アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)は、米国の医薬品会社アヴェオ社と共同で開発を進めている、経口トリプル血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体阻害剤チボザニブ(一般名、英語名称:tivozanib、開発コード:ASP4130)の進行性腎細胞がん患者を対象としたグローバル第III相臨床試験TIVO-1について、チボザニブがソラフェニブに対し主要評価項目である無増悪生存期間において優れていることが証明されましたので、お知らせします。

  TIVO-1は、VEGF受容体阻害剤またはmTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)阻害剤での治療歴の無い、腎摘出を受けた腎明細胞がん患者517人を対象に、チボザニブの有効性と安全性を検証するために、ソラフェニブを対照薬として行ったグローバル二重盲検比較試験であり、腎細胞がんの第一選択薬として既承認のVEGF受容体阻害作用を有する薬剤と比較した初めての試験となります。独立データモニタリング委員会の解析によると、チボザニブは、ソラフェニブと比較して、統計学的有意に、無増悪生存期間(中央値)を延長(チボザニブ11.9か月に対してソラフェニブ9.1か月)しました。また、TIVO-1全症例の約70%を占めるサイトカイン等薬剤での治療経験がない患者群においても統計学的に有意な無増悪生存期間(中央値)の延長(チボザニブ12.7か月に対してソラフェニブ9.1か月)が示されました。なお、本剤の安全性については既に実施された第II相臨床試験と同様の良好な忍容性を示す結果が得られました。もっとも高頻度で認められた副作用は、VEGF受容体阻害作用に起因することが知られ、他のVEGF阻害剤においても同様に認められる高血圧でした。

   TIVO-1については、更なる解析のためのデータ収集を行うため、組み入れ患者の経過観察を引き続き行います。なお、詳細な試験結果については、2012年6月1日~5日に米国シカゴで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO: Annual Meeting of the American Society of Clinical Oncology)での発表を考えています。また、アステラス製薬とアヴェオ社は、本試験の最終解析を行った後、2012年内にチボザニブの製造販売承認申請を欧米で行う予定です。

 チボザニブは3つのVEGF受容体を選択的、持続的、かつ強力に阻害します。また、既存VEGF阻害剤で報告されている作用機序に起因しない毒性を最小限にすることが期待されます。アステラス製薬とアヴェオ社は、チボザニブに関し、2011年2月、アジア(日本を含む)・中東を除く全世界での開発・商業化に関する契約を締結しました。両社は、チボザニブについて、腎細胞がんのほか、大腸がんと乳がんの適応症取得を目指して開発を進めています。

   アステラス製薬は、今回の試験結果が、がん領域でグローバル・カテゴリー・リーダーを目指す当社の戦略を実現する大きな一歩であると考えています。今後、他の適応症も含めてチボザニブの開発を進めることにより、がん治療においてさらに幅広い選択肢を提供できるものと期待しています。本件については、欧米において、現地時間2012年1月3日に対外発表しています。

 

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