ポンペ病患者さんと共に未来を創る

本記事は、実際の患者さんの体験談を紹介しています。特定の患者さんの体験を紹介したものであり、典型的な患者さんの体験を紹介するものではありません。また、特定の治療法や医薬品の推奨を行うものではありません。気になる症状や医学的な懸念がある場合、また、適切な診断と治療を受けるためには適切な医療機関を受診ください。
なお、本記事はアステラスが制作しており、出演いただいた患者さんには、適切な報酬をお渡ししています。
患者さんの治療体験や具体的なニーズを理解するためには、患者支援団体やグローバルなキーオピニオンリーダー・コミュニティとの連携が不可欠です。この記事では、アステラスが研究者と患者さんのコミュニケーションを促進している方法を探り、それが患者さん中心の臨床試験や患者さんの健康の向上にどのようにつながるのかを紹介します。
ポンペ病治療の信頼されるパートナーとして
ポンペ病は、進行性の筋力低下と呼吸障害を特徴とする希少疾患です。特定の酵素の欠損または数値レベルが低いときに発症します。
ポンペ病の新たな治療法を開発する際には、患者さんとの連携が重要です。患者さんの声を取り入れることで、研究の優先順位を明確にし、臨床試験プロトコルを改善するだけでなく、患者コミュニティにとって有意義な知見を得ることができます。
アステラスでは、患者さんとの連携を重視し、患者さんの視点を理解するための取り組みに注力しています。希少疾患領域のペイシェントパートナーシップのリードであるChristine Brown(以下、クリスティーン)は、「ポンペ病を発症することで生じる負担や、新たな治療法がもたらしうる価値とリスクを患者さんがどのように捉えているかを理解することが重要です」と語ります。
この考えを実践するために設立されたのが「患者インサイトパネル」です。このパネルでは、患者さんやそのご家族、介護者が医薬品開発ライフサイクルの全般にわたって、アステラスのグローバルな部門横断型開発チームに直接意見を提供できる仕組みです。2024年には、オンライン会議やメール、アンケートを通じて何度も意見交換が行われ、治療が日常生活に与える影響や家族が直面する課題についての情報が収集されました。具体的には、メディカルアフェアーズ部門への遺伝子検査プロジェクトに関するフィードバックや、HEOR(Health Economics and Outcomes Research/医療経済・アウトカム研究)チームに対して疾患の影響や治療結果を詳述する枠組みに関する助言が行われました。
「患者インサイトパネル」は、ポンペ病患者さんがアステラスの臨床試験に参加する際の障壁を解消するためにも役立っています。たとえば、病状を測る重要な指標として疲労評価を追加することが挙げられます。このような取り組みが、臨床試験への参加登録の促進と、被験者の継続率の向上につながることを期待しています。
「このパネルを通じて得られる情報は、臨床試験を計画する上で不可欠です。患者さんの意見を取り入れることで、臨床試験計画の修正を避け、患者さんがスムーズに臨床試験に参加し続けられるように努めています。最終的には、新たな治療法をお届けするまでの期間を短縮することを目指しています」とクリスティーンは語ります。
アステラスでは2015年からポンペ病患者さんとの対話を重ねており、「患者インサイトパネル」以外にもさまざまなミーティングやウェビナーの共同開催、スポンサーシップなどの取り組みを継続しています。
次の章では、ポンペ病を抱える2人の患者さんの日常を紹介します。
成人型ポンペ病:マディーさんのストーリー

マディーさんは、11歳で成人型ポンペ病と診断されたとき、将来に対する大きな不安を抱えていました。しかし、筋ジストロフィー協会のキャンプに初めて参加し、同じような希少疾患を持つ人たちと出会ったことで、自分の人生に向き合えるようになりました。
マディーさんは、ポンペ病の影響で、慢性的な疲労や体の動きにくさに悩まされており、頻繁に通院して酵素補充療法を受ける必要があります。そして徐々に、歩いたり立ったりすることも難しくなっています。
大学時代、マディーさんは障害者支援団体に参加し、必要なリソースや設備を探す手助けをするなど、積極的に活動し、サポート役としての才能を発揮しました。
マディーさんは、自分をありのまま受け入れて、障害者メディアとコンテンツの専門家としてのキャリアを築くことができました。現在は、ポッドキャストを配信したり、SNSを通じて希少疾患や障害への理解を促進する活動を行っています。マディーさんのペイシェントアドボカシーや障害者の権利、セルフケアに対する想いは、世界中の人々とのオープンな対話の場を創り出しています。
マディーさんのストーリーは、以下の動画をご覧ください。
乳児型ポンペ病:ハーモニーさんのストーリー

ハーモニーさんは、生後わずか6週目でポンペ病と診断され、現在も隔週で酵素補充療法を受けています。
看護師が訪問し、ハーモニーさんの胸にあるポートから点滴を行います。輸液ポンプを背負った状態での輸液は4時間続きますが、その間ハーモニーさんは自由に遊ぶことができます。
早期診断のおかげで治療も早く始まり、ハーモニーさんの病状は比較的安定しています。今のところ、妹や弟、デイケアで他の子供たちと楽しく遊ぶことができますが、言語発達の遅れや体重不足といった症状があり、成長するにつれて病状の進行が懸念されています。
アステラスは、希少疾患への取り組みを続ける中で、マディーさんやハーモニーさんのような患者さんやそのご家族、介護者の声が新たな治療法の開発において重要な役割を果たすと考えています。ポンペ病の患者コミュニティと連携し、彼らの意見を研究開発に取り入れることで、アンメットメディカルニーズに応える革新的な治療法の進展を目指しています。
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