2022.06.24

経営の羅針盤となる新たなマテリアリティ・マトリックス

経営の羅針盤となる新たなマテリアリティ・マトリックス

アステラスにとって、社会のサステナビリティに貢献することは、経営理念の実践そのものです。2021年5月に発表した「経営計画2021」では、「サステナビリティ向上の取り組みを強化」を戦略目標の1つとして掲げました。また、アステラスが取り組むべき社会課題と、優先度を整理した新しいマテリアリティ・マトリックスを作成し、社会とアステラス、双方のサステナビリティの向上を目指すことを明確に打ち出しました。

アステラスの追求するサステナビリティとは何か。目指す方向性や取り組むべき社会課題、およびアクションプランについて、サステナビリティ部門長の飯野伸吾が語ります。
 

 

社会的責任を果たし、企業価値の持続的な向上を目指す

一般的にCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)の考え方において、企業は自社の利益を求めるだけではなく、ステークホルダーの要求に応え、またそのために法令を遵守し、説明責任等の社会的責任を果たすことが求められます。一方、サステナビリティは地球環境と人間社会が共存し合いながら互いに発展していく、という考え方です。企業活動を行う上で、地球環境や社会などに配慮しながら社会的責任を果たすと同時に、企業価値の持続的な向上を目指すことが重要視されています。
アステラスの強みを活かしながら、社会のサステナビリティ向上に貢献するとともに、企業価値の持続的な向上につなげる「仕組み」を考え、実践することでステークホルダーの皆さまの期待に応えることができると思っています。

 

アステラスが追求するサステナビリティとは

私たちはアンメットメディカルニーズ(満たされない医療ニーズ)に対する革新的な医療ソリューションを創出しています。つまり、私たちが行っている事業活動そのものが社会課題の解決および社会のサステナビリティの向上につながっています。継続的に革新的な医療ソリューションを創出し、広く届き渡るようアクセス改善に努めることが、社会からの信頼の獲得と、アステラスのサステナビリティ向上につながると考えています。

サステナビリティを実践するためにエンジンとなるのが人材と組織文化です。優秀な人材を確保、育成すること、そして部門横断的に協働し、大きな成果を追求するための果敢なチャレンジを後押しする組織文化を醸成することで、イノベーションを生むための環境が整います。「経営計画2021」では、組織健全性目標を設定し、長期にわたり優れたパフォーマンスを生み出す社内環境の構築に全社一丸となって取り組んでいます。

 

多様なステークホルダーの声を反映したマテリアリティ・マトリックス

多様なステークホルダーの声を反映したマテリアリティ・マトリックス

社会とアステラス、双方のサステナビリティ向上に向けた活動を推進するにあたり、数多くある社会課題を分析し、アステラスが優先度高く取り組むべき社会課題を特定することが重要です。

アステラスはすでに重要課題を特定していましたが、ステークホルダーの皆さまから、「アステラスが設定している重要課題は31項目もあり、総花的で個性が打ち出せていない、あるいは、向き合うべき課題が明確になっていない」というご指摘をいただいていました。昨今の急速な外部環境の潮流変化も鑑み、2022年に重要課題の見直しを行い、重要課題を19項目に絞り込みました。これらを優先順位付けした上で、縦軸に「社会にとっての重要性」、横軸に「アステラスにとっての重要性」を置きマッピングした、マテリアリティ・マトリックスを作成しました(以下の図参照)。重要課題のうち、重要性の特に高い9項目を「最重要課題(マテリアリティ)」としました。マテリアリティ・マトリックスは、いわば社会課題解決に向けたアステラスの羅針盤です。
 

マテリアリティ・マトリックス

マテリアリティ・マトリックス


新たなマテリアリティ・マトリックスを作成するにあたっては、外部ステークホルダーの皆さまからの視点を重視して検討を重ねました。国際機関・政府、NGO、投資家、業界団体の皆さまが発信する情報の収集やインタビューを通じて、それぞれの立場から見た社会課題や、その関心度に耳を傾けました。「アステラスの強み」を活かして貢献できる社会課題は何か、社会にとっての最優先課題は何かなど、貴重な意見をいただくとともに、収集した意見やデータ等をスコア化し、信頼性および客観性を高めました。

今回作成したマテリアリティ・マトリックスは、「経営計画2021」で掲げた各目標と密接な関係にあります。この点においても、アステラス全体で目指す方向性が一致し、アステラスの事業と社会のサステナビリティが強く関連していることが裏付けられたと感じています。また、多くのステークホルダーの皆さまから「アステラスらしさがわかるマテリアリティ・マトリックスになった」という声をいただいています。

マテリアリティ・マトリックスに関する詳細はこちらをご覧ください。

 

 

社会課題解決に向けたアクションプラン~社員全員の想いを社会課題解決の力に

社会とアステラス、双方のサステナビリティ向上のためには、重要課題を特定するだけではなく、解決に向けた具体的な取り組みが必要です。
特に最重要課題とした9項目については、項目ごとに部門横断的なチームを結成し、2025年までのゴールと、達成するための活動計画を策定しました。これらの活動計画を「サステナビリティ・イン・アクション」と呼び、部署や所属を超えて共通の目標に向かって活動を進めています。また、社員全員が活動の意義や取り組み状況などを理解できるよう、社内コミュニケーションの充実を図っています。
新しいマテリアリティ・マトリックスを見ると、社員が日々行っている活動が、特定した重要課題とリンクしていることが分かります。すなわち、革新的な医療ソリューション創出のための業務、あるいは、創出を下支えする業務のすべてが、サステナビリティの向上につながっています。そのことを一人ひとりが強く認識することが重要です。私たちがアステラスに入社したときの純粋な気持ち——自分たちの力で患者さんの健康に貢献したい、という強い想いを持ち続けることが大切だと考えています。

アステラスだからこそできるサステナビリティの向上を目指して、ステークホルダーの皆さまとの対話を重ねながら、取り組むべき社会課題解決のための活動をOne Astellasで推進していきたいと思います。

今後、社会課題解決に向けた私たちの具体的な活動について、シリーズで紹介します。

 

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