アステラス製薬株式会社(本社:東京、以下「アステラス製薬」)は8月17日(現地時間)、地図状萎縮(Geographic Atrophy:GA)を伴う加齢黄斑変性(Age-related Macular Degeneration:AMD)の治療薬として開発中の補体因子C5阻害剤のavacincaptad pegol(以下「ACP」)について、欧州医薬品庁(European Medicines Agency:EMA)から販売承認申請を受理した旨の通知を受領しました。今後、EMAの欧州医薬品委員会(Committee for Medicinal Products for Human Use:CHMP)による承認審査が始まります。

 GAはAMDの一病態で、不可逆的な視力低下を引き起こす可能性があります1。適切なタイミングでの治療がなければ、GA患者の推定66%が失明または重度の視覚障害になる可能性があります2。全世界で約500万人が少なくとも片目にGAを発症しているとされています1

 今回の承認申請は、GAを伴うAMD患者を対象に、ACPを毎月2mgずつ硝子体内投与し、安全性と有効性を評価した2つのピボタル試験(GATHER1試験、GATHER2試験)の結果に基づいています。両試験における投与後12カ月時点での主要評価項目の解析では、偽処置対照群と比較して、ACP投与群でGAの進行速度が統計学的に有意に抑制していることが示されました。GATHER試験では、700人以上のGA患者を対象に安全性が評価されました。

 ACP(製品名:IZERVAY)は、GAを伴うAMDの治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)から2023年8月4日(現地時間)に承認を取得しています。

 EMAの申請受理によるアステラス製薬の通期(2024年3月期)連結業績への影響はありません。

以上

 

Avacincaptad Pegol(ACP)について
Avacincaptad pegol(ACP)は、地図状萎縮(Geographic Atrophy: GA)を伴う加齢黄斑変性(Age-related Macular Degeneration: AMD)の治療薬として開発中の補体因子C5阻害剤です。補体系の過剰な活性化とC5タンパク質は、地図状萎縮(GA)を伴う加齢黄斑変性(AMD)の発症や悪化、視力低下に重要な影響を及ぼすと考えられています。ACPは、C5タンパク質を標的とすることによって、網膜細胞の変性を引き起こす補体系の活性を低下させ、GAの進行を遅らせる可能性があります。

地図状萎縮(Geographic Atrophy: GA)を伴う加齢黄斑変性(Age-related Macular Degeneration: AMD)について
加齢黄斑変性(AMD)は、高齢者における中等度から重度の中心視力低下の主な原因であり、患者さんの大半は両目を侵されています。黄斑は網膜の中心部にあるわずかな領域で、中心視力をつかさどっています。AMDが進行すると、黄斑部の網膜色素上皮細胞とその下部にある血管が失われ、網膜組織が著しく薄くなったり、萎縮したりします。地図状萎縮(GA)を伴うAMDは、患者さんの視力を不可逆的に低下させます。

GATHER試験について
無作為化二重盲検偽処置対照多施設共同の第III相試験である、完了したGATHER1試験および進行中のGATHER2試験において、ACPは主要評価項目を達成しました。両試験では、GAを伴うAMD患者を対象に、ACPを毎月2mgずつ硝子体内投与した場合の安全性と有効性を評価しました。両試験とも、最初の12カ月間は、毎月1回ACP2mgを投与される群と偽処置対照群に無作為に割り付けられました。GATHER1試験には286人、GATHER2試験には448人が組み入れられました。両試験の主要評価項目は、ベースライン、6カ月目、12カ月目の3時点における眼底自発蛍光法で測定されたGA面積に基づくものでした。GATHER試験では、700人以上のGA患者を対象に安全性が評価されました。

アステラス製薬株式会社について
アステラス製薬は、世界70カ国以上で事業活動を展開している製薬企業です。最先端のバイオロジーやモダリティ/テクノロジーの組み合わせを駆使し、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品の創出に取り組んでいます(Focus Areaアプローチ)。さらに、医療用医薬品(Rx)事業で培った強みをベースに、最先端の医療技術と異分野のパートナーの技術を融合した製品やサービス(Rx+®)の創出にも挑戦しています。アステラス製薬は、変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの「価値」に変えていきます。アステラス製薬の詳細については、(https://www.astellas.com/jp/)をご覧ください。

注意事項
このプレスリリースに記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述およびその他の過去の事実ではない記述は、アステラス製薬の業績等に関する将来の見通しです。これらの記述は経営陣の現在入手可能な情報に基づく見積りや想定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。さまざまな要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性があります。その要因としては、(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の遅延、(iv)新製品および既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(v)競争力のある新薬を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。

References
1. Boyer DS, et al. The pathophysiology of geographic atrophy secondary to age-related macular degeneration and the complement pathway as a therapeutic target. Retina. 2017;37(5):819-835.
2. Colijn JM, Liefers B, Joachim N, et al. Enlargement of geographic atrophy from first diagnosis to end of life. JAMA Ophthalmol. 2021;139(7):743-750.

 

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