アステラス製薬株式会社(本社:東京、以下「アステラス製薬」)は、Seagen Inc.(以下、「Seagen社」)と共同で開発を進めている抗体-薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate: ADC)であるPADCEV®(一般名:エンホルツマブ ベドチン(遺伝子組換え))とMerck & Co., Inc.(以下「Merck社」)のPD-1阻害剤KEYTRUDA®(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))*との併用療法について、局所進行性または転移性尿路上皮がんで、シスプラチン不適応の患者における一次治療として、米国食品医薬品局(FDA)から迅速承認を4月3日(現地時間)に取得しました。検証試験であるEV-302試験(被験者登録済み)において臨床的な有効性が確認されることが継続的な承認の条件です。
今回の迅速承認は、第Ib/II相EV-103試験(NCT03288545、KEYNOTE-869試験)の用量漸増コホート/コホートAならびにコホートKにおける客観的奏効率(ORR)および奏効期間(DOR)に基づくものです。EV-103試験において、エンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブの併用群(n=121)では、主要評価項目である盲検下独立中央評価(BICR)により確認されたRECIST 1.1に基づくORRは68%(95%信頼区間[CI]: 58.7–76.0)でした。完全奏効は12%、部分奏効は55%の被験者で認められました。用量漸増コホート/コホートAでのBICRによるDORの中央値は22.1ヶ月(範囲:1.0+ - 46.3+)、コホートKでは未到達(範囲:1.2-24.1+)でした1。用量漸増コホート/コホートAでの治療サイクル数の中央値は9で、コホートKでは11でした2,3。
エンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブ併用時の主な副作用(発現率20%以上)は、臨床検査値異常を含め、グルコース増加(74%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加(73%)、発疹(71%)、ヘモグロビン減少(69%)、クレアチニン増加(69%)、末梢性ニューロパチー(65%)、リンパ球減少(64%)、疲労(60%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加(60%)、ナトリウム減少(60%)、リパーゼ増加(59%)、アルブミン減少(59%)、脱毛症(52%)、リン酸塩減少(51%)、体重減少(48%)、下痢(45%)、そう痒症(40%)、食欲減退(38%)、悪心(36%)、味覚不全(35%)、カリウム減少(35%)、好中球減少(32%)、尿路感染(30%)、便秘(27%)、カリウム増加(27%)、カルシウム増加(27%)、末梢性浮腫(26%)、ドライアイ(25%)、浮動性めまい(23%)、関節痛(23%)、皮膚乾燥(21%)でした1。
コホートKの最新の結果は、2022年欧州臨床腫瘍学会(European Society for Medical Oncology Cancer Congress: ESMO)で発表されました。また、用量漸増コホートおよびコホートAの結果はJournal of Clinical Oncologyに掲載されています。
この併用療法は、用量漸増コホート/コホートAの結果に基づき、2020年2月にFDAからブレークスルーセラピー指定(Breakthrough Therapy Designation)を受けています。また、2022年12月には、優先審査の指定を受けています。今回の迅速承認は、FDAの迅速承認プログラム(Accelerated Approval Program)の一環で、重篤もしくは生命を脅かす疾患を対象に、臨床上の有効性を予測できるサロゲート(代替)評価項目に基づいて医薬品を評価、承認する制度です。
現在進行中の第III相EV-302試験(NCT04223856、KEYNOTE-A39試験)は、治療歴のない進行性尿路上皮がんの患者を対象に、エンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブとの併用による臨床的な有効性を評価し、米国での迅速承認の検証試験としての役割を果たすことを目的としています。また、この試験は、グローバルでの承認申請の基礎となることも目的としています。
アステラス製薬は、患者さんに新たな治療選択肢を提供することで、アンメットメディカルニーズの高い局所進行性または転移性尿路上皮がんの治療に一層の貢献をしていきます。
本件による業績への影響は、4月27日に開示予定のアステラス製薬の通期(2024年3月期)連結業績予想でお知らせします。
本件は、米国において現地時間4月3日に対外発表しています。
* KEYTRUDA®はMerck社の製品です。
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