ライフサイエンスのリーディングカンパニーとして多様な面から対応する

アステラスでは各種関連法規遵守および倫理的配慮を行い、革新的な医薬品と医療ソリューションを創出のため研究活動に取り組んでいます。
 

人を対象とする研究における倫理的配慮

アステラスでは、ヘルシンキ宣言*1および各国で定められた法令や指針などに則り、適切に被験者の同意を得て、人を対象とする研究や、ヒトに由来する試料や情報を用いた研究を実施しています。

日本では、研究を実施する社員を対象に生命倫理やゲノム研究、臨床研究に関する研修を行い、研究対象者の人権の尊重や個人情報の保護などに努めています。

また、社外有識者を含む医学系研究倫理審査委員会を設置し、倫理的および科学的な観点から研究計画について公正かつ公平に審査しています。同委員会については、厚生労働省の倫理審査委員会報告システム*2で公表しています。

*1 ヘルシンキ宣言:ヒトを対象とする医学研究に関わる医師やその他の関係者に対する指針を示す倫理的原則。
*2 詳細は以下のウェブサイトをご参照ください。
https://rinri.niph.go.jp/
 

幹細胞の研究開発における倫理的配慮

アステラスは、これまで治療手段の無かった疾患に対して新たな治療手段を提供していくために、幹細胞*3を利用した研究開発を積極的に推進しています。

一方で、ヒト幹細胞を用いた研究の推進にあたっては、慎重に検討すべき懸念点が生じ得ることも認識しています。特に、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)を用いた研究は、社会的・生命倫理的な課題に十分配慮する必要があります。

こうした考え方や認識に基づき、アステラスは、ヒト幹細胞を用いた研究開発において遵守すべき基本的な事項を「幹細胞の研究開発に関するポリシー*4」に定めています。具体的には、ヒト幹細胞に関するすべての研究開発活動において、研究開発を行う国や地域の関連法令や規制を遵守しています。また、社内責任者および社外専門家で構成する委員会を設置し、研究開発活動の倫理性、科学的妥当性および研究の正当性について監督・助言を受けることとしており、すべての研究開発プログラムは同委員会による倫理面・科学面の審査を経て実施しています。さらに、ヒト胚性幹細胞を樹立・利用する場合は、米国科学アカデミーによるガイドラインなど、世界の主要な科学的権威によって制定された倫理基準を満たしたうえで行っています。

*3 幹細胞:自己複製能と多分化能を持った細胞。
*4 詳細は以下のウェブサイトをご参照ください 
https://www.astellas.com/jp/about/policies-and-position-statements?param=expend-tit-development#r_and_d
 

ヒトゲノム編集における倫理的配慮

アステラスは、「先端・信頼の医薬で世界の人々の健康に貢献する」を経営理念に掲げるライフサイエンスのリーディングカンパニーとして、ヒトゲノム編集技術の進歩の最前線に立っています。世界中に拠点を置くアステラスの社員およびパートナーは、大学等の学術研究機関やバイオテクノロジー企業との連携のもと、疾患生物学への深い理解と、ゲノム編集/ゲノム制御等を含む最先端の技術プラットフォームや治療モダリティを組み合わせることにより、革新的な治療法を開発しています。

アステラスは、ヒトゲノム編集における管理や監視体制に関する国際基準の策定を検討している、米国国立標準技術研究所(NIST)ゲノム編集コンソーシアム、欧州科学アカデミー諮問委員会(EASAC)、米国薬局方、国際標準化機構(ISO)、世界保健機関(WHO)、およびその他の国際機関の考え方を支持しています。また、体細胞や生殖細胞にゲノム編集技術を用いる基礎研究および前臨床研究は、患者さんの健康と福祉に貢献するために適切な法的、倫理的規則と監視のもとに実施されるべきであると考えます。臨床利用段階においても、関連する法律や指針を遵守し、適切かつ科学的な目的で研究開発を実施します。このような、アステラスの「ヒトゲノム編集に関する基本的な考え方」は会社ウェブサイトで公開しています*5

*5 詳細は以下のウェブサイトをご参照ください。
https://www.astellas.com/jp/about/policies-and-position-statements?param=expend-tit-humangenome#r_and_d
 

動物実験における倫理的配慮

アステラスは、動物の愛護及び管理に関する法律など動物に関する各種関連法およびガイドラインを基に作成した「動物の管理および使用に関するポリシー*6」に基づいて動物実験を行っています。社外有識者を含む動物実験委員会を設置し、4Rの原則*7を確認し動物実験実施の可否を審査しています。また、アステラスの動物実験施設は、AAALAC*8認証を取得する事により、透明性の確保に努めています。

*6 詳細は以下のウェブサイトをご参照ください。
https://www.astellas.com/jp/about/policies-and-position-statements?param=expend-tit-animal#r_and_d
*7 4Rの原則:Replacement(代替法選択の可能性の検討)、Reduction(使用数の削減)、Refinement(苦痛の排除)、Responsibility(科学的、倫理的な正当性の検証責任)。
*8 AAALACインターナショナル:国際実験動物管理公認協会。動物管理および使用プログラムに対する国際的認証を提供する団体で、動物実験が科学的・倫理的に実施されているかを調査・認証する機関。
 

バイオテクノロジー、バイオハザードへの対応 

アステラスは、世界保健機関(WHO)実験室バイオセーフティ指針*9、米国疾病予防センター(CDC)バイオセーフティマニュアル*10、米国国立衛生研究所(NIH)ガイドライン*11および各国の法律等に準拠して、遺伝子組換え生物の取り扱いや感染性材料を使用する実験を行っています。

*9 Laboratory Biosafety Manual 3rd Edition
*10 Biosafety in Microbiological and Biomedical Laboratories 5th Edition
*11 NIH Guidelines for Research Involving Recombinant or Synthetic Nucleic Acid Molecules
 

生物多様性への配慮 

アステラスは「遺伝資源についての基本的考え方*12」のもと、生物多様性条約*13の考え方に沿ってその多様性の保全に配慮し、新たな遺伝子改変技術の利用に関しては、環境や人の健康にもたらす影響に配慮しながら慎重に取り扱っています。また生物多様性条約に関連する名古屋議定書*14の遺伝資源の利用とその利益配分に関する指針等に則り、遺伝資源の入手に際しては提供国の関係法令を遵守し、その利用によって生じる利益は公正に配分することとしています。

*12 詳細は以下のウェブサイトをご参照ください。 
https://www.astellas.com/jp/about/policies-and-position-statements?param=expend-tit-resources#r_and_d
*13 生物多様性条約:生物多様性の保全と持続的な利用を目指す国際条約。
*14 名古屋議定書:遺伝資源の取得の機会およびその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する議定書。
 

知的財産の取り扱い

知的財産の適切な保護は、競争力を維持しながら満たされない医療ニーズに対応していくために重要であり、アステラスは「知的財産に関するポリシー*15」を定めています。さらに、アステラスはイノベーションへの強いコミットメントを確認するとともに、知的財産権取り扱いの中心に患者さんのニーズを据えることを約束する「知的財産に関する10の主要原則からなる宣言 (IP PACT)*16」に賛同しています。

また、保健医療へのアクセス改善に配慮し、各国の医薬品調達部門がアステラスの医薬品特許情報に容易にアクセスできるよう、世界知的所有権機関(WIPO)が運営するThe Patent Information Initiative for Medicines(Pat-INFORMED)に参加し、イクスタンジ®、レキスキャン、ゴナックス®、スーグラ®、タルセバおよびゾスパタ®の特許情報をPat-INFORMEDのデータベースに掲載しています。

なお、アステラスは、国連が定めるLeast Developed Countries(LDCs)および世界銀行が定めるLow Income Countries(LICs)においては特許出願および特許権の行使を行いません。また、保健衛生の課題は製薬産業を含む多様な関係者が共有する責務であると認識しています。そのため、その他の途上国においても、差し迫った保健衛生の課題に対処するために、個別の事案に応じて柔軟に特許権のライセンスを検討しています*17

*15 詳細は以下のウェブサイトをご参照ください。
https://www.astellas.com/jp/about/policies-and-position-statements?param=expend-tit-property#value
*16 詳細は以下のウェブサイトをご参照ください。
https://www.interpat.org/ip-pact/
*17 詳細は以下のウェブサイトをご参照ください。
https://www.astellas.com/jp/about/policies-and-position-statements?param=expend-tit-countries#access_to_health