 

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しかし、他家細胞を患者さんに移植した場合、免疫拒絶反応によって除去されてしまうことがあります。私たちは、これを回避するために、免疫拒絶反応が起こりにくい眼科領域から参入しています。また、ユニバーサルドナー細胞技術を活用して、免疫拒絶反応を回避するアプローチをとっています。
 

細胞医療におけるユニークなケイパビリティ

ユニバーサルドナー細胞技術

ユニバーサルドナー細胞技術は、免疫拒絶を回避するための、他家細胞医療の基幹となる独自の技術です。遺伝子組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)を用いて、T細胞反応や免疫拒絶の主な原因とされる主要組織抗原複合体である、HLAクラスIとクラスIIの表面タンパク質の発現をノックアウトする遺伝子編集を行います。また、ナチュラルキラー細胞による破壊を阻止するHLAクラスIシグナルを維持させるため、別の遺伝子編集により、特定の非多形性HLA分子を発現させています。
 

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Universal Cells社へのリンク
 

End to endの高い専門性

私たちは、細胞医療のイノベーションを患者さんに届けるために必要なケイパビリティを有しています。鍵となるのは、多能性幹細胞の供給、ユニバーサルドナー細胞技術、そして遺伝子編集と分化です。さらには標準化、品質保証、GMP(医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準)に関する知識、凍結融解技術、製剤技術を確立させ、研究段階から、臨床で実際に使用する細胞の製造へと発展させていく必要があります。細胞医療は「Process is Product」であり、細胞製品の規格・品質を保証することが重要です。アステラスは、R&Dオペレーティングモデルの下、共通の目的を持つ1つのチームとして研究開発を実施しています。
 

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独自のR&D戦略による、強固なパイプライン

臨床段階で最も進んでいるプログラムは、萎縮型加齢黄斑変性患者の視力改善を対象とした網膜色素上皮細胞プログラム(ASP7317)です。私たちは、その他にも視細胞前駆細胞、角膜内皮細胞といった複数の眼科領域における細胞医療に加え、全身投与可能なHMCのプログラムを有しています。また、最先端技術を活用した次世代がん細胞治療の開発も進めています。複数の最先端技術を組み合わせることで、単一の他家細胞で複数のがん抗原を攻撃できる画期的な細胞医療が実現できると考えています。
 

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2023年9月現在
CAR-T: Chimeric Antigen Receptor T cell, FcR: Fc receptor, NK: Natural Killer cell

 

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