-進行性尿路上皮がん患者の44%で奏効 -

 

 アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長CEO:安川 健司、以下「アステラス製薬」)は、Seattle Genetics, Inc.(以下、「Seattle Genetics社」)と共同で開発を進めている抗体-薬物複合体(ADC: Antibody-Drug Conjugate)エンホルツマブ ベドチン(一般名)について、局所進行性または転移性尿路上皮がん患者を対象とした第II相試験(EV-201 試験)の白金製剤およびPD-1またはPD-L1チェックポイント阻害剤による治療歴のある患者群(コホート1)における試験結果を、米国シカゴで開催されている2019年米国臨床腫瘍学会 (ASCO: American Society of Clinical Oncology)年次総会で発表しました(Abstract #LBA4505)。なお、本試験結果は、医学専門誌への掲載のために論文提出されています。

 この患者群(コホート1)において、エンホルツマブ ベドチンの投与により多くの患者で速やかな腫瘍縮小が認められ、全奏効率は44%(55/125例、95% 信頼区間: 35.1-53.2)でした。このうちの15例に完全奏効が認められ、完全奏効率は12%(15/125例)でした。奏効期間の中央値は7.6カ月(範囲: 0.95-11.3+)でした。これまでに3種類以上の治療を受けた患者、肝転移患者、およびPD-1またはPD-L1阻害剤に奏効しなかった患者など、予後不良患者を含むサブグループでも同様の奏効が認められました。なお、患者の40%以上に発現した薬剤に関連する有害事象は、疲労、脱毛、発疹、食欲減退、味覚異常、末梢神経障害でした。

 近年の治療法の進歩にもかかわらず、初期治療として白金製剤による化学療法が無効となった進行性尿路上皮がんの標準治療であるPD-1またはPD-L1阻害剤に、患者の約80%は奏効しません。これらの患者は治療選択肢がほとんどなく、新しい治療法が早急に求められています。

 エンホルツマブ ベドチンは、尿路上皮がんで高発現しているタンパクであるネクチン-4を標的とするADCです。アステラス製薬とSeattle Genetics社は、EV-201 試験の結果に基づき、2019年後半に米国食品医薬品局(FDA)に生物学的製剤承認申請(BLA: Biologics License Application)を行なう予定です。本剤は、第I相試験であるEV-101 試験の予備的な結果に基づき、免疫チェックポイント阻害剤による治療中または治療後に病勢の進行が認められた局所進行性または転移性尿路上皮がんを対象として、FDAからBreakthrough Therapy Designationを受けています。

EV-201試験結果概要

有効性

 エンホルツマブ ベドチンによる治療を受けた患者125人において、主要評価項目である独立画像判定機関により確定された全奏効率は、44% [55/125例; 95%信頼区間: 35.1-53.2]でした。本試験の主要な副次評価項目である全奏効期間は、7.6カ月(範囲: 0.95-11.3+)でした。ほとんどの奏効は、最初の治療サイクルで認められ、また、前治療歴の数、過去のPD-1またはPD-L1阻害剤への奏効、または肝転移の有無にかかわらず、事前に設定された全ての患者サブグループで認められました。

• 過去に3種類以上の治療を受けた患者:全奏効率41%(26/63例)
• PD-1またはPD-L1阻害剤に奏功しなかった患者: 全奏効率41%(41/100例)
• 肝転移があった患者:全奏効率38%(19/50例)

 全生存期間の中央値は11.7カ月(95%信頼区間: 9.1-未到達)、無増悪生存期間の中央値は5.8カ月(95%信頼区間: 4.9-7.5)でした。

安全性

• 薬剤に関連した主な有害事象(患者の40%以上に発現)は、疲労(50%(62/125例))、脱毛(49%(61/125例))、発疹(48%(60/125例))、食欲減退(44%(55/125例))、味覚異常(40%(50/125例))、末梢神経障害(50%(63/125例))でした。
• 末梢神経障害および発疹の重症度は、多くがグレード2以下でした(それぞれ94%、75%)。高血糖が患者の11%(14/125例)に発現しました。
• 主な重度の有害事象(グレード3以上)は、好中球減少症(8%(10/125例))、貧血(7%(9/125例))、疲労(6%(7/125例))でした。間質性肺疾患による1例の死亡が安全性報告期間外に発生しましたが、高用量ステロイドの長期使用および肺炎の疑いが影響している可能性があります。

 EV-201試験のほか、エンホルツマブ ベドチンのグローバルでの承認申請のために、現在、国際共同無作為化第III相検証試験(EV-301 試験)が進行中です。そのほか、新たに診断された患者および早期ステージから病勢が進行した患者におけるペムブロリズマブと白金製剤による化学療法との併用、あるいはそのいずれかによる治療を含む、局所進行性または転移性尿路上皮がん患者の早期治療に対するエンホルツマブ ベドチンの評価を目的とした試験(EV-103)が進められています。

 本件については、米国において現地時間6月3日に対外発表しています。

以上