2023.09.12

世界患者安全の日〜患者さんの声を高めよう!

世界患者安全の日〜患者さんの声を高めよう!

9月17日は「世界患者安全の日(World Patient Safety Day)」です。世界保健機関(WHO)は、患者さんの安全性向上のため、WHO加盟国による世界的な連携と行動に向けた活動をすることを目的に、この日を制定しました。2023年は、「Engaging patients for patient safety」(患者さんの安全のために、患者さんの参加を促進する)をテーマとし、「Elevate the voice of patients!」(患者さんの声を高めよう!)というスローガンを掲げています。

 

「世界患者安全の日」の意義

Doug Noland

患者さんの安全性を保証することは医療業界の基本原則ですが、なぜ改めて「世界患者安全の日」を制定する必要があるのでしょうか。

この疑問にアステラスのペイシェントパートナーシップチーム(Patient Partnerships Team、以下PPAT)のヘッドを務めるDoug Nolandは、
「世界患者安全の日の意義は、そのことを常に心に留めておくことであり、結果『自分たちは十分に患者さんの安全に配慮している』という思い込みから重要なことを見落としてしまうリスクを軽減できます。アステラスでは、『より一層(even more)』、すなわち患者さんの安全性、患者の声、患者さんの価値に、より一層コミットするという考え方に重点を置いています。」と話します。
 

「医療業界では、しばしば有効性、すなわち患者さんの症状改善などが臨床試験の評価項目として重要視されます。しかし、患者さんの声に耳を傾け、その声に積極的な対策を講じることが、患者さんの安全性の向上につながることを忘れてはいけません。例えば、ファーマコヴィジランス活動(医薬品の安全性情報管理)に加えて、患者さんとの面談、患者団体との協働を通じ、治療過程において生じる多様なニーズや課題を理解できれば、安全性に関する問題を未然に防ぐことが可能です。」

 

患者さんと信頼関係を築く

PPATは、世界中の患者さんや介護者と積極的に対話し、患者さんの置かれている状況への理解を深め、患者さんの声をアステラスの活動に反映しています。現在、患者さんおよび介護者とアステラスの研究開発チームとの意味のある対話、関係性を促進するために、米国、欧州、アジア地域において30人以上のメンバーが活動しています。
「私たちは、患者さんに関するデータなどの学術的な理解にとどまらず、ひとりの人間として患者さんとつながり、言葉だけでは伝えきれない真意を、時間をかけてより深く理解することに重点を置いています。」

患者さんの感情を軸に考えること(共感ドリブン)は、薬剤や治療計画を作成する際にも重要であることが証明されていますが、患者さんや患者団体との信頼関係が必要不可欠です。
 「私たちは、患者さんや患者団体と、お互いの目的に向かって、お互いが価値を見出せる関係を構築することを目指しています。多くの患者団体は、病気を治すための『希望』を求める患者さんご自身や、その家族によって構成されています。私たちは彼ら彼女らを、同じ目的に向かうパートナーであると考え、信頼関係を築くことからはじめています。」
 

(英語版)
 

個々の患者さんの声を、一般の多くの患者さんを対象にする医薬品の開発にどう反映するのか、と問われることがあります。Dougは
「確かに、少数の患者グループだけに該当する課題もありますが、その課題はその特定の患者グループにとって非常に重要で、深刻なものです。たとえば、臨床試験において必要とされる要件が、一部の患者さんにとって困難な要件であるケースがあります。他の多くの患者さんに悪影響を与えることなく、特定の患者グループが抱える課題を改善することができれば、それは非常に有意義だと思います。」

 

「安全性の向上を担う」という使命感を胸に

PPATは、患者さんの治療と安全性の向上のために幅広く活動しています。その例として、2つの疾患領域の理解を深めるために行った活動を紹介します。

「まず眼科領域において、視力が低下する中で生活をする患者さんが感じる困難を理解するために、研究者向けに視覚障害のシミュレーションを行いました。視覚障害が患者さんに与える大きな影響を改めて理解し、その状況を改善、軽減するために私たちができることを確実に行いたいと考えています。また、日本では『患者さんの靴(Patient Shoes)』と題したワークショップを開催し、研究者や開発者に患者さんの生活を疑似体験してもらいました。がん治療における一般的な副作用として、手のしびれが挙げられます。ワークショップでは、参加者が厚手の手袋やゴム手袋を着用し、動きに制限のある状況下でさまざまなデバイスを扱うことで、患者さんの抱える困難を再現しました。このように、治療後にも起こり得る健康上の課題を疑似体験することで、研究者や開発者が常に潜在的な安全性への影響を想像することができました。」

最後にDougは、安全性向上を担う使命について、次のように話します。
「私たちの使命は、アステラスが医薬品を提供する患者さんの安全を最優先事項とし、彼ら彼女らの人生にプラスの影響を与えることです。これからも私たちは継続的に患者さんの声に耳を傾け、アステラスの活動に反映します。また、医薬品の研究開発に従事する社員たちが、患者さんやその介護者と時間を共にし、日々の暮らしや課題、経験を共有する機会をつくり続けます。」

アステラスが実践するペイシェント・セントリシティの詳細について、こちらの記事もご覧ください。

 


 

アステラスのペイシェント・セントリシティシリーズ

行動科学の力で患者さんの治療を変える

行動科学の力で患者さんの治療を変える

Read more
ペイシェント・セントリシティの新たな取り組み〜アンメットメディカルニーズに挑む社内コンペティションを開催

ペイシェント・セントリシティの新たな取り組み〜アンメットメディカルニーズに挑む社内コンペティションを開催

Read more

 

 

関連リンク