- 閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状の頻度と重症度、および患者報告により評価する睡眠障害を、投与後24週時点で統計学的に有意に改善 -

 アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長CEO:岡村 直樹、以下「アステラス製薬」)は、閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状(ホットフラッシュ(顔のほてり・のぼせ等)や寝汗:Vasomotor Symptoms、以下「VMS」)に対する経口の非ホルモン治療剤として開発中のfezolinetantの、ホルモン療法によるVMS治療が適切でないとされた女性における有効性と安全性を検証した第IIIb相DAYLIGHT試験の結果を、オランダのアムステルダムで開催される第15回欧州婦人科学会(Congress of the European Society of Gynecology:ESG)で、11月30日(現地時間)に口頭発表します(抄録番号 #12497)。ホットフラッシュや寝汗を特徴とするVMSは、閉経に伴う一般的な症状です1,2

 本試験は、ホルモン療法によるVMS治療が適切でないとされた女性(ホルモン療法が禁忌である、ホルモン療法を望まないもしくは中止した、または慎重な投与が必要な女性)450名以上を対象としており、投与後24週時点で全ての主要評価項目と副次評価項目を達成しました。

  • 主要評価項目である、fezolinetant 45 mg投与群における中等度から重度のVMSの頻度に関するベースラインからの平均変化量は、プラセボ投与群と比較して-1.93であり、統計学的に有意な改善を示しました(p<0.001)。
  • 副次評価項目である、fezolinetant 45 mg投与群における中等度から重度のVMSの重症度に関するベースラインからの平均変化量は、プラセボ投与群と比較して-0.39であり、統計学的に有意な改善を示しました(p<0.001)。
  • もう一つの副次評価項目である、fezolinetant 45 mg投与群における患者報告により評価する睡眠障害に関するベースラインからの平均変化量は、プラセボ投与群と比較して-2.5であり、統計学的に有意な改善を示しました(p<0.001)。

 本試験で見られた有害事象(Treatment-Emergent Adverse Event:TEAE)の発現率は、fezolinetant 45 mg投与群で65%、プラセボ投与群で61%でした。最も多く見られたTEAEは、新型コロナウイルス感染症(13.3%(fezolinetant投与群) vs. 12.8%(プラセボ投与群))、頭痛(8.8% vs. 9.3%)、疲労感(5.8% vs. 0.4%)でした。重篤なTEAEの発現率は、fezolinetant投与群で4.4%、プラセボ投与群で3.5%でした。

 DAYLIGHT試験の結果は、欧州における医療技術評価(Health Technology Assessment:HTA)と保険償還申請をサポートするためのデータになります。

以上

DAYLIGHT試験について
第IIIb相DAYLIGHT試験(NCT05033886)は、中等度から重度のVMSを有する、ホルモン療法による治療が適切でないとされる40歳から65歳までの女性を対象に、fezolinetantの有効性と安全性を評価する24週の無作為化二重盲検プラセボ対照試験です。ホルモン療法によるVMS治療が適切でないとされる女性とは、ホルモン療法が禁忌である、ホルモン療法を望まないもしくは中止した、過去の治療歴に基づき慎重な投与が必要な女性を指します。主要評価項目は、投与後24週時における中等度から重度のVMSの頻度に関するベースラインからの平均変化量です。副次評価項目は、投与後24週時における中等度から重度のVMSの重症度に関するベースラインからの平均変化量と、睡眠障害を評価する患者報告アウトカム(Patient-Reported Outcomes Measurement Information System Sleep Disturbance – Short Form 8b: PROMIS SD SF 8b)で評価した、睡眠障害のベースラインからの平均変化量です。カナダ、欧州、トルコを含む69施設で、計453人の女性を対象に実施されました。DAYLIGHT試験のトップライン結果は2023年6月に発表されました。

fezolinetantについて
fezolinetantは、閉経に伴う中等度から重度のVMSの治療のために開発中の経口の非ホルモン治験薬です。fezolinetantは、KNDy(キスペプチン/ニューロキニンB/ダイノルフィン)ニューロンに結合するニューロキニンB(NKB)をブロックし、脳の体温調節中枢(視床下部)のバランス回復を助け、閉経に伴う中等度から重度のVMSの頻度と重症度を軽減します3,4,5。fezolinetantは開発中であり、欧州において承認を受ける、あるいは市販される保証はありません。

アステラス製薬株式会社について
アステラス製薬は、世界70カ国以上で事業活動を展開している製薬企業です。最先端のバイオロジーやモダリティ/テクノロジーの組み合わせを駆使し、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品の創出に取り組んでいます(Focus Areaアプローチ)。さらに、医療用医薬品(Rx)事業で培った強みをベースに、最先端の医療技術と異分野のパートナーの技術を融合した製品やサービス(Rx+®)の創出にも挑戦しています。アステラス製薬は、変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの「価値」に変えていきます。アステラス製薬の詳細については、(https://www.astellas.com/jp/)をご覧ください。

注意事項
このプレスリリースに記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述およびその他の過去の事実ではない記述は、アステラス製薬の業績等に関する将来の見通しです。これらの記述は経営陣の現在入手可能な情報に基づく見積りや想定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。さまざまな要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性があります。その要因としては、(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の遅延、(iv)新製品および既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(v)競争力のある新薬を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。

参考文献
1 Utian WH. Psychosocial and socioeconomic burden of vasomotor symptoms in menopause: a comprehensive review. Health Qual Life Outcomes. 2005;3:47.
2 Jones RE, Lopez KH, eds. Human Reproductive Biology. 4th ed. Waltham, MA: Elsevier, 2014:120.
3 Depypere H, Timmerman D, Donders G, et al. Treatment of menopausal vasomotor symptoms with fezolinetant, a neurokinin 3 receptor antagonist: a phase 2a trial. J Clin Endocrinol Metab. 2019;104:5893-5905.  
4 Fraser GL, Lederman S, Waldbaum A, et al. A phase 2b, randomized, placebo-controlled, double-blind, dose-ranging study of the neurokinin 3 receptor antagonist fezolinetant for vasomotor symptoms associated with menopause. Menopause. 2020;27:382-392.  
5 Fraser GL, Hoveyda HR, Clarke IJ, et al. The NK3 receptor antagonist ESN364 interrupts pulsatile LH secretion and moderate levels of ovarian hormones throughout the menstrual cycle. Endocrinology. 2015;156:4214-4225.

 

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