- 革新的でユニバーサルなオフ ザ シェルフのin vivo CAR-T細胞療法の研究開発 -

 アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長CEO:岡村 直樹、以下「アステラス製薬」)は完全子会社であるXyphos Biosciences, Inc.(本社:米国カリフォルニア州、以下「Xyphos」)を通じて、Kelonia Therapeutics(本社:米国マサチューセッツ州、CEO兼Founder:Kevin Friedman、以下「Kelonia」)と、新規のがん免疫療法プログラムに関する共同研究およびライセンス契約を締結しました。

 Keloniaは、次世代の生体内遺伝子送達技術であるiGPS®in vivo gene placement system)を有するバイオテクノロジー企業です。iGPS®は、次世代のレンチウイルス粒子を使用し、患者さんの体内にある目的のターゲット細胞に、がん治療に必要な特定の遺伝子を正確に送達します。Xyphosは、convertibleCAR®*1(Chimeric Antigen Receptor:キメラ抗原受容体)を用いた独自技術プラットフォームであるACCELTM技術*1を有しています。

 今回の契約により、両社はKeloniaのiGPS®と、XyphosのACCELTM技術を融合し、最大2つの革新的な生体内(in vivo)CAR-T細胞療法*2の創出を目指します。本共同研究から創出された製品の開発および商業化は、Xyphosが担います。Xyphosは、最初のプログラムに対する契約一時金として4,000万米ドルを支払います。また、2つ目のプログラムの研究を開始する場合、Xyphosは3,500万米ドルを支払う可能性があります。さらに、それぞれのプログラムの進捗に応じた最大8億米ドルのマイルストン等に加えて、最大二桁台%の売上高に応じたロイヤルティーをKeloniaに支払う可能性があります。Xyphosは、Keloniaが実施する本共同研究の費用を負担します。

 今回の契約について、KeloniaのCEO兼FounderのKevin Friedmanは、「私たちが有するiGPS®プラットフォームは、がん治療に大きな変革をもたらす可能性があると考えています。私たちの生体内遺伝子送達技術iGPS®とXyphosのACCELTM技術は、オフ ザ シェルフ*3CAR-T細胞療法を創出するために、理想的な組み合わせです。私たちはこのアプローチに強い自信を持っており、アステラス製薬と協力し、この治療法を必要としている患者さんのために、その潜在能力を最大限に引き出すべく取り組んでいきます」

 また、アステラス製薬の経営戦略担当CStO(Chief Strategy Officer)のAdam Pearsonは、「アステラス製薬は、研究開発戦略であるFocus Areaアプローチの中で、特に注力しているPrimary Focusの一つに『がん免疫』を掲げています。Keloniaの洗練された最先端の生体内遺伝子送達技術iGPS®とアステラス製薬のACCELTM技術が相乗効果を発揮し、アステラス製薬のポートフォリオが拡大し、革新的な生体内CAR-T細胞療法をがん患者さんに届けられることを期待しています」と述べています。

 本件によるアステラス製薬の業績への影響は、通期(2024年3月期)連結業績予想に織り込み済みです。

以上

*1 ACCELTM技術およびconvertibleCAR®:Xyphos独自のACCELTM技術は、タンパク工学により創製した受容体とリガンドタンパクの特異的な結合を利用した合成生物学的手法に基づいています。受容体を発現させたナチュラルキラー(NK)細胞やT細胞といった免疫細胞(convertibleCAR®細胞)と、攻撃標的であるがん抗原を認識する抗体をリガンドタンパクと融合させた抗体-リガンド融合タンパク(MicAbody)を患者さんに投与し、治療する技術です。詳細はこちら

*2 生体内(in vivo)CAR-T細胞療法:生体内に存在する患者の細胞にCAR遺伝子を導入する治療法。生体内でCAR遺伝子が発現し、がん細胞を特定して攻撃する免疫細胞を作ります。従来のCAR-T細胞療法と異なり、取り出した免疫細胞を体外で培養して患者体内に戻す前に化学療法による移植前処置行う必要がなく、忍容性の向上や治療の迅速化、患者さんの治療法へのアクセス向上が期待されています。

*3 オフ ザ シェルフ:既製品化し、必要な時にすぐに使用可能な製剤

アステラス製薬株式会社について
アステラス製薬は、世界70カ国以上で事業活動を展開している製薬企業です。最先端のバイオロジーやモダリティ/テクノロジーの組み合わせを駆使し、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品の創出に取り組んでいます(Focus Areaアプローチ)。さらに、医療用医薬品(Rx)事業で培った強みをベースに、最先端の医療技術と異分野のパートナーの技術を融合した製品やサービス(Rx+®)の創出にも挑戦しています。アステラス製薬は、変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの「価値」に変えていきます。アステラス製薬の詳細については、(https://www.astellas.com/jp/)をご覧ください。

Xyphos Biosciences, Inc.について
Xyphos Biosciences, Inc.は、米国カリフォルニア州サウスサンフランシスコを拠点とし、CAR-免疫細胞療法に関する技術プラットフォームであるACCELTM技術を特徴とする会社です。同社は、2017年に設立され、2019年12月にアステラス製薬が買収し、アステラス製薬の完全子会社となりました。Xyphos Biosciences, Inc.の詳細については、(https://www.xyphosinc.com/)をご覧ください。

Kelonia Therapeuticsについて
Keloniaは、生体内遺伝子送達技術であるiGPS®を活用した革新的な遺伝子治療の開発に注力しています。Keloniaの洗練された最先端の生体内遺伝子配達技術は、生体内遺伝子転移効率を向上させるエンベロープ修飾と、組織特異的な遺伝子導入を促進するトロピズム分子を有する高度なレンチウイルスベクターを使用しています。当初は、血液がんに対する革新的な生体内CAR-T療法の開発に注力していましたが、Keloniaは、遺伝子治療を必要とするすべての患者さんが、必要なときに、必要な場所で利用できるようにするという大きな目標を掲げ、さまざまな疾患に対する遺伝子治療のパイプラインを構築しています。Kelonia Therapeuticsの詳細については、(https://keloniatx.com/)および公式LinkedInおよびTwitterをご覧ください

注意事項
このプレスリリースに記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述およびその他の過去の事実ではない記述は、アステラス製薬の業績等に関する将来の見通しです。これらの記述は経営陣の現在入手可能な情報に基づく見積りや想定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。さまざまな要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性があります。その要因としては、(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の遅延、(iv)新製品および既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(v)競争力のある新薬を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。

 

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