アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)は、米国メディベーション社と共同で開発を進めているMDV3100(開発コード、一般名*:enzalutamide)について、ドセタキセルによる化学療法施行歴を有する去勢抵抗性前立腺がん患者における、健康状態に関連するクオリティ・オブ・ライフ(QOL)および最初の骨関連事象が発現するまでの期間に関するデータを発表しましたので、お知らせします。これらの第Ⅲ相AFFIRM試験の副次評価項目に関する新しいデータは、シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology)の年次総会にて、現地時間6月2日(土)に、AFFIRM試験の共同治験責任医師であるJohann de Bono教授(The Institute of Cancer Research and Royal Marsden Hospital(ロンドン))により発表されました(アブストラクト #4519)。

  前立腺がん患者用のQOL調査票であるFACT-P(Functional Assessment of Cancer Therapy – Prostate)で測定されたQOLについて、MDV3100群は、プラセボ群と比較して有意に高い反応率を示しました(43.2% vs. 18.3%、p<0.0001)。FACT-Pは患者の状態を精査する27の項目(例:身体症状、社会的・家族との関係、精神的状態、活動状況)から成る評価が確立した手法です。全体のスコアの10ポイント以上の改善を反応と定義しました。

  また、最初の骨関連事象が発生するまでの期間の中央値は、プラセボ群の13.6ヶ月に対して、MDV3100群では16.7ヶ月でした(p=0.0001、ハザード比0.688)。なお、骨関連事象は病的骨折、骨痛のための抗がん剤の変更、脊髄圧迫、骨病変に対する外科的手術もしくは放射線治療と定義しました。

  MDV3100は、1日1回経口投与のアンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤です。前立腺がんの成長に重要なアンドロゲン受容体シグナル伝達を、①テストステロンのアンドロゲン受容体への結合、②アンドロゲン受容体の核転移、③アンドロゲン受容体によるDNA結合と活性化、という特徴的な3つの作用で阻害します。

  AFFIRM試験においてプラセボ群と比較しMDV3100群で頻度が高かった主な副作用は疲労、下痢、ほてりでした。MDV3100群の発作の発生率は1%未満でした。重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象、死亡に至った有害事象のすべてについて、プラセボ群と比較してMDV3100群で低い発現率を示しました。

  アステラス製薬は、今後もMDV3100の開発を進めることにより、前立腺がん治療に新たな選択肢を提供できることを期待しています。

  本件については、米国において、現地時間6月2日に対外発表しています。

  *「enzalutamide」はUSAN(United States Adopted Names)による一般名であり、現時点で国際一般名は未登録。

 

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