チボザニブ臨床開発プログラムとして3番目のがん腫を対象としたBATON-BC試験を開始 

アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)は、本日、米国の医薬品会社アヴェオ社(英名:AVEO Oncology、本社:米国マサチューセッツ州)と共同で開発を進めている、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体1、2、3阻害剤チボザニブ(一般名、英語名称:tivozanib、開発コード:ASP4130)について、これまでに進行性あるいは転移性乳がんに対する全身性治療歴がない局所再発又は転移性トリプルネガティブ乳がんの患者において、BATON-BCと呼ばれる無作為抽出二重盲検多施設第II相試験への患者組み入れを開始したことをお知らせします。パクリタキセルを併用したチボザニブの有効性をパクリタキセルを併用したプラセボと比較評価します。

   トリプルネガティブ乳がんは、アンメット治療ニーズが高いことと、このがん腫において腎細胞がんと同様にVEGF経路の制御が解除されているという特徴が強く認められるというアヴェオ社のHuman Response PlatformTMから得られた知見に基づきチボザニブの臨床評価の対象として選択されました。BATON-BCは、BATON(Biomarker Assessment of Tivozanib in ONcology)臨床開発プログラムの一環として3番目に開始される臨床試験です。本プログラムでは、進行性転移性大腸がんおよび進行性腎細胞がんでの臨床試験が進行中です。

   ハーバード・メディカルスクール薬学部助教授でDana-Farber/Brighamクリニカル・リサーチおよびWomen’s Cancer Center at Faulkner Hospital所長であり、またBATON-BCの治験責任医師であるErica Mayer, M.D., M.P.H.はこう述べています。「既存の化学療法及びホルモン療法は、乳がんと診断された女性の生存期間を有意に延長しましたが、トリプルネガティブ乳がん治療中の患者の治療ニーズは未だ満たされていません。BATON-BC試験は、無増悪生存期間を評価するとともに、チボザニブによる治療に反応する可能性が最も高い患者と抵抗性を示す患者を特定することにより、トリプルネガティブ乳がんに対する理解を深めることができるようデザインされています。」

   アヴェオ社主導で実施されるBATON-BC試験は、二重盲検プラセボ対照無作為抽出(チボザニブ対プラセボ比が2:1)多施設試験であり、世界各国の50施設で約147例の患者を組み入れる予定です。BATON-BCの主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、副次的な評価項目は、奏功率、全生存期間及び安全性です。さらにBATON-BCでは、トリプルネガティブ乳がん患者におけるチボザニブの臨床効果を予測するための指標となりうるバイオマーカーとの相関についても評価します。

   アステラス製薬グローバル ディベロップメント、Medical OncologyのVice President、Stephen Eck, M.D., Ph.D. は、以下のように述べています。「チボザニブは、進行性腎細胞がんの適応症で現在FDAの審査中ですが、我々は進行性腎細胞がんに続くチボザニブ開発の検討に取り組んでいます。アステラス製薬では、がん患者の治療方法に変革をもたらすような分子標的薬及びプレシジョン・メディシンの創出と開発に力を注いでいます。」

   転移性乳がん患者を対象としたチボザニブ(28日を1サイクルとして0.5mg-1.5mg/日を3週間投与後1週間休薬)を週1回投与のパクリタキセル(3週間投与後1週間休薬)と併用した第Ib相臨床試験のデータによると、この2剤(チボザニブ 1.5mg及びパクリタキセル 90mg/ m2)の併用療法はいずれの薬剤も投与量や投与スケジュールを変更することなく忍容性が示されており、奏功率は38%(13例中5例)という結果でした。同試験において、患者の54%(13例中7例)において病勢安定で、病勢安定期間の中央値は8.5ヵ月でした(4.2〜10.7ヵ月)。

   アヴェオ社最高メディカル責任者であるWilliam Slichenmyer, M.D., Sc.M.は、以下のように述べています。「トリプルネガティブ乳がんの治療において承認された分子標的治療薬はこれまでありません。我々は、アヴェオ社のHuman Response PlatformTMから得られたバイオマーカーを、チボザニブによる治療の恩恵を受ける可能性が最も高い乳がん患者の特定に利用することを目指して評価していきます。進行性腎細胞がんについては、つい最近チボザニブの承認販売申請をFDAへ提出しましたが、引き続き他の固形がんについてもチボザニブの開発を進めており、トリプルネガティブ乳癌患者における新たな治療選択肢の候補としてチボザニブの評価を更に進めていきたいと考えています。」

   本件については、米国において、現地時間2012年12月3日に対外発表しています。

 

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