
汚染予防に向けた取り組み
アステラスでは、地球環境汚染予防活動を推進しています。大気・水質における主要な環境管理項目について、法規制や協定値よりも厳しい自主管理値を設定し管理しています。また、化学物質の大気排出量の自主的な削減活動を推進しています。
VOC排出量の削減
アステラスは、生産や研究で使用する溶媒類に起因するVOC排出量の排出削減に取り組んでいます。また、化学物質による環境汚染、労働災害、健康被害を未然に防止する手段として、リスクの高い化学物質を使用しない製造方法の開発など、社員や地域社会、さらには地球環境への影響を可能な限り少なくする努力を継続しています。
NOx排出量の削減
NOx(窒素酸化物)の大気排出量の削減のため、アステラスでは気体燃料(都市ガス、LNG、LPG)を使用するボイラーを導入しています。
2025年度の日本以外の生産拠点からのNOx排出量は、5.2トンでした。
日本の全事業拠点からのNOx 排出量の推移については、ESGデータをご覧ください。
アステラスは、水環境への環境負荷の大きさを日本はBOD負荷量、海外はCOD負荷量として把握し情報公開しています。2025年度の日本のBOD負荷量は6トンとなり、前年度より-23%減少しました。日本以外のCOD負荷量は3.8トンでした。
製造工程から水環境中に排出された化学物質は生態系に悪影響を与える可能性があるため、環境中への排出量を可能な限り低減する手段を研究・開発の段階から検討しています。また、自社で創製する将来の医薬品候補物質については自然界での分解の容易性(生分解性)を評価するなど、医薬品が生態系に及ぼす影響を確認しています。
BOD負荷量と排水量の推移については、ESGデータをご覧ください。
PRTR法では、人への有害性があり、環境中に広く存在すると認められる物質が対象として指定されています。この法律は、自社の排出量や移動量の位置づけを確認し、自主的な化学物質管理活動の評価・改善に結びつけることが主な目的です。日本のPRTR法指定物質のうち2025 年度における届け出対象物質の移動・排出状況は下表のとおりでした。なお、2025 年度は、対象となる化学物質の環境への合計排出量は1トンとなり、2019年度以降、僅少な排出量を維持しています。
PRTR:日本の「特定化学物質の環境への排出量の把握等および管理の改善に関する法律(PRTR法)」による指定化学物質を指す。Pollutant Release and Transfer Register Lawの略。
2025年度のPRTR法による届出対象物質の集計結果については、ESGデータをご覧ください。
水資源は事業活動を支える重要な基盤であり、その安定的かつ効率的な利用は事業継続性の確保に直結します。水使用量の削減は、コスト低減や操業リスクの低減に加え、水ストレスへの対応を通じて持続可能な成長を支えます。アステラスは水資源の有効活用を重要課題と捉え、環境負荷低減と中長期的な企業価値向上に取り組んでいます。
水資源の有効利用
水資源の有効利用は、生物多様性に与える影響を測る指標の一つです。アステラスは、水資源と経済活動との関連を「水資源生産性」という指標で評価し、その改善に取り組んでいます。2025年度の水資源生産性は、基準年度(2016年度)の126%の向上となりました。
水資源投入量と売上収益の推移についてはESGデータをご参照ください
水のリサイクルおよび使用量削減の取り組み
アステラスの操業では、上水・工業用水および地下水から取水した水のみを利用しています。操業で使用した水は排水基準に応じて処理をし、水環境へ戻しています。また、プロセス排水の最小化などを行いながら、継続して水使用量削減に取り組んでいます。
リスクの評価
アステラスの研究・生産活動では水の利用が欠かせません。各事業所では水の利用に必要な許可を行政から取得し、認められた排水基準を満足するよう処理をしたうえで排水しています。
また、アステラスでは、World Resources Instituteが提供するAqueduct を用いて、工場などを置く操業地域固有の水リスクを分析しています。
現在、グローバルでの活動において枯渇が懸念される地域での水利用はありません。しかし将来、気候変動などの環境変化で水リスクが顕在化する可能性もあることから、リスク分析を行いつつ、できるだけ水への依存の程度を小さくしておくことが事業継続にも有利であると考えています。
生物多様性への取り組み
アステラスは、生物の多様なつながりがもたらす恩恵に感謝し、すべての事業領域で事業活動が生態系に及ぼす影響を把握し、その低減に努めることにより、生物多様性の維持・保全に積極的に貢献します。また、生物多様性が維持・保全され、生態系からの恵みを持続可能な状態で利用できる自然と共生した社会づくりに貢献します。経団連の「生物多様性宣言」に賛同し、経団連自然保護基金に寄付を行っています。
2026年3月に、焼津事業場のビオトープ保全計画およびつくば事業場の緑地保全計画が、地域生物多様性増進法に基づく「自然共生サイト」として認定されました。これらの取り組みは、COP15で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」における30by30目標に沿うものであり、OECM(Other Effective Area-based Conservation Measures)として国際データベースへの登録も見込まれています。
生物多様性の劣化をもたらす危機を環境汚染、資源消費、気候変動に分類し、アステラスの生物多様性への影響を評価する指標としています。
項目ごとの環境負荷量の基準年度との相対値に指標ウエイトを乗じた値を「生物多様性負荷指数」とし、すべての項目の生物多様性負荷指数の合計値で評価年度連結売上高を除した値を「生物多様性指数」と設定しました。この指数を基準年度と比較することで、改善の程度を把握しています。
2025年度の生物多様性指数は、2005年度の8.7倍となりました。
地域を超えて事業が環境に与える影響を最小化することで、生物多様性の劣化を抑制し、事業が持続可能であり続ける環境が実現すると考えています。
生物多様性指数の推移
(Unit: MWh)
生物多様性負荷指数と売上収益の推移
(Unit: MWh)
資源循環に向けた取り組み
持続可能な資源の利用は事業活動を継続する上での必須要件であり、循環型社会の構築に向けて積極的に参画していく必要があると認識しています。循環型社会に貢献する取り組みとして、廃棄物の循環利用(再使用、再生利用、熱回収)に環境行動計画を定め活動を推進しています。
廃棄物管理
アステラスでは、廃棄物の積極的なリサイクルやリユースによって、最終処分量を限りなくゼロに近づける取り組みを推進しています。また、廃棄物発生量と経済活動との関連を「廃棄物発生量原単位」という指標で評価し、その改善に向けた取り組みを行っています。
2025年度の廃棄物発生原単位は、基準年度(2016年度)から52%改善しています。
廃棄物発生量と売上収益の推移については、ESGデータをご覧ください。
バリューチェーンでの廃棄物管理
研究所や工場で発生する有害廃棄物による環境汚染や、廃棄物の不法投棄を防止することも廃棄物管理では重要です。これらを防止するために適切な処分方法を検討するとともに、委託先での処理が適切に行われていることを定期的な現地調査により確認しています。
高濃度ポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物の処理
アステラスでは、保管していた高濃度PCB含有機器などの無害化処理を計画的に行い、2023年度中にすべてのPCB廃棄物の処理を完了しました。
製品が環境へ及ぼす影響と対応
温室効果ガス
アステラスではハイドロフルオロカーボン(HFC)を充填剤に使用している製品はありません。
アステラスの製品は、医療機関を通じて患者さんに処方され、使用されたあとの包装材料が病院、薬局、一般家庭から廃棄されます。一般家庭からは主に錠剤やカプセルに使用されるブリスター包装(プラスチック)が廃棄されます。病院、薬局からはブリスター包装に加えて、ボトルやチューブなどのプラスチック類や金属、注射器に使用されるガラス、個装ケースや段ボールなどの紙類が廃棄されます。
医薬品の包装には、製品の安定性の保持や医薬品医療機器等法など各国法規で定められた事項の記載などの機能が必要です。アステラスではこれらに加え、環境に配慮した材質の選択や、廃棄の際にリサイクルを促す材質表示などの取り組みを行っています。
取り組みの一環として、ブリスターシートに植物由来の原料から作るバイオマスプラスチックの採用を開始しました。本ブリスターシートは、バイオマスプラスチックであるサトウキビ由来のポリエチレンを原料の50%に使用しており、環境に優しい包装です。ブリスターシートには高い錠剤保護機能およびユーザビリティ(使いやすさ)が求められますが、長年にわたり培ってきた包装技術を駆使することで、これらの要件を満たしつつ大量生産が可能なブリスターシートの製造を実現しました。2021年度から、植物由来の原料から作ったブリスターシートの利用が日本向け一部製品で始まりました。
日本では、家庭から廃棄される容器包装のリサイクルを進めるため、製品の販売者が容器包装リサイクル法(容器包装に関わる分別収集および再商品化の促進等に関する法律)に従い、廃棄物のリサイクル費用を負担しています。2025年度に家庭から排出されるプラスチック、紙容器の合計量の見積りは190トンとなり、リサイクル費用の申込金額は834万円となりました。
アステラスでは各種製品にプラスチックを使用しているほか、事業活動で発生するプラスチック廃棄物の取り扱いを環境課題として認識し、プラスチックの資源循環に努めています。日本では、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律が2022年4月に施行されました。2025年度に日本国内で排出されたプラスチック廃棄物は238トンでした。プラスチック資源の利用の抑制やリサイクル率の向上などを通じ、日本国内で発生するプラスチック廃棄物発生量を250トン未満にする取り組みを進めています。