アステラス製薬株式会社(社長:野木森 雅郁、以下「アステラス製薬」)は、「前立腺肥大症に伴う排尿障害治療薬 塩酸タムスロシンの創製」について、「第56回大河内賞 大河内記念賞」をアステラス製薬会長竹中登一ら(*)が受賞しましたので、お知らせします。大河内賞は、故大河内正敏博士の功績を記念して、財団法人大河内記念会(理事長:吉川弘之氏)が日本の生産工学や生産技術分野の卓越した業績を表彰する伝統と権威ある賞です。大河内記念賞は、大河内賞の中で最高賞にあたるものです。なお、贈賞式は3月12日、日本工業倶楽部会館にて行われます。

   このたびの受賞は、「塩酸タムスロシン(日本での製品名:ハルナール®D錠)」の研究開発において、前立腺や下部尿路の収縮機能におけるα1受容体の役割を明確にするとともに、光学活性体(R体)の工業的生産法を確立し、塩酸タムスロシン(R体)を前立腺選択的α1受容体遮断薬として排尿障害の領域で一番手として上市したことなどが高く評価されたものです。

<受賞理由等の詳細>
   抗高血圧薬として先に開発した交感神経α・β受容体遮断薬アモスラロールの光学異性体(S体)が強いα1受容体遮断作用を示した知見を基に、まずタムスロシンのラセミ体が非常に強いα1受容体遮断作用を有することを見出した。更に、各々の光学異性体を評価した結果、R体であるタムスロシンがS体よりも600倍強いこと、および前立腺選択的であることを発見し、また、光学活性体の工業的生産にも成功した。日本、欧州、米国で実施された臨床試験において、タムスロシンは前立腺肥大症に伴う排尿障害を有意に改善し、副作用も少ないことから、高い評価を得、平成5年に先ず日本で上市され、その後、世界各国で上市された。
①業績の独創性:前立腺や下部尿路の収縮機能におけるα1受容体の役割を明確にするとともに、血管と泌尿器ではα1受容体のサブタイプが異なることを世界に先駆け明らかにし、タムスロシンを前立腺選択的α1受容体遮断薬として排尿障害の領域で一番手として上市した。
②克服した課題:前立腺選択性の実現、光学活性体での開発等
③学術・産業・社会等への貢献度:前立腺肥大症に伴う排尿障害の従来の治療法は肥大した前立腺を切除する外科手術が主流であったが、本薬上市後は内科的治療が主流となっている。また、本薬の研究開発が契機となり泌尿器科学におけるα1受容体サブタイプ研究が発展した。国内の売上高は356億円(2008年度)であり、国内および海外の連結売上高は1,166億円であるが、国内では2004年度に494億円、連結売上高では2005年度に1,378億円のピーク時売上高を記録した。

*受賞者:
竹中 登一(アステラス製薬(株) 代表取締役会長)
藤倉   峻(元山之内製薬(株) 理事・信頼性保証本部長)
本田 一男(元山之内製薬(株) 理事・信頼性保証本部副本部長 現昭和大学薬学部教授)
浅野 雅晴(アステラス製薬(株) 執行役員信頼性保証本部長)
新形 邦宏(元山之内製薬(株) 創薬研究本部化学研究所 主席研究員)

 

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