-第III相MORPHO試験のデータを2023年欧州血液学会年次総会で発表-
-探索的解析で微小残存病変陽性患者の無再発生存期間の改善を確認-

 アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長CEO:岡村 直樹、以下「アステラス製薬」)は、急性骨髄性白血病(AML: acute myeloid leukemia)治療薬として開発を進めているFLT3(FMS-like tyrosine kinase 3)阻害剤ギルテリチニブの第III相MORPHO試験において、FLT3遺伝子内縦列重複(ITD: Internal Tandem Duplication)変異陽性(FLT3-ITD)AML患者のうち、検出可能な微小残存病変(MRD:measurable residual disease)陽性患者に対するサブグループ解析で有効性が示唆されたという結果を、Blood and Marrow Transplant Clinical Trials Network(BMT CTN)と共同で、ドイツのフランクフルトにおいて開催されている2023年欧州血液学会(European Hematology Association: EHA)年次総会で現地時間の6月11日に口頭発表します。

 FLT3-ITD AML患者を対象とした造血幹細胞移植(HSCT: hematopoietic stem cell transplant)後の維持療法としてギルテリチニブを評価したMORPHO試験のデータでは、全体のコホートにおいて無再発生存期間(RFS: relapse-free survival)で統計学的に有意な改善は認められませんでした(ギルテリチニブ群対プラセボ群のHR=0.68;P=0.0518)。しかしながら、同試験のサブグループ解析から、MRD陽性患者において、RFSに臨床的な改善がみられました(投与後2年時点、ギルテリチニブ群72.4%、プラセボ群57.4%、HR=0.515、[95%信頼区間[CI]: 0.316-0.838]、P=0.0065)。一方、MRD陰性患者ではHR=1.213([95%信頼区間[CI]: 0.616-2.387]、P=0.575)でした。以上の探索的解析から、ギルテリチニブは、HSCT前後でMRDが陽性となった約50%の患者に対して良好なRFSを示しました。また、北米の患者層におけるRFSのHR(ギルテリチニブ群対プラセボ群)は0.397(P=0.0022)でした。こうした地域差の理由について、さらに分析しています。

 第III相MORPHO試験は、寛解導入療法後に寛解したFLT3-ITD変異陽性のAML患者356名を対象とする無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験で、 HSCT後2年間にわたる維持療法においてギルテリチニブとプラセボの比較を行いました。すでに開示している通り、本試験では、プラセボ群と比較してギルテリチニブ群は主要評価項目であるRFSを達成しませんでした。また、副次評価項目であるOSも達成しませんでした。最も多く見られた治験薬投与下の有害事象(TEAE: treatment-emergent adverse events)は好中球減少、下痢および悪心であり、ギルテリチニブの他の臨床試験結果とおおむね一致していました。プラセボと比較したギルテリチニブに関連するTEAEは、好中球減少(42.1%対15.8%)、慢性移植片対宿主病の増加(52.2%対42.1%)でした。追加データおよびサブ解析は、今後論文投稿あるいは学会発表される予定です。本試験は、BMT CTNと共同で実施されました。

 ギルテリチニブは、米国、日本、中国および欧州の一部の国で、再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性AMLの成人患者の治療剤XOSPATA®(日本での製品名:ゾスパタ®錠40mg)として販売されています。

以上

 

メディアからのお問い合わせ
広報
TEL: 03-3244-3201 
受付時間:月曜~木曜日 8:45~17:45、金曜日 8:45~16:00(土日・祝日・会社休日を除く)