- 去勢抵抗性前立腺がん、転移性去勢感受性前立腺がんに加え、
生化学的再発のリスクが高い非転移性去勢感受性前立腺がんの治療薬としてFDAが承認 -

 アステラス製薬株式会社(本社:東京、以下「アステラス製薬」)は、Pfizer Inc.(本社:米国ニューヨーク州)と共同で開発・商業化を進めている経口アンドロゲン受容体阻害剤であるXTANDI®(一般名:エンザルタミド)について、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)から、FDAの迅速開発審査プログラム(Priority Review指定、Fast Track指定およびReal-time Oncology Review)に従い、生化学的再発(Biochemical Recurrence:BCR)のリスクが高い非転移性去勢感受性前立腺がん(non-metastatic Castration-Sensitive Prostate Cancer:nmCSPC、または非転移性ホルモン感受性前立腺がん(non-metastatic Hormone-Sensitive Prostate Cancer:nmHSPC)としても知られる)の適応追加に関する承認を取得しました。BCRリスクが高いnmCSPC患者は、XTANDI®単独、またはアンドロゲン除去療法(Androgen Deprivation Therapy:ADT)であるゴナドトロピン放出ホルモン(Gonadotropin-Releasing Hormone:GnRH)療法との併用で治療される可能性があります。今回の承認により、XTANDI®は、本適応症においてFDAで承認された最初の新規ホルモン療法となりました。

 根治的前立腺全摘除術、放射線療法、またはその両方を含む前立腺がんの根治治療を受けた男性のうち、推定20~40%が10年以内にBCRを経験します1。BCRのリスクが高い男性の10人に約9人が転移性に進行し、3人に1人が再発により死亡します2

 本承認取得は、BCRのリスクが高いnmCSPC患者を対象に、エンザルタミド+リュープロレリン、プラセボ+リュープロレリン、エンザルタミド単剤による治療を評価した第III相EMBARK試験の結果に基づいています。本試験の詳細な結果については、2023年米国泌尿器科学会年次総会で発表され、その後The New England Journal of Medicineに掲載されました。

 EMBARK試験の結果については、XTANDI®の追加適応の承認取得をサポートするデータとして、欧州医薬品庁(European Medicines Agency:EMA)を含む世界中の規制当局と協議中です。

 アステラス製薬は、新たな治療選択肢を提供することでアンメットメディカルニーズの高い前立腺がん治療に一層の貢献をしていきます。

 本件によるアステラス製薬の通期(2024年3月期)連結業績への影響は織り込み済みです。

 本件は、米国において現地時間11月16日に対外発表しています。

以上

EMBARK試験について
EMBARK試験(NCT02319837)は、第III相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、国際共同試験です。米国、カナダ、欧州、南米、およびアジア太平洋地域において、生化学的再発(Biochemical Recurrence:BCR)のリスクが高い非転移性ホルモン感受性前立腺がん(non-metastatic Hormone-Sensitive Prostate Cancer:nmHSPC)、または非転移性去勢感受性前立腺がん(non-metastatic Castration-Sensitive Prostate Cancer:nmCSPCとしても知られる)の1,068人の被験者が登録されました。BCRのリスクが高いとみなされるのは、前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen:PSA)倍加時間≦9カ月、血清テストステロン≧150 ng/dL(5.2 nmol/L)、前立腺がんの一次治療として根治的前立腺切除術(放射線治療有りまたは無し)を受けた場合は中央検査機関によるスクリーニングにおいてPSA≧1 ng/mL、前立腺癌の一次治療として放射線治療のみ受けた場合はPSAの最低値より少なくとも2 ng/mLより高い値を示した患者とされました。被験者は、連日エンザルタミド160 mgとリュープロレリンを投与する群(エンザルタミド併用群)、エンザルタミド160 mgを単剤療法として投与する群(エンザルタミド単剤群)、プラセボとリュープロレリンを投与する群(プラセボ群)に無作為に割り付けられました。リュープロレリンは22.5 mgを12週間毎に投与されました。
 本試験において、エンザルタミド併用群は、プラセボ群と比較して、病勢進行または死亡のリスクを低減し、統計学的に有意な改善を認め、主要評価項目であるMFSを達成しました。また、エンザルタミド単剤群は、エンザルタミド併用群と同様に、プラセボ群と比較して、病態進行または死亡のリスクを低減し、統計学的に有意な改善を認め、主な副次評価項目であるMFSを達成しました。MFSは、無作為化から客観的指標である中央評価での画像診断における増悪または死亡のいずれか早い方までの期間と定義されます。
 有害事象(Adverse Events:AEs)のうち、重症度がグレード3以上のものは、エンザルタミド併用群の46%、エンザルタミド単剤群の50%、プラセボ群の43%で報告されました。また、それぞれの群の、21%, 18%, 10%は、主な中止理由がAEsとして報告されました。

非転移性去勢感受性前立腺がん(non-metastatic Castration-Sensitive Prostate Cancer:nmCSPC)および生化学的再発(Biochemical Recurrence:BCR)のリスクについて
nmCSPC(またはnmHSPCとしても知られる)とは、がんが前立腺以外の部位に広がっている(転移している)臨床的に検出可能な証拠がなく、テストステロンレベルを下げる内科的または外科的治療にがんがまだ反応する状態のことを指します3,4。根治的前立腺全摘除術、放射線療法、またはその両方を含む前立腺がんの根治治療を受けた男性のうち、推定20~40%が10年以内にBCRを経験します1。BCRのリスクが高い男性の10人に約9人が転移性に進行し、3人に1人が再発により死亡します2。EMBARK試験は、BCRのリスクが高い男性を対象としました。EMBARKのプロトコルにおけるBCRのリスクが高いnmCSPC患者とは、根治的前立腺全摘除術、放射線療法、またはその両方によって最初に治療され、前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen:PSA)倍加時間が9カ月以下の患者としています。PSA倍加時間が9カ月以下のBCRのリスクが高い患者は、転移および死亡のリスクが高くなります5。米国では、年間12,000〜16,000人の患者がBCRのリスクが高いnmHSPCと診断されていると推定されています6

XTANDI®(エンザタミド)について
XTANDI®はアンドロゲン受容体シグナル阻害薬であり、転移性去勢感受性前立腺がん(metastatic Castration-Sensitive Prostate Cancer:mCSPC)、または転移性ホルモン感受性前立腺がん(metastatic Hormone-Sensitive Prostate Cancer:mHSPC)としても知られる)、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)、および非転移性去勢抵抗性前立腺がん(nmCRPC)のいずれか一つ以上の適応症に関して,米国、欧州、日本を含む90カ国以上で承認を取得しています。XTANDI®は進行性前立腺がんの標準治療として確立されており、これまでに100万人以上の患者に処方されています6。また、日本においても去勢抵抗性前立腺癌および遠隔転移を有する前立腺癌の治療薬として承認されています。

Pfizerとアステラス製薬の提携について
2009年10月、現在はPfizer(NYSE:PFE)の子会社であるMedivation, Inc.とアステラス製薬(TSE:4503)は、米国でXTANDI®(エンザルタミド)を共同で開発および商業化するための商業契約を締結しました。アステラス製薬は、米国外での商業化と、グローバルでの製造およびすべての追加の規制当局への申請を担っています。

アステラス製薬株式会社について
アステラス製薬は、世界70カ国以上で事業活動を展開している製薬企業です。最先端のバイオロジーやモダリティ/テクノロジーの組み合わせを駆使し、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品の創出に取り組んでいます(Focus Areaアプローチ)。さらに、医療用医薬品(Rx)事業で培った強みをベースに、最先端の医療技術と異分野のパートナーの技術を融合した製品やサービス(Rx+®)の創出にも挑戦しています。アステラス製薬は、変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの「価値」に変えていきます。アステラス製薬の詳細については、(https://www.astellas.com/jp/)をご覧ください。

注意事項
このプレスリリースに記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述およびその他の過去の事実ではない記述は、アステラス製薬の業績等に関する将来の見通しです。これらの記述は経営陣の現在入手可能な情報に基づく見積りや想定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。さまざまな要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性があります。その要因としては、(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の遅延、(iv)新製品および既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(v)競争力のある新薬を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。

参考文献
1 Ward JF, Moul JW. Rising prostate-specific antigen after primary prostate cancer therapy. Nat Clin Pract Urol. 2005 Apr;2(4):174-82. doi: 10.1038/ncpuro0145. PMID: 16474760.
2 Antonarakis, Emmanuel S et al. “The natural history of metastatic progression in men with prostate-specific antigen recurrence after radical prostatectomy: long-term follow-up.” BJU international vol. 109,1 (2012): 32-9. doi:10.1111/j.1464-410X.2011.10422.
3 Cancer.net. Prostate Cancer: Types of Treatment (12-2022). https://www.cancer.net/cancer-types/prostate-cancer/types-treatment. Accessed March 16, 2023.
4 American Society of Clinical Oncology. ASCO Answers: Prostate Cancer (2021). http://www.cancer.net/sites/cancer.net/files/asco_answers_guide_prostate.pdf. Accessed March 16, 2023.
5 Paller, Channing J et al. “Management of patients with biochemical recurrence after local therapy for prostate cancer.” Hematology/oncology clinics of North America vol. 27,6 (2013): 1205-19, viii. doi:10.1016/j.hoc.2013.08.005 
6 Astellas. Data on File. XTANDI patient. January 2023

 

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