日本ベーリンガーインゲルハイム(本社:東京都品川区、会長兼社長:Dr.トーマス・ハイル)とアステラス製薬(本社:東京都中央区、社長:野木森 雅郁)は、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)のテルミサルタンとサイアザイド系利尿薬のヒドロクロロチアジド(HCTZ)の配合剤「ミコンビ®配合錠」を6月23日に発売しましたのでお知らせします。「ミコンビ®配合錠」は、従来からのテルミサルタン製剤「ミカルディス®錠」と同様に、日本ベーリンガーインゲルハイムが製造し、アステラス製薬が販売を行い、両社で共同販促(コ・プロモーション)します。

高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)では、ARB単剤で降圧効果が不十分な場合は、ARBと少量の利尿薬との併用が推奨されています1。作用機序の異なる両剤の併用により、相乗的な降圧効果とともに、血清カリウムに与える影響などを相殺することができると考えられています

ミコンビ®配合錠は、ARBテルミサルタンと少量利尿薬ヒドロクロロチアジド(HCTZ)12.5mgとの配合剤です。1錠あたりテルミサルタン40mgを含有する「ミコンビ®配合錠AP」と、1錠あたりテルミサルタン80mgを含有する「ミコンビ®配合錠BP」の2種類の製剤があります。

国内臨床試験において、「ミコンビ®配合錠AP」は、治験終了時の収縮期血圧のベースラインからの血圧下降度が-23.3mmHgと極めて強力な降圧効果を示しました。この ミコンビ®配合錠は、単剤で厳格な降圧治療を可能にするだけでなく、アドヒアランス(治療継続)の改善という点においても大いに期待される薬剤です1。なお国内では約4,000万人が高血圧症に罹患していると推定されていますが、高血圧治療を受けているにもかかわらず、約6割の患者が血圧管理目標値(随時血圧<140m/90mg)を達成していないという調査結果があります。また高血圧患者277人を対象に行った薬剤の使用量に関する意識調査では、83.8%が「薬剤数が増えること」に抵抗を感じると回答しています5

テルミサルタン/HCTZ配合錠(ミコンビ®配合錠)の日本での臨床試験を主導した愛媛大学病態情報内科学教授 檜垣實男医師は、「食塩の過剰摂取が高血圧を発症させる大きな要因となっています。こうした現代の高血圧治療では、食塩の排泄を促すことが理にかなっており、薬理的にも組み合わせの良い、ARBなどのレニン・アンジオテンシン系阻害薬をベースに少量利尿薬を追加投与する併用療法の臨床上のベネフィットが認められるようになっています」と、食塩過剰摂取時代の高血圧に対する併用療法の意義を説明しました。檜垣教授は更に、「患者視点から考えると配合剤は、1錠で高血圧を的確に管理できることから薬剤に対する信頼がより高まることとなり、また薬剤数が増えていくことへの心理的な抵抗も引き起しません。合理的にアドヒアランス(治療継続)を改善するのです」と、配合剤の意義を説明しました。檜垣教授は、「ARBと利尿剤の配合剤は、単剤で厳格な降圧効果が得られないという、降圧治療で直面し得る手詰り感に対して具体的に提示された有力なソリューションです」と、コメントをまとめました。

製品概要は次の通りです。
・ 承認日:2009年4月22日
・ 薬価基準収載日:2009年6月19日
・ 販売開始日:2009年6月23日
・ 製品名:ミコンビ®配合錠AP、ミコンビ®配合錠BP
・ 一般名:テルミサルタン/ヒドロクロロチアジド
・ 成分・含量:
          ミコンビ®配合錠AP:
          1錠中テルミサルタン40mg及びヒドロクロロチアジド12.5mgを含有
          ミコンビ®配合錠BP:
          1錠中テルミサルタン80mg及びヒドロクロロチアジド12.5mgを含有
・ 効能・効果:
         高血圧症
・ 用法・用量:
         成人には1日1回1錠(テルミサルタン/ヒドロクロロチアジドとして
         40mg/12.5mg又は80mg/12.5mg)を経口投与する。本剤は高血圧治療の
         第一選択薬として用いない
・ 薬価: ミコンビ®配合錠AP 157.30円 ミコンビ®配合錠BP 234.40円

 

テルミサルタンについて
テルミサルタンは、有効性を検証するために多くの臨床試験が実施されている、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)のひとつです。テルミサルタン単剤では「ミカルディス®錠」として発売されており、今回、新たに「ミコンビ®配合錠」を製品のラインナップに加えます。テルミサルタンについては心血管イベント抑制効果を検証するために、大規模臨床試験プログラム「ONTARGET®6、「PRoFESS®7など、合計58,000人以上を対象とした臨床試験が実施されました。その結果テルミサルタンの優れた心血管イベント抑制効果が認められました。
テルミサルタンおよびテルミサルタン/ヒドロクロロチアジド配合錠はベーリンガーインゲルハイムにより発見・開発された薬剤で、日米欧を含み約90ヵ国で発売されています。日本ではテルミサルタン製剤の「ミカルディス®錠」、このたび発売を開始した「ミコンビ®配合錠」とも、日本ベーリンガーインゲルハイムが製造し、アステラス製薬が販売を行ない、両社でコ・プロモーション(共同販促)をします。いずれも日本での効能・効果は「高血圧症」です。


References
1. 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会: 高血圧治療ガイドライン2009 (JSH2009)
2. 降圧目標達成のために-ARB/利尿薬合剤の魅力とは-: 島田和幸: 血圧13:1314-1318,2006
3. 承認時評価資料
4. Isolated uncontrolled hypertension at home and in the office among treated hypertensive patients from the J-HOME study: Obara T, et al: J Hypertens 2005; 23: 1653–1660
5. 高齢者におけるARB/利尿薬合剤の位置づけ: 楽木宏美、荻原俊夫: 血圧13:1340-1344,2006
6. The ONTARGET Investigators: Telmisartan, Ramipril, or Both in Patients at High Risk for Vascular Events. New Eng J Med: 358 (15): 1547, 2008
7. Telmisartan to prevent recurrent stroke and cardiovascular events: The PRoFESS group: N Engl J Med 359: 1225-1237, 2008

 

以 上

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