-本買収によりミトコンドリア関連疾患領域における研究開発を加速-

 アステラス製薬株式会社(本社:東京、以下「アステラス製薬」)は、米国のバイオベンチャーである Mitobridge, Inc.*1(以下、「Mitobridge 社」)との間で 2013 年 10 月に締結された、ミトコンドリア*2 関連疾患*3 領域における共同研究・開発に関する提携契約を一部修正の上(以下、「本提携契約」)、Mitobridge 社を完全子会社化する独占的オプション権を行使しましたのでお知らせします。Mitobridge 社は、買収手続き完了後、アステラス製薬の完全子会社となる予定です。

 アステラス製薬と Mitobridge 社は、本提携契約に基づき、いまだ有効な治療法が確立されていないミトコンドリア関連疾患領域において、中枢および末梢神経系障害、骨格筋・心筋障害、視覚・聴覚障害、代謝障害などの治療薬の創出を目指し、共同で研究開発を進めています。これまでの活動を通じて、現在、もっとも進んでいるプログラムである MA-0211が、デュシェンヌ型筋ジストロフィー*4 を対象とした第 I 相試験段階にあります。

 アステラス製薬の代表取締役社長 CEO の畑中 好彦は次のように述べています。「アステラス製薬は、世界最先端のミトコンドリア創薬の知見とネットワークを有する Mitobridge社との提携を通じて、第 I 相試験段階にある MA-0211 をはじめ複数のプログラムの開発が進展するなど、期待以上の成果を上げてきました。このたびの買収を機に、私たちはミトコンドリア関連疾患における研究開発をさらに加速し、一日も早く患者さんのもとへ革新的な新薬を届けていくために取り組んでまいります。」

 Mitobridge 社の最高経営責任者であり共同創立者である Kazumi Shiosaki, Ph.D.は、次のように述べています。「私たちは、重篤な疾患に対する新たな治療薬の開発に取り組むアステラス製薬の一員になれることを大変嬉しく思います。また、Mitobridge 社が有望なパイプラインを早期に構築するために、アステラス製薬、MPM Capital、Longwood Founders Fund よりいただいた多大な支援に感謝します。Mitobridge 社はアステラス製薬の子会社として、これまでの成果をさらに発展させていくために引き続き注力してまいります。」

 アステラス製薬は、このたびの本オプション権の行使により、225 百万ドルを対価としてMitobridge 社をアステラス製薬の 100%子会社とします(実際の支払額は、アステラス製薬による持分相当を控除した 165.5 百万ドル)*5。さらに Mitobridge 社の複数のプログラムの進捗に応じて、最大で総額 225 百万ドルの対価が発生する可能性があります(実際の支払額は、アステラス製薬による持分相当を控除した 165.5 百万ドル)*5。今後、アステラス製薬は必要な法的諸手続きを経て、数週間以内に買収を完了し、Mitobridge 社を完全子会社化する予定です。

 なお、本件によるアステラス製薬の 2018 年 3 月期業績予想への影響は軽微です。

買収の概要

  1. 株式取得者:アステラス製薬株式会社
  2. Mitobridge 社の主要株主:MPM Capital、Longwood Founders Fund、 アステラス製薬
  3. 株式の取得方法:現金(手元資金を充当)
  4. 対価:
    - Mitobridge 社を 100%子会社化するための対価として 225 百万ドル(実際の支払 額は、アステラス製薬による持分相当を控除した 165.5 百万ドル)* 5
    - 複数のプログラムの進捗に応じ、最大で総額 225 百万ドル(実際の支払額は、ア ステラス製薬による持分相当を控除した 165.5 百万ドル)* 5
  5. 買収完了予定日:(必要な法的諸手続きを経て)数週間以内

対象会社の概要

  1. 名称:Mitobridge, Inc.
  2. 所在地:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ
  3. 代表者:President & CEO Kazumi Shiosaki, Ph.D.
  4. 設立:2011 年
  5. 従業員 27 名
  6. アステラス製薬との関係:持分法適用会社であり、共同研究提携先

以上

*1 Mitobridge 社は Mitokyne 社から社名を変更しました。

*2 ミトコンドリア:
ミトコンドリアは人体のほぼ全ての細胞に存在し、人間が活動するためのエネルギー産生を始めとして、活性酸 素種の産生および除去、細胞死制御など様々な機能を有する極めて重要な細胞内小器官です。

*3 ミトコンドリア関連疾患について:
ミトコンドリア機能不全に起因する病気を総称してミトコンドリア病と呼び、遺伝性あるいは自然発生の mtDNA(ミトコンドリア内に存在するミトコンドリア DNA)変異や、ミトコンドリア機能に関連する nDNA(細胞の核に存在する核 DNA)変異が原因となります。ミトコンドリア機能不全は、特定の細胞や組織に影響すると考えられていますが、その原因は完全には解明されていません。ミトコンドリア病患者さんは、中枢および末梢神経系障害、骨格筋・心筋障害、視覚・聴覚障害、代謝障害などの症状を抱えています。典型的な発症時期は小児期で、患者さんの健康な生活と QOL(生活の質)に影響を与えています。

次の三大病型がミトコンドリア病の 60~70%を占めていると言われています。
1) ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(MELAS)
2) 慢性進行性外眼筋麻痺症候群/カーンズ・セイヤー(Kearns-Sayre)症候群(CPEO/KSS)
3) 赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん症候群(MERRF)
他のミトコンドリア病には、リー症候群(Leigh syndrome)やミトコンドリア神経胃腸脳筋障害(MNGIE)、アル パース病(Alpers’ disease)、レーバー病(LHON)、神経性障害性運動失調網膜色素変性症(NARP)、脂肪酸 酸化障害(FAOD)などがあります。

ミトコンドリア異常は、筋機能不全、代謝不全、神経変性、視覚異常、更には、がんや心血管障害、腎不全など、一見、関連性の低いと思われる症状や疾患にも影響を及ぼすと考えられており、これらはミトコンドリア病を含めてミトコンドリア関連疾患と呼ばれます。ミトコンドリア異常に関連すると考えられている疾患例として、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋委縮性側索硬化症(ALS)、脳梗塞、気分障害、糖尿病、脂肪性肝疾患、骨粗しょう症、がん転移、末梢動脈疾患(PAD)、加齢性難聴(AHL)などが挙げられます。
ミトコンドリア病およびミトコンドリア関連疾患の診断は、その症状が幅広いため、複雑なプロセスを必要とし、正確に診断されていない例も少なくないと言われています。

*4 デュシェンヌ型筋ジストロフィー:
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、筋ジストロフィーのうち最も多くみられる最も重症なタイプで、幼児期に発症します。男児に発生する場合がほとんどであり、平均すると、デュシェンヌ型筋ジストロフィーは出生した男児の4700 人に 1 人の割合でみられます。デュシェンヌ型筋ジストロフィーの男児では、筋肉細胞の構造を維持するために重要なジストロフィンという筋肉タンパク質がほぼまったくありません。デュシェンヌ型筋ジストロフィーの主な症状は筋力低下で、心筋や呼吸のための筋肉の筋力低下が含まれます(MSD マニュアルより)。

*5:
アステラス製薬の現在の完全希釈化後の持ち株比率を前提に計算されます。また、取引実行時の Mitobridge社保有現預金等の状況により対価調整が行われます。

Mitobridge 社(旧 Mitokyne 社)について
米国マサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置く、世界的に著名な科学者が 2011 年に創設したバイオテクノロジー企業です。創設メンバーは、スイス連邦工科大学のヨハン・オーワークス(Johan Auwerx)、カリフォルニア州立大学バークレー校のアンドリュー・ディリン(Andrew Dillin)、ソーク研究所のロナルド・エバンス(Ronald Evans)、ノーベル賞受賞者でマサチューセッツ工科大学のロバート・ホロビッツ(Robert Horvitz)です。

注意事項
このプレスリリースに記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述およびその他の過去の事実ではない記述は、アステラス製薬の業績等に関する将来の見通しです。これらの記述は経営陣の現在入手可能な情報に基づく見積りや想定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。さまざまな要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性があります。その要因としては、(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の遅延、(iv)新製品および既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(v)競争力のある新薬を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。