アステラス製薬株式会社(本社:東京都中央区、社長:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)とユーシービージャパン株式会社 (本社:東京都新宿区、社長:ジョエル・ピーターソン、以下「ユーシービージャパン」、また、ユーシービーグループを総称して以下「UCB」)は両社で共同開発・商業化を進める、PEG化*1抗TNF-α(腫瘍壊死因子α)抗体「セルトリズマブ ペゴル」(一般名、日本での製品名「シムジア®」欧米での製品名「Cimzia®」)のC-OPERA試験(メトトレキサート(MTX)未治療で予後不良因子を有する発症後1年以内の患者さんを対象としてMTX併用下におけるセルトリズマブ ペゴル(CZP)の有効性及び安全性をMTX単独治療と比較検討した第Ⅲ相試験)の結果※を2014年11月14-19日に米国、ボストンで開催されました米国リウマチ学会議(ACR /ARHP 2014)にて発表しましたのでお知らせいたします。(※一部はEULAR2013にて発表済み)
1年後の関節破壊の進行を治療開始時の患者特性に注目してサブグループ解析した結果では、MTX単独治療においては、治療開始前の抗CCP抗体*2値、リウマチ因子(RF)*3値、疾患活動性(DAS28(ESR) *4)、身体機能障害(HAQ-DI*5)、CRP*6値、MMP-3*7値が高い、あるいは関節破壊(mTSS*8)を有するサブグループにおいて、関節破壊がより進行する傾向が認められました。一方、CZP+MTXの併用療法では、このような特性を有する患者においても、MTX単独治療に比べて関節破壊の進行抑制が認められました。
シムジア®は、世界初のPEG化抗TNF-α抗体医薬品です。本剤は、関節リウマチなどの炎症性疾患の発症や悪化に関与するTNF-αに強い親和性を示し、TNF-αの作用を選択的に阻害します。本剤は、ヒト化抗体のFc部分を除いたFab部分*9にPEGを結合させることで血中半減期が延長されるため、関節リウマチ治療において2週に1回あるいは月1回の皮下投与で効果を示します。本剤は、国内臨床試験において、MTX併用の有無に関わらず速やかに症状および徴候が改善し、その後も効果が維持されること、関節破壊の進行を抑制することが確認されています。海外臨床試験においてMTX併用で、導入治療及びその後の維持治療において速やかに症状および徴候が改善し、その後も効果が維持されることが確認されています。また、関節破壊の進行を抑制することが明らかにされています。シムジア®は、関節リウマチ患者さんが使いやすい形状に配慮したプレフィルドシリンジで、医師により適用が妥当と判断された場合には、自己投与も可能となっており、有効性、安全性に加え、患者さん自身による使用にも配慮した製剤で、関節リウマチ患者さんの症状改善、QOL及びアドヒアランス*10向上に重要な役割を果たすものと期待しています。
アステラス製薬とUCBは、2012年1月にシムジア®の日本における共同開発・商業化契約を締結しました。シムジア®については、同年12月にユーシービージャパンが日本において製造販売承認を取得し、2013年3月に発売しております。なお、2014年6月にC-OPERA試験の結果に基づいて、日本で効能・効果追加の申請をしております。
*1: 抗体をポリエチレングリコール(PEG)で修飾すること。
*2: 自己抗体の一つで、関節リウマチの診断に使用される。
*3: 自己抗体の一つで、関節リウマチの診断に使用される。
*4: 関節リウマチの疾患活動性をスコア化した指標。
*5: 関節リウマチの身体機能障害をスコア化した指標。
*6: 炎症の程度を示す急性期タンパク質。
*7: 滑膜細胞による産生されるタンパク分解酵素。軟骨破壊に関与している。
*8 関節リウマチ患者の構造的損傷をスコア化した指標。
*9: 抗体はY字に似た構造を持ち、上部のFab(抗原認識部位)と下部Fc(補体結合部位)に分かれている
*10: 患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること
以上