- 開発中の前立腺がん治療プログラムPRL-02を獲得 -

 アステラス製薬株式会社(本社:東京、以下「アステラス製薬」)は、Propella Therapeutics, Inc.(本社:米国ノースカロライナ州、President & CEO:William Moore、以下「Propella」)との間で、アステラス製薬が米国子会社を通じてPropellaを買収(以下「本買収」)することに合意し、契約を締結しました。Propellaは、創薬化学とリンパ系への送達を組み合わせた独自のプラットフォームを通じて新規がん治療薬の創出を目指す未上場のバイオ医薬品企業です。

 本買収により、アステラス製薬はPropellaが前立腺がん治療薬として開発中の次世代アンドロゲン合成阻害剤PRL-02(化合物名:アビラテロンデカン酸エステル)を獲得します。PRL-02は、アビラテロンの長時間作用型の新たなプロドラッグ*です。筋肉内投与後、標的組織内で高濃度になり、有効成分であるアビラテロンが持続的に放出されることが期待されます。PRL-02は、CYP17リアーゼ阻害への選択性を高めることで、既存の治療選択肢と比較して有効性および安全性が改善する可能性があります。PRL-02は現在第I相試験が進行中であり、2024年中に第IIa相試験を開始予定です。

 アステラス製薬の代表取締役社長CEOである岡村 直樹は、「本買収は、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する治療薬を患者さんに届けるというアステラスの戦略に合致します。Propellaは前立腺がんを対象とした有望なプログラムPRL-02を有しています。アステラス製薬のがん、泌尿器領域におけるグローバルでの開発・商業化ケイパビリティとの相乗効果でPRL-02の開発を加速し、前立腺がん患者さんへ新たな『価値』を届けることができると確信しています」と述べています。

 PropellaのPresident & CEOであるWilliam Mooreは、「Propellaは、臨床活性と安全性を低下させることが知られている他のステロイドへは大きな影響を与えずに、前立腺がんの主な要因であるアンドロゲン合成を正確に阻害する、高い選択性を持った独自の阻害剤の研究開発に注力してきました。私たちは、アステラス製薬が、潜在的なベストインクラスの前立腺がん治療薬としてPRL-02を高く評価し、更なる開発を進めることを大変嬉しく思います。世界中の前立腺がん患者に新たな治療選択肢を提供するために、アステラス製薬のPRL-02の開発計画を全力で支援してまいります」と述べています。

 本買収契約に基づき、アステラス製薬は、Propellaの発行済み株式等を取得するための対価として約1億7,500万米ドルを支払います。今後、アステラス製薬は必要な法的諸手続きを経て、2024年3月期中に買収を完了する予定です。

 なお、本買収によるアステラス製薬の通期(2024年3月期)連結業績への影響は軽微です。

買収の概要
(1) 株式取得者:Astellas US Holding, Inc.(米国)
(2) Propellaの主要株主:TPC- API LLC、従業員等(ストックオプション含む)
(3) 株式の取得方法:現金(手元資金を充当)
(4) 対価:Propellaの発行済み株式等を取得するための対価として約1億7,500万米ドル
(5) 買収完了予定日:必要な法的諸手続きを経て2024年3月期

対象会社の概要
(1) 名称:Propella Therapeutics, Inc.
(2) 所在地:米国ノースカロライナ州
(3) 代表者:President & CEO William Moore
(4) 設立:2020年
(5) 従業員数:5名(2023年10月現在)
(6) アステラス製薬との関係:対象会社との間には、記載すべき関係はありません。

Propellaの財務アドバイザーはStifel, Nicolaus & Company, Incorporate、法務アドバイザーはCooley LLPが務めます。 

以上

*プロドラッグ:生体内の代謝反応を利用して生体内利用率を高めた薬剤

Propellaについて
Propellaは、ノースカロライナ州ピッツボロに拠点を置き、創薬化学とリンパ系への送達を組み合わせた独自のプラットフォームを通じて、がん領域において有効性および安全性に優れたベストインクラスもしくはファーストインクラスの新しいプロドラッグの創出を目指す未上場のバイオ医薬品企業です。当社のプロドラッグは、疾患との関連が認められる生物学的標的に対しての効果は確認されているものの、治療上の使用が困難な有効成分を利用した化合物です。独自のリンパ送達技術を通じて、これらのプロドラッグをリンパ節や骨を含む標的組織に対して高い濃度で送達し、標的組織内において有効成分を放出させることで、血漿成分由来の安全性および有効性の制限や肝臓における初回通過効果を回避し、化合物の有効性を向上させることが可能となります。Propellaは、転移性前立腺がんの患者さんを対象に、当社のリード化合物PRL-02の第I/IIa相試験を実施しており、現在第I相部分が進行中です。Propellaは既存の標準治療では対応できないがん患者さんのニーズを満たすことに注力しています。

アステラス製薬株式会社について
アステラス製薬は、世界70カ国以上で事業活動を展開している製薬企業です。最先端のバイオロジーやモダリティ/テクノロジーの組み合わせを駆使し、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品の創出に取り組んでいます(Focus Areaアプローチ)。さらに、医療用医薬品(Rx)事業で培った強みをベースに、最先端の医療技術と異分野のパートナーの技術を融合した製品やサービス(Rx+®)の創出にも挑戦しています。アステラス製薬は、変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの「価値」に変えていきます。アステラス製薬の詳細については、(https://www.astellas.com/jp/)をご覧ください。

注意事項
このプレスリリースに記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述およびその他の過去の事実ではない記述は、アステラス製薬の業績等に関する将来の見通しです。これらの記述は経営陣の現在入手可能な情報に基づく見積りや想定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。さまざまな要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性があります。その要因としては、(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の遅延、(iv)新製品および既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(v)競争力のある新薬を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。

 

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