1. 人権方針の策定
アステラスは「アステラス企業行動憲章」および「アステラスグループ行動規準」に全社員の人権・人格・個性を尊重すること、国際ルールや現地の法令を遵守するとともに、多様な文化・習慣を尊重することを明記し、全世界のグループ会社で人権の尊重の重要性を共有しています。また、2017年4月には「人権についての基本的な考え方」を公開しました。事業活動を行うすべての場所において各国の労働と雇用に関する法律を遵守し、人権・労働に関する国際的な基本原則(「国際人権規約」「ビジネスと 人権 に関する 指導 原則」「労働における基本的原則と権利に関する国際労働機関(ILO)の宣言」など)を尊重することを明確に宣言しています。
「人権についての基本的な考え方」は、社会を取り巻く環境や社内の環境変化にあわせ適宜改訂し、従業員への周知を行っています。
ポリシー・ステートメント | アステラス製薬 (astellas.com)
2. 推進体制
アステラスでは、サステナビリティ部門がリードし、部門横断のメンバーで構成される「サステナビリティアドバイザリーパネル」および「環境・社会・ガバナンスに関するワーキンググループ(E・S・Gワーキンググループ)」を設置し、長期的・戦略的かつ全社的な視点から各部門によるサステナビリティ向上のための活動を推進しています。
人権に関する取り組み方針や諸課題については、社会ワーキンググループ内に設置された人権サブワーキンググループ内で議論され、関連部門と連携を行ないながら取り組みを進めています。
サステナビリティと推進体制 | アステラス製薬 (astellas.com)
3. 主な取り組み
アステラスでは、社会の期待に応えるため、人権・労働に関する国際的な基準に沿って、包括的に人権尊重の取り組みを行なっています。
I. 人権デューデリジェンスの実施
アステラスでは社内外の環境変化に対応する形で、定期的に人権影響評価を実施しています。人権影響評価では、外部専門機関の協力を得ながら、関連部署へのインタビューによって人権に関する取り組みや体制の現状分析を行っています。アステラスの事業に関連するライツホルダー(人権課題に直面する当事者)に対して、深刻度や発現可能性の評価軸から人権課題を評価し、アステラスにとって重要な人権課題を特定しています。
特に注意を払う人権課題として以下の5つの課題を特定し、以下の考え方・取り組みを通じて、継続的に人権への負の影響の防止・軽減に努めています。
- 「保健医療へのアクセス」
満たされていない医療ニーズに対応する技術や医薬品は、今日までに目覚ましい発展を遂げています。しかし、適切な治療方法が存在しないこと、貧困、保健システムの不備、保健医療に関する情報不足が理由で、必要な医療を受けることが困難な状態にある人がいまだに多くいます。私たち製薬会社は、保健医療へのアクセス拡大を通じて、人々の健康に貢献するという役割を果たすことができます。
アステラスは、国連の「持続可能な開発目標」達成への貢献、市場性が見込めないために研究開発が不十分な疾患の撲滅、非感染性疾患の予防と管理、技術移転の支援など、さまざまな取り組みを行います。
保健医療へのアクセス向上の取り組み | アステラス製薬 (astellas.com)
- 「臨床試験および研究開発活動における人権」
アステラスは、最高水準の科学と倫理をもって医薬品等の研究開発に取り組みます。適用法令、業界ルールのみならず国際的に認められている非臨床・臨床試験の基準(「ICHガイドライン」、「ヘルシンキ宣言の倫理原則」など)に従います。
アステラスは、被験者の健康と安全を最優先として治験(市販後臨床試験を含む)を行います。また、被験者の人権(個人の尊厳、自己決定権、プライバシー、個人情報保護など)を尊重・保護し、すべての治験参加者(あるいは代諾者)から適切にインフォームドコンセントを取得します。
臨床開発における取り組み | アステラス製薬 (astellas.com)
- 「製品の安全性と偽造医薬品」
アステラスは、世界の患者さんに高品質の製品を安定的に供給します。製品の有効性、安全性および供給を確保するため、私たちは厳しい品質基準と強固なサプライチェーンを全世界で維持します。また、患者さんの安全を守るため、医療過誤および医薬品偽造を防止するための対策も講じます。
また、医薬品等の安全性情報は市販後に得られる情報によって更新されていく可能性があります。これを踏まえ、適用法令やファーマコビジランスガイドライン(GVP)のような業界ルールに従い、アステラス製品の安全性をそのライフサイクルを通じて継続的に注視します。私たちは適用法令や業界ルールに従って安全性情報を収集・評価し、世界各地の薬事当局に適時に報告を行います。
技術開発・生産への取り組み | アステラス製薬 (astellas.com)
- 「職場における人権」
すべての業務を遂行し、経営理念を実現する原動力となる社員は、アステラスの事業の中心にいます。アステラスは社員の人権を尊重します。これには、差別の禁止、結社・団体交渉の自由、強制労働の禁止に関する権利が含まれます。加えて、私たちは、職場の多様性とその受容(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を推進し、安全で働きがいのある労働環境を提供します。私たちは、ビジネスパートナーに対してもこれらの人権を尊重することを求めます。
エンゲージメント、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン | アステラス製薬 (astellas.com)
- 「コミュニティならびに環境における人権」
アステラスは事業所や工場がある地域において、近隣住民の人権を尊重します。
私たちは事業活動が近隣地域に与える環境の影響についても継続的に監視し対処します。
II. 人権尊重に関する教育と啓発
アステラスでは、「人権についての基本的な考え方」に基づく人権尊重の考え方を社内に定着させることが重要と考えています。人権尊重の考えをもとにビジネス活動を遂行するため、アステラスでは以下の取り組みを行っています。
- 従業員の人権に関する知識拡充のため、人権をテーマにした研修を実施
- 従業員の人権に対する意識醸成のため、毎年世界人権デー(12月10日)に合わせ全社メッセージを配信
III. 人権に関する相談・通報
アステラスでは、社員のみならず、社外ステークホルダーも含め、人権に関する内容も含めた通報・相談を受け付けています。
コンプライアンスに関するお問い合わせ | アステラス製薬 (astellas.com)
ESG Data | Astellas Pharma Inc.
IV. 社外エンゲージメント
アステラスは、人権課題を特定し課題解決をするために、最新の人権課題の情報を収集、企業間で人権課題の情報を共有、そして他社の取り組みなどから知見を得ることが重要と考えています。
アステラスは、企業間やNPOやNGOとの連携を効果的に行うため、一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン分科会、BSR(Business for Social Responsibility)人権ワーキンググループなどのサステナビリティに関する分科会に加盟しています。
V. 各国現代奴隷法への対応
アステラスは英国においてビジネスを展開する事業者として、英国で施行された英国現代奴隷法(Modern Slavery Act 2015)に基づき、奴隷労働と人身取引に関する声明を毎年開示し、事業活動とサプライチェーンの中で奴隷労働と人身取引のリスクに対してどのような取り組みを実施しているかについて報告しています。
また、英国以外でもビジネスを展開する国において現代奴隷法に基づき取り組みを報告しています。今後も各国法令に適切な対応を行なっていきます。
過去分
2023年3月期
2022年3月期
2021年3月期
2020年3月期
2019年3月期
2018年3月期
2017年3月期
2016年3月期
閉じる
関連リンク
アステラス企業行動憲章
アステラスグループ行動規準
人権についての基本的な考え方