アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:野木森 雅郁、以下「アステラス製薬」)の子会社である米国アジェンシス社(英名:Agensys, Inc.、社長:Sef Kurstjens )と米国のバイオベンチャー企業であるシアトルジェネティクス社(英名:Seattle Genetics, Inc.、CEO:Eric L. Dobmeier)は、両社間で締結された、抗体医薬の関連技術である抗体-薬物複合体(ADC:antibody-drug conjugate)技術*に関するライセンス契約に基づき、シアトルジェネティクス社が「ASG-22ME」(旧プログラム名称:AGS-22M6E)について、アジェンシス社と共同開発を行うオプション権を行使しましたのでお知らせします。

  シアトルジェネティクス社とアジェンシス社は、2007年1月にADC技術に関するライセンス契約を締結し、2009年11月に一部修正しました。当該契約では、ADCプログラムの一つである「ASG-5ME」について、共同開発・商業化を行い、費用および利益を両社で折半することになっており、現在、両社ですい臓がんと前立腺がんを対象とした第I相臨床試験を共同で進めています。また、アジェンシス社は、そのほか複数個のADCプログラムについて、単独で開発・商業化を行うための独占的ライセンスを取得しており、その対価としてシアトルジェネティクス社に対し、開発マイルストンに応じた一時金および売上に応じた一桁台半ばのロイヤリティ等を支払うことになっています。但し、シアトルジェネティクス社は、「ASG-5ME」を除く2個のADCプログラムについて、費用および利益を折半することを条件にアジェンシス社と共同して開発・商業化を行うことのできるオプション権を有しており、今回「ASG-22ME」について、このオプション権を行使したものです。

  「ASG-22ME」は、膀胱がん、乳がん、肺がん、すい臓がんなどの多発性がんに発現するネクチン-4(Nectine-4)に作用する完全ヒト型抗体に、ADC技術を加えたものです。本抗体は、シアトルジェネティクス社の独自技術である細胞内酵素により分解されやすいリンカ―を介して、強力な合成毒素である(monomethyl auristatin E、以下「MMAE」)を結合しています。このADCは血液中では安定でありながら、ネクチン-4を発現するがん細胞では細胞内に取り込まれた後MMAEを放出し、狙ったがん細胞のみを死滅させるよう設計されています。

  アジェンシス社は、前期(2011年3月期)第4四半期に米国食品医薬品局(FDA)に対して、「ASG-22ME」の第I相臨床試験に関する治験許可申請を提出しました。この第I相臨床試験は、米国の多施設で行われ、50名までのがん患者へ「ASG-22ME」を単剤で用量漸増投与した際の安全性、忍容性、薬物動態、制がん作用を検証します。

  今後アジェンシス社は「ASG-5ME」と「ASG-22ME」について、シアトルジェネティクス社と共同で開発・商業化を行い、費用および利益を両社で折半します。なお、本オプション権行使により、アジェンシス社はシアトルジェネティクス社よりこれまでに発生した「ASG-22ME」の開発費用の半分を受領しますが、アステラス製薬の当期(2012年3月期)の業績へ与える影響は軽微です。

  アステラス製薬はアジェンシス社とシアトルジェネティクス社共同で、画期的で最先端のADC技術を活用したプログラムの開発を進めることにより、がん治療に新たな選択肢を提供できるものと考えています。

*抗体-薬物複合体(ADC:antibody-drug conjugate)技術:がん細胞表面の抗原に結合する抗体に毒素を付け、細胞内で毒素を放出させることで、がん細胞を死滅させる技術。

 

以 上

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