アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:野木森 雅郁、以下「アステラス製薬」)は、同社の米国持株子会社アステラスUSホールディングInc.の100%子会社であるOSI Pharmaceuticals, Inc. (以下「OSI社」)と米国のバイオ医薬品会社アヴェオ社(英名:AVEO Pharmaceuticals, Inc.、本社:マサチューセッツ州ケンブリッジ、President & CEO:Tuan Ha-Ngoc)が2009年7月に締結したHuman Response PlatformTM(以下「HRP」)を含むアヴェオ社独自の創薬研究基盤技術に関する提携契約について、OSI社が当該技術を自社に移管し継続使用するオプションを行使しましたので、お知らせします。

  2007年10月に最初の提携契約を締結して以来、アヴェオ社とOSI社は、HRPを活用して、がん領域における上皮間葉転移(Epithelial-to-Mesenchymal Transition; EMT)の原因となる機序を標的とした分子標的薬の創製と、その効果が期待される患者層を予測するバイオマーカー探索のためのモデル系とデータベースの構築に注力してきました。EMTは腫瘍増殖とがんの病態進行に関与するプロセスとして、がん治療薬開発において治療標的対象およびトランスレーショナル研究対象として注目されています。OSI社は、自社で創製した世界でも有数のがん治療薬Tarceva®(一般名:erlotinib)の効果が一層期待される患者層を予測するためのトランスレーショナル研究を通じてEMTに着目しました。OSI社は、EMTを重点的に研究することで、がん創薬研究における、競合他社と差別化されたリーディングポジションを確立することに成功しました。

  本オプション行使に基づき、OSI社は、アヴェオ社に総額25百万ドルのライセンス延長料を支払います。12.5百万ドルは即座に支払われ、残りの12.5百万ドルはOSI社への技術移管が完了後支払われます。技術移管は2011年7月に完了する予定です。
  なお、12.5百万ドルの初回支払いは、アステラス製薬の2011年3月期第3四半期の研究開発費に計上しますが、当期(2011年3月期)業績予想に織り込み済みです。

  アステラス製薬は、2014年度を最終年度とする現在進行中の中期経営計画において、がん領域に積極的に取り組んでいくことを掲げています。2010年6月には、がん領域において分子標的薬の創製、開発、商業化にフォーカスしている医薬品企業であるOSI社を買収しました。このたびのオプション行使は、OSI社統合プロセスの重要な一歩であり、将来にわたるがん治療薬創出の基盤技術強化に寄与するものと期待しています。

HRPについて
  HRPは、ヒト臨床がんで検出される癌化遺伝子変異を導入し、かつ、遺伝的多様性を獲得できるアヴェオ社独自のマウス癌モデル系です。本系における腫瘍-腫瘍間の遺伝的多様性はヒト臨床がんでの多様性と類似しており、薬剤応答性群、薬剤非応答性群を生み出し、薬剤応答性と遺伝子発現情報の相関解析を可能にし、その情報は臨床開発で応用されています。

アヴェオ社について
  アヴェオ社は、独自のがん生物学研究・技術基盤と開発・商業化の専門知識を組み合わせることで、がん治療薬の創出を目指すバイオ製薬企業です。同社で最も開発が進んだ化合物は、経口トリプルVEGF受容体阻害剤tivozanibです。tivozanibは他剤と差別化された特徴を有しており、現在、進行性腎臓がんを適応症とした、全世界第III相臨床試験を実施中です。それに加え、抗HGF抗体AV-299が現在、第II相臨床試験段階にあります。アヴェオ社について、さらに詳細な情報が必要な方は、同社のホームページwww.aveopharma.comをご参照下さい。

  本件については、現地時間12月1日に米国において対外発表されています。
 

以 上

メディアからのお問い合わせ
広報
TEL: 03-3244-3201 
受付時間:月曜~木曜日 8:45~17:45、金曜日 8:45~16:00(土日・祝日・会社休日を除く)