アステラス製薬株式会社（本社：東京、代表取締役社長CEO：岡村 直樹、以下「アステラス製薬」）と4D Molecular Therapeutics, Inc.（本社：米国カルフォルニア州、CEO：David Kirn、以下「4DMT社」）は、アステラス製薬が4DMT社独自の高い網膜指向性を持つアデノ随伴ウイルスベクター（AAV）R100*1を眼科希少遺伝性疾患における1つの創薬ターゲットに使用するライセンス契約を締結しました。アステラス製薬がオプション権を行使すれば、さらに最大2つの創薬ターゲットについてR100ベクターを使用できます。
4DMT社は、臨床段階の遺伝子治療プログラムを有するバイオ医薬品企業です。R100ベクターは硝子体内への投与用に、4DMT社により開発されたAAVであり、網膜に存在する内境界膜バリアの透過、および網膜細胞へ効率的に遺伝子を導入する能力を備えています。4DMT社が有する臨床段階にある3つの臨床プログラムは、滲出型加齢黄斑変性症および糖尿病性黄斑浮腫を対象とした4D-150を含め、すべてR100ベクターを使用しています。
本契約により、4DMT社は、独自の技術であるR100ベクターの情報をアステラス製薬に提供します。アステラス製薬は、R100ベクターを眼科希少遺伝性疾患における自社独自の遺伝子ペイロード*2と組み合わせた研究、および研究から創出されたプログラムの開発、製造、商業化を行います。アステラス製薬は契約一時金として2,000万米ドルを支払います。さらに、最初のターゲットに対して近い将来に支払う開発マイルストン1,500万米ドルを含むプログラムの進捗に応じた最大9億4,250万米ドルのマイルストンに加えて、一桁台半ばから二桁台前半%の売上高に応じたロイヤリティを4DMT社に支払う可能性があります。
今回の契約について、4DMT社の共同創業者 兼 CEOのDavid Kirnは、「AAV遺伝子治療のリーダーであるアステラス製薬とライセンス契約を締結できたことを大変嬉しく思います。両社の技術とケイパビリティを組み合わせることで、低用量の硝子体内投与で遺伝子ペイロードを目的部位へ送達するR100ベクター技術を検証し、網膜疾患治療に新たな選択肢を提供することを目指します。4DMT社は、滲出型加齢黄斑変性症や希少な眼科疾患に苦しむ70名以上の患者さんに対し、R100技術を使用した臨床プログラムを投与しています。本提携は、新しい硝子体内投与治療プログラムの設計と開発を効率化するTherapeutic Vector Evolutionプラットフォームの高い汎用性を継続的に実証するものです。なお、市場性の高い非遺伝性眼科疾患に関する権利は4DMT社が保持します」と述べています。
また、アステラス製薬の経営戦略担当CStO（Chief Strategy Officer）のAdam Pearsonは、「アステラス製薬は研究開発戦略であるFocus Areaアプローチの中で、特に注力しているPrimary Focusの一つに『再生と視力の維持回復』があります。遺伝子治療技術の最先端に立ち続けることは本Primary Foucs戦略の鍵となります。今回の提携により、両社の最先端の技術が相乗効果を発揮し、失明リスクの高い眼科疾患を抱える患者さんに対する新しい治療法の開発につながると確信しています」と述べています。
本件によるアステラス製薬の業績への影響は、通期（2024年3月期）連結業績予想に織り込み済みです。
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