アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:野木森 雅郁、以下「アステラス製薬」)は、当社の欧州子会社アステラスファーマヨーロッパLtd.(本社:英国ステインズ、以下「アステラス ファーマ EU」)が、米国のバイオ医薬品会社ニューロジェシックス社(英名:NeurogesX, Inc.、本社:米国カリフォルニア州、CEO : Anthony DiTonno)と、6月19日(現地時間)に、同社の末梢神経因性疼痛治療剤「QutenzaTM(キューテンザ)」について、欧州および中東、アフリカ(以下「契約地域」)での商業化に関する独占的なライセンス契約を締結しましたので、お知らせします。

 Qutenzaは、高濃度カプサイシンを主成分とする局所パッチ剤です。単剤および他の疼痛治療剤との併用により、成人における非糖尿病性の末梢神経因性疼痛を適応症として、2009年5月に欧州委員会(European Commission)より承認を取得しています。

 今回の契約により、アステラス ファーマ EUは契約地域におけるQutenzaの商業化、ならびに欧州市場における市販後の臨床試験を行ないます。アステラス ファーマ EUは契約締結時に、Qutenzaの商業化の権利取得の対価として30百万ユーロの一時金をニューロジェシックス社に支払います。また、Qutenzaと同じ有効成分を用いて液剤での開発を進めている次世代の末梢神経因性疼痛治療剤NGX-1998のオプション権取得の対価として、5百万ユーロの一時金を支払います。
 また、アステラス ファーマ EUは、Qutenzaの売上に応じて発生する追加のマイルストン支払いおよびNGX-1998のオプション権行使時の追加支払いと合わせて、総額で約70百万ユーロをニューロジェシックス社に支払う可能性があります。さらに、売上に応じて漸増する二桁台のロイヤリティを支払うことになります。
 このほかアステラス ファーマ EUは、Qutenzaの販売・販促をサポートする追加試験および承認要件とされた市販後調査に関わる試験の費用を負担します。これらの試験には、取得適応症に関する長期安全性試験などが含まれています。

 今回の契約締結時に、アステラス ファーマ EUはNGX-1998のライセンスに関するオプション権を取得しましたが、アステラス ファーマ EUがこの権利を行使した場合は、両社共同でその後の第3相臨床試験を行います。

 アステラス ファーマ EUは、欧州20カ国に販売子会社を有するほか、欧州全域をカバーし事業活動を展開しています。このたびのQutenzaのライセンス契約締結により、同社の欧州市場における事業基盤が一層強化されるものと期待しています。
 なお、本件については、ニューロジェシックス社ならびにアステラスファーマEUが現地時間6月22日に対外発表しています。

 

[ご参考]

○ニューロジェシックス社(NuerogesX, Inc.)について

ニューロジェシックス社は、新規の疼痛管理治療薬の開発・商業化に特化したバイオ医薬品企業であり、現在、ヘルペス後神経痛(PHN)、HIV関連遠位知覚多発性神経障害(HIV-DSP)、有痛性糖尿病性神経障害(PDN)を含む、慢性末梢神経因性疼痛などの領域にフォーカスしています。末梢神経因性疼痛治療剤Qutenzaは、同社の製品ポートフォリオの中でも最も開発が先行している製品であり、欧州において承認を取得しているほか、米国では現在、申請段階にあります。

○Qutenza(高濃度カプサイシン)の作用メカニズムについて

カプサイシンは唐辛子の辛味をもたらす成分です。カプサイシンは、発痛物質ですが鎮痛薬としても使われています。これは、神経因性疼痛や炎症性疼痛発生に関与している感覚神経終末のカプサイシン受容体(TRPV1)がカプサイシンによって刺激を受けると、当該受容体の感受性が低下(脱感作)することから痛み刺激の伝達が抑制され、痛みを感じにくくなるためと考えられています。

 

以 上

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