アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長CEO:岡村 直樹、以下「アステラス製薬」)は、Elpiscience Biopharma, Ltd.(本社:蘇州市 上海、Chairman and CEO:Darren Ji、以下「Elpiscience」)と、新規の二重特異性マクロファージ誘導抗体である、ES019および別の1つのプログラムに関する共同研究およびライセンス契約を締結しました。両社は2つのプログラムについて初期段階の研究を共同で実施します。さらに、アステラス製薬は、最大2つのプログラムを追加する権利も有しています。アステラス製薬はオプション権の行使により、それぞれのプログラムについて研究、開発、製造、商業化の独占的な権利の取得が可能です。

 Elpiscienceは、次世代のがん免疫療法の創出を通じて、世界中のがん患者さんに貢献することを目指す未上場のバイオ医薬品企業です。Elpiscienceの二重特異性マクロファージ誘導抗体プラットフォーム(Bispecific Macrophage Engager Platform:BiME®)は、腫瘍関連抗原(Tumor Associated Antigen:TAA)とシグナル調整タンパクα(Signal Regulatory Protein α:SIRPα)に対する二重特異性抗体を基本としています。BiME®は、TAAとSIRPαを介して腫瘍関連マクロファージ表面のFc受容体とがん細胞を引き寄せ、さらにCD47とSIRPαが結合することで伝達される「don’t eat me」シグナル*1を遮断することにより、非常に高い貪食作用を示します。抗PD-L1/SIRPα二重特異性抗体であるES019はBiME®を搭載しています。

BiME®メカニズム


 腫瘍関連マクロファージは、多くのがん種の腫瘍微小環境内に最も多く存在する白血球であり、予後不良や免疫チェックポイント阻害剤への抵抗性と関連しています。BiME®を搭載したプログラムは、腫瘍関連マクロファージを調節し、腫瘍微小環境を再構築することで、既存のがん免疫療法に応答しないがん患者さんの新たな選択肢となることが期待されます。

 本契約により、アステラス製薬は、契約一時金とライセンスオプション料を含む最大3,700万米ドルを支払う可能性があります。また、アステラス製薬は共同研究の費用をElpiscienceに提供します。アステラス製薬がオプション権を行使した場合、17億米ドル以上の開発、商業化マイルストンに加えて、共同研究から生み出された各製品の売上高に応じた一桁台から二桁台前半%のロイヤルティーをElpiscienceに支払う可能性があります。

 アステラス製薬の経営戦略担当CStO(Chief Strategy Officer)のAdam Pearsonは、「アステラス製薬は、研究開発戦略であるFocus Areaアプローチ*2の中で、特に注力しているPrimary Focusの一つに『がん免疫』を掲げています。Elpiscieneは次世代のがん免疫療法の研究開発に卓越した専門性を有しており、今回の提携により、両社の最先端の技術が相乗効果を発揮し、がん患者さんに対する新しい治療法の開発につながると確信しています」と述べています。

 ElpiscienceのChairman and CEOであるDarren Jiは、「革新的な医薬品開発のグローバルリーダーであるアステラス製薬と協力し、画期的ながん治療法を開発できることを嬉しく思います。Elpiscienceが創出したBiME®は、これまでのT細胞を介したがん免疫誘導からのパラダイムシフトをもたらします。BiME®から生み出される治療法は、腫瘍関連マクロファージが豊富に存在し、既存の治療薬が有効でない、がんに対する治療体系を変える可能性があります。アステラス製薬と協働し、この最先端の科学を世界中の患者さんに届けることを期待しています」と述べています。

 本件によるアステラス製薬の業績への影響は、通期(2024年3月期)連結業績予想に織り込み済みです。

*1 「don’t eat me」シグナル:CD47は「don’t eat me」シグナルを伝達させるタンパク質です。がん細胞表面のCD47がマクロファージ表面のSIRPαと結合すると、マクロファージは貪食作用を抑制します。
*2 Focus Areaアプローチ:アステラス製薬は研究開発の戦略として「Focus Areaアプローチ」をとっています。詳細はAreas of Interest | アステラス製薬 (astellas.com)をご覧ください。

以上

アステラス製薬株式会社について
アステラス製薬は、世界70カ国以上で事業活動を展開している製薬企業です。最先端のバイオロジーやモダリティ/テクノロジーの組み合わせを駆使し、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品の創出に取り組んでいます(Focus Areaアプローチ)。さらに、医療用医薬品(Rx)事業で培った強みをベースに、最先端の医療技術と異分野のパートナーの技術を融合した製品やサービス(Rx+®)の創出にも挑戦しています。アステラス製薬は、変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの「価値」に変えていきます。アステラス製薬の詳細については、(https://www.astellas.com/jp/)をご覧ください。

Elpiscienceについて
Elpiscienceは、革新的ながん免疫療法の創出を通じて、世界中のがん患者さんに貢献することを目指すバイオ医薬品企業です。Elpiscienceは、腫瘍微小環境を対象として、がんを排除するための効果的なメカニズムを特定することに注力しています。マクロファージを活性化させることでサイトカインストーム(免疫細胞が暴走した状態)を起こさず、固形がんを攻撃するBiME®を始めとする、独自のプラットフォームを活用した革新的なパイプラインを有しています。Elpiscienceの詳細については、(www.elpiscience.com)をご覧ください。

注意事項
このプレスリリースに記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述およびその他の過去の事実ではない記述は、アステラス製薬の業績等に関する将来の見通しです。これらの記述は経営陣の現在入手可能な情報に基づく見積りや想定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。さまざまな要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性があります。その要因としては、(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の遅延、(iv)新製品および既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(v)競争力のある新薬を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。

 

メディアからのお問い合わせ
広報
TEL: 03-3244-3201 
受付時間:月曜~木曜日 8:45~17:45、金曜日 8:45~16:00(土日・祝日・会社休日を除く)