
アステラスは、環境と社員の安全衛生(EHS)に対する基本的な姿勢を「環境・安全衛生に関するポリシー」に定め、目指すべき姿を「アステラスEHSガイドライン」に示し、組織的・継続的に取り組んでいます。また、優先的に取り組むべき課題については、「環境・安全衛生行動計画」で中期的な目標を設定して取り組みを進めています。
環境サステナビリティ推進のガバナンスについては、「気候変動の取り組み」のガバナンスを参照ください。
環境・安全衛生に関するポリシー
環境・安全衛生に関するポリシーは、EHSへの取り組みに対するアステラスの普遍的な姿勢を表しています。このポリシーは、国内外のすべてのグループ会社にも適用されており、すべての活動の基本となります。
行動規範体系
アステラスは、経営理念においてステークホルダーの一つとして環境を位置づけ、環境への責任を誠実に果たすために、アステラスグループ行動基準に基づき具体的な取り組みを行っています。
アステラスEHSガイドライン
「アステラスEHSガイドライン」は、EHSへの取り組みにおいて、アステラスが将来に目指すべき姿を統一の基準として示しています。
ガイドラインではアステラスの目指す姿を定性的に示しており、達成期限も含めた具体的な数値目標は、年度ごとに更新する短期・中期の行動計画で設定していくことにしています。また、製造委託先企業に対しても、アセスメント等を通じてガイドラインに準じた取り組みの協力依頼を行っています。
遵法・自主管理活動
環境・安全衛生管理
リスク管理及び事故・緊急時対応
施設ならびに車両管理
製品・技術の開発
教育・訓練活動
環境課題対応
環境課題対応(エネルギー・気候変動対策)
環境課題対応(化学物質管理)
環境課題対応(資源循環)
環境課題対応(大気・水質・土壌汚染対策)
環境課題対応(感覚公害)
地域社会との共生
サプライチェーンマネジメント
アステラス全体のEHS活動の状況や事業所の課題を明らかにするため、アステラスEHSガイドラインを指標として、全社EHSアセスメントを行っています。
管理統括部門と現場が意見交換することにより、社会的な要請や現場の問題意識を共有し、アステラスが目指す方向性を常に一致させることも、アセスメントを行う目的のひとつです。
また、バリューチェーンにおける生産委託先企業に対しても同じ指標によるアセスメントを行っており、25年度は7件のアセスメントを実施しました。指摘事項があった場合、改善案を提示して是正計画の策定を求めており、是正計画に基づいてその改善状況をフォローアップしています。医薬品の安定供給が確実に行える環境を維持するため、アセスメントを通じてバリューチェーンのリスク管理を継続しています。
製品アセスメント制度
一般に製品を製造、販売、流通、廃棄する際の環境への負荷は、製品設計を行う研究・開発段階でほとんど決定されます。とくに、医薬品の製造・販売には、製品ごとに国の許認可が必要であり、作業の安全性や環境負荷低減の目的といえども、一旦承認を受けた製造方法や包装仕様を変更する場合は、新たに国の許認可が求められ、多くの時間と費用が必要となります。このアセスメント制度アステラスでは、研究開発段階・生産段階・流通・廃棄の各段階において、環境負荷の最小化を確保する努力を義務づける仕組みとして「製品アセスメント制度」を導入しています。この製品アセスメント制度では、以下の項目への対応が検討されています。
製品アセスメントを実施する際には、アセスメントチームが製品開発のために段階的にEHSアセスメントを実施しています。その結果、製品の開発が次の段階に進むことができるかどうかが決まります。具体的には、評価では、環境や従業員の健康と安全に悪影響を与える可能性のある原材料またはプロセスを特定する必要があります。是正措置の進捗状況を評価し、行動計画を評価する必要があります。検討中の対策は、その後の評価段階で評価されます。
教育・研修
EHSの改善活動を進めていくには、すべての社員による正しい理解と自らの役割・責任を認識した取り組みが必要です。そのため、EHSに関する公的資格者の育成、専門的な知識や技能が必要な従事者に対する教育など、さまざまな教育訓練を通じて、能力向上に取り組んでいます。事業所に常駐する工事関係者、原材料の納入事業者、廃棄物の運搬・処理委託事業者に対しても、方針や事業所のルールを説明するとともに、EHSへの協力を要請しています。
アステラス生産拠点のISO認証状況
| 会社名 | 製造拠点 | 認証取得状況 |
|---|---|---|
| アステラス製薬株式会社 | 高萩技術センター | ISO14001(1998年7月) |
| 焼津技術センター | ISO14001(2000年10月) | |
| 富山技術センター | ISO14001(2000年3月) | |
| アステラスアイルランドCo.,Ltd. | ダブリン工場 | ISO14001(1997年3月) ISO45001(2020年9月) |
| ケリー工場 | ISO14001(2003年12月) ISO45001(2018年12月) ISO46001(2024年9月) ISO50001(2012年4月) | |
| アステラス製薬(中国)有限公司 | 瀋陽工場 | ISO14001(2001年10月) ISO45001(2025年4月) ISO22301(2026年3月) ISO50001(2026年3月) |
アステラスは、環境・安全衛生ガイドラインの主要な項目についての短期的・中期的な活動目標として「環境行動計画」を設定し、数値目標の達成に向けた取り組みを行っています。環境行動計画は、前年度の進捗状況や社会情勢などを踏まえた定期的な見直しにより新たな項目の追加やさらに高い目標への変更などを行うローリング方式で運用しています。
気候変動対策の詳細は、「気候変動の取り組み」を参照ください。
環境目標についての2025年度実績(概要)
| 項目 | 目標 | 2025年度実績 |
| 気候変動対策 | 温室効果ガスの排出量(スコープ1+2)を2030年度までに63%削減する(基準年:2015年度)「1.5℃目標」 (基準年度の排出量:201千トン) | 基準年度比:60%減 (排出量:81千トン) |
| 温室効果ガスの排出量(スコープ3)を2030年度までに37.5%削減する(基準年:2015年度)「well-below 2℃目標」 | 基準年度比:19%減 (排出量:1,124千トン) | |
| 資源対策 | 水資源生産性(WRP)*1を2025年度末までに、2016年度実績から20%程度向上する。 | 基準年度比:126%向上 |
| 廃棄物管理 | 廃棄物発生量原単位*2を2025年度末までに、2016年度実績から10%程度改善する。 | 基準年度比:52%改善 |
| 生物多様性 | 生物多様性指数を2025年度までに、2005年度の4倍に向上させる。 | 基準年度比:8.7倍 |
*1WRP = 売上収益(十億円)/水資源投入量(千m3)(対象:国内外の研究、生産サイト)
*2廃棄物発生量原単位 = 廃棄物発生量(トン)/売上収益(十億円)(対象:国内外の研究、生産サイト)
現在の環境行動計画の目標は資源対策、廃棄物管理、生物多様性の目標は2025年度に最終年度を迎えました。これらについては新しい目標を策定予定です。気候変動については2023年1月に公表した2030年度目標についてSBTi(Science Based Targets initiative)から認証を取得しており、2028年1月までに目標の更新を予定しています。
コンプライアンス
事故・緊急事態への対応
天災や偶発的な事故により引き起こされる緊急事態による環境への影響や災害を防止し、被害を最小化するため、優先度の高いリスクについて具体的な対応手順を作成しています。また、定期的な教育・訓練を実施し、その有効性や連絡体制、役割分担の再確認・再検討を進め、環境リスクの低減に努めています。
特に河川の汚染、公共下水処理場のトラブルにつながる水域への有害物質の流出は、地域社会に対して重大な影響をもたらす恐れがあります。事故・緊急事態の発生に備え、バックアップ設備の設置など、環境汚染を防止できるシステムを計画的に整備し、汚染リスクの低減に努めています。また、事故やトラブルを回避するために、排水処理設備の運転管理の適正化と最終排水口での監視・測定の強化に努め、関連する排水基準への適合性を確認しています。
環境関連法規の遵守状況
2025年度、つくば東光台事業場で、排水のpH制御のための中和プロセスで発生したトラブルに伴い、一時的に排水pHの基準値逸脱が発生しました。行政へ速やかに報告を行うとともに、適切に再発防止策を講じました。なお、過去5年間には自治体と結ぶ公害防止協定値を超える事象が2件ありましたが、行政への報告を行い指導に基づいた対処をしています。
環境関連の事故・罰金・苦情
2025年度、つくば東光台事業場で、配管の凍結に起因する廃液漏洩がありました。
なお、フロン類の漏洩排出については、CO2換算量をページ「環境への取り組み」で開示しています。
過去5年間の環境関連の罰金・苦情の発生状況は、以下のとおりです。いずれのケースも適切に対応を行い、再発防止策を講じました。
| 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 罰金 | 0 | 0 | 0 | 1*1 | 0 |
| 苦情 | 0 | 0 | 1 | 1*2 | 0 |
*1外部委託した水質試験において委託項目の一つが実施されていなかったことが判明し145 USDの罰金を支払いました。
*2消防設備点検時のサイレン音(非常放送)について、近隣住民より苦情連絡がありました。
土壌調査
2025年度、高岡工場において土壌汚染対策法に基づく汚染区域の指定が行われました。行政と相談しながら汚染の拡散防止措置を行い適切に対応しています。
基準超過した物質は以下の通りです。
なお、過去5年間の土壌調査の結果、他に汚染が発見された事例はありません。