アステラス製薬株式会社(本社:東京都中央区、以下「アステラス製薬」)は、子会社のアジェンシス社(英名:Agensys, Inc.、社長:Sef Kurstjens )と米国シアトルジェネティクス社(英名:Seattle Genetics, Inc.、CEO:Eric L. Dobmeier)が共同で開発を進めている抗体‐薬物複合体(ADC)1) ASG-5MEについて、去勢抵抗性前立腺がんを対象とした第I相臨床試験の中間解析データを、米国腫瘍学会(ASCO: American Society of Clinical Oncology)の第48回年次総会(開催場所:シカゴ、現地開催日:6月1日~5日)にて発表しましたので、お知らせします。

 発表演題:ASG-5MEにおける転移を有する去勢抵抗性前立腺がんを対象とした第I相臨床試験 中間解析データ(原文:Phase 1 trial of ASG-5ME in metastatic castration-resistant prostate cancer (CRPC)、アブストラクト # 4568):

 本第I相臨床試験は、ASG-5MEの最大耐性量(maximum tolerated dose、以下「MTD」)を決定し、安全性、薬物動態、制がん作用を確認する目的で、用量漸増投与試験(単剤治療)として実施されました。データ解析時点では、26名の患者が本試験に組み入れられ、患者の年齢(平均値)は69.5歳、投与前PSA2)値(中央値)は82.25でした。

 Dr. Michael. Morris(所属:Memorial Sloan Kettering Cancer Center(ニューヨーク)、本試験の治験責任医師)は、本第I相臨床試験について以下の重要な知見を発表しました。

• ASG-5MEは去勢抵抗性前立腺がん患者において、0.3~3.0mg/kgの用量群で3週間に1回静脈内投与された結果、MTDが3.0mg/kgを上回りました。

• 本試験にて発現したグレード1又は2の有害事象のうち、頻度が20%を上回ったのは、倦怠感(50.0%)、食欲不振(42.3%)、末梢神経障害(34.6%)、悪心(23.0%)でした。

• PSA値の低下が数名の患者で認められ、ASG-5ME投与による制がん作用の可能性が示唆されました。

 本試験は現在も継続中で、今後化学療法治療例と未治療例という2つの群への追加組み入れが計画されています。

 シアトルジェネティクス社とアジェンシス社は、膵臓がん患者にASG-5MEを週1回投与する第I相臨床試験の組み入れを終了しており、さらに抗原の発現に関する前臨床データに基づき、ASG-5MEの胃がんへの適応拡大の可能性についても評価していく予定です。

 アステラス製薬は、今後ASG-5MEの開発を進めることにより、がん治療においてさらに幅広い選択肢を提供できるものと期待しています。

 本件については、米国において、現地時間2012年6月4日に対外発表しています。

1) 抗体-薬物複合体(ADC:antibody-drug conjugate)技術:がん細胞表面の抗原に結合する抗体に毒素を付け、細胞内で毒素を放出させることで、がん細胞を死滅させる技術。 2) PSA(Prostate Specific Antigen):前立腺特異抗原、敏感な腫瘍マーカー。

ASG-5MEについて  ASG-5MEは、上皮がんに過剰発現するSLC44A4(前立腺がん、膵臓がん、胃がん患者から採取したサンプルの80%以上に発現)に作用する完全ヒト型抗体に、ADC技術を加えたものであり、アジェンシス社によって創製されました。本抗体には、シアトルジェネティクス社の独自技術である細胞内酵素により分解されやすいリンカーを介して、強力な合成毒素である(monomethyl auristatin E、以下「MMAE」)が結合しています。このADCは血液中では安定でありながら、SLC44A4を発現するがん細胞では細胞内に取り込まれた後MMAEを放出し、狙ったがん細胞のみを死滅させるよう設計されています。  シアトルジェネティクス社とアジェンシス社は、ASG-5ME、ASG-22MEについて共同で開発・商業化を行い、利益を折半することとしています。また、シアトルジェネティクス社は、3番目のADCプログラムについて、治験許可申請時に、費用及び利益を折半することができるオプション権を有しています。

 

以 上

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