2022.03.02

「人」の力が価値をつくりだす~アステラスHRの新たな挑戦~

「人」の力が価値をつくりだす~アステラスHRの新たな挑戦~

アステラスは「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変える」というVISIONの下、日々活動しています。その価値を世界中の患者さんに確実に届けるためには、働く「人」の力が非常に重要です。「経営計画2021」では、新たに「組織健全性目標」を掲げ、これまで以上に「人」の力を活かせる組織への成長を目指しています。長年にわたりグローバル企業の人事に携わり、2021年5月から当社の人事部門長に就任した杉田勝好が、アステラスの人事体制、期待する人材像、その能力を最大限に発揮できる環境づくりについて語ります。


 

「適所適材」をグローバルで実現し、「人」の力を最大限に引き出す

——人事部門長として就任し、アステラスという企業を見たときの印象を教えてください。

2021年5月にアステラスに入社し、人事部門長に就任しました。その時点でアステラスは、私が想定していた以上にグローバル化が進んでいました。売上や社員の構成比率、組織の構造、シニアリーダー層の意識・考え方、そして各種の人事制度や社員への支援体制など、客観的に見ても、ここまで着実にグローバル化を実現している日本企業はそれほど多くないでしょう。

 

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アステラスにおけるビジネスのグローバル化は、2015年頃から加速しています。研究開発においては、最先端の科学(Best Science)が見出される場へ自ら赴き、世界のトップを走る人たち(Best Talent)と、最適な環境(Best Place)で研究開発活動を展開する「3B戦略」の下、買収や外部リソースも積極的に取り入れ、新薬創出力を強化してきました。
研究開発だけでなく、社内の各部門のグローバル化も加速したのに伴い、それを支えるグローバルな人事施策とその運用が必要となるのは当然と言えます。

グローバルで事業を展開している日本企業では、人事部門が日本と海外で分かれている例が多く存在します。その理由は「ビジネスはビジネス、人事は人事」という考え方が根底にあるからだと思います。本来、人事とはビジネスに貢献をする重要な機能の1つですが、両者に関連性を持たせることができない企業が多く見受けられる、と常々感じていました。
これに対し、アステラスの人事に関するモットーは「適所適材」の実現です。その人の能力に合った職務を提供するのではなく、その職務にふさわしい人を登用するという考え方です。

 

——適所適材を実現するために必要な人事体制はどのようなものでしょうか。

組織全体において、グローバルでの業務を担う一定以上のポジションには、国籍、性別、年齢などの能力以外の要素は問わず、最も適していると思われる人材を登用します。特定のポジションに就く要件さえ満たしていれば、制限は一切ありません。実際に社内を見渡してみても、優れた能力を持つ多様な国の方々が部門長クラスに就いているなど、極めて透明性の高い能力本位の運営になっています。

 

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* エグゼクティブ·コミッティ:経営上の重要案件を協議する機関。代表取締役社長CEOが議長。開発・製薬技術機能の責任者および各地域のコマーシャル部門の責任者は拡大メンバーとし、議長の要請により必要な協議に参画。

 

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*1 エスタブリッシュドマーケット:欧州、カナダ、オーストラリア
*2 グレーターチャイナ:中国、香港、台湾
*3 インターナショナルマーケット:ロシア、中南米、中東、アフリカ、東南アジア、南アジア、韓国等

 

また、適所適材は継続的でなければいけません。そのために、アステラスでは、グローバルにすべての一定のポジション以上の方のサクセッションプラン(後継者育成計画)を策定し、そのポジションに必要な要件に合った人材を見極め、育成しています。
評価制度については、グレードはグローバルで統一されており、その評価基準も同じです。目標設定やその達成度の評価には、グローバル共通のフォーマットとシステムを導入し、統制・整合性のとれたプロセスを設定しています。その上で、戦略遂行を確かなものにするための目標設定と、その貢献が認知され、役割と成果に基づく公正な評価と市場競争力のある報酬が支払われるようになっています。

 

——「人」の力を引き出すための施策にはどのようなものがあるのでしょうか。

個人の意思・能力・適性に応じたキャリアを形成する機会を提供しています。2020年から新たにグローバル共通のジョブポスティングシステム(社内公募制度)を導入し、全社員が世界中のポジションを閲覧し、興味のあるポジションに応募することができるようにしました。この仕組みにより、より広い視野から自身のキャリアを考えることが可能です。このシステムでは、ポジションごとに職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)を定め、求められるスキルや能力を明確にすることで、社員一人ひとりが自身のキャリアを描き、必要なスキル・能力を特定することができます。

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さらに、高い成果を発揮し続ける能力・意欲のある社員に対しては、リーダーシップ開発として魅力ある成長機会を積極的に提供しています。
また、一定レベルのマネージャー層に対しては、上司や同僚、部下などさまざまな立場の社員が、多角的に評価する360度評価を毎年実施することで、自らのリーダーシップについての気づきを与えています。

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「組織健全性目標」を掲げた意義

——経営計画2021で新たに設定された「組織健全性目標」について詳しく教えてください。

「組織健全性目標」は、アステラスにとって新たな試みであり、「経営計画2021」の達成に不可欠なものです。これまで人事体制や制度などのハード面を整備してきましたが、今後はより一層ソフト面(文化、マインドセット)を強化すべく、経営層を含め全社員が一丸となって、トランスフォーメーション(変革)を推進しています。
アステラスはこれまで、やや保守的なカルチャーを持ち、行動が固定的になりがちでした。新たな経営計画の下、トランスフォーメーションを実現するためには、社員一人ひとりが意欲的な目標にチャレンジし、適切なリーダーシップの下、周囲とコラボレーションできる環境を、会社として整えることが重要です。私たちは今、組織全体でこの取り組みに非常に大きな情熱を注いでいます。
 

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トランスフォーメーションを加速するアステラスで活躍できる人材は、自ら考えて行動を起こし、周囲に影響を与えられる人材です。積極的に改善点を見つけ、自分自身、そして組織を変えていこうという意思を示す人です。
イノベーションを起こすためには、安易に達成可能な目標ではなく、ビジネスリスクがあってもより高みを目指す目標設定が重要です。トップマネジメントや部門長はもちろん、中堅、若手とそれぞれが意欲に燃える目標を立てることが当たり前の環境、そのために適切にリスクを取った人が損をすることがなく正当な評価をされる仕組みを、会社全体で用意していきます。

今は、一人の天才やカリスマ的なリーダーがすべてを決めて動く、という時代ではありません。これまでにない大きなことを成し遂げるには、複数の部門から多様な経験・スキルを持つメンバーが集まり、部門横断的なコラボレーションが必要となります。つまり、周りに目を配りながら、歩調を合わせて、メンバーの理解を得て推進していくリーダーが求められます。
そこで、「経営計画2021」達成のために必要なリーダーシップの行動を表した「Astellas Leadership Expectations (アステラスのリーダーに期待すること)」を導入しました。同じ方向を目指す複数のリーダーが率いる複数のチームが揃うことで、これからのトランスフォーメーション、イノベーションが成し遂げられていくと考えます。

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先述の通り、共通の目標を達成するためには、コラボレーションが重要です。リーダーだけではなく、一人ひとりの社員が効果的に協働し、組織として力強く戦略を推し進めていかなければいけません。
そこで、One Astellasとなるための具体的な施策として、社長と社員が直接対話を行う「Dialogue with CEO」を実施しました。これまで約120人の社員がリモートで参加し、意見や質問を投げかけられる機会を設けています。また、トップマネジメントやリーダーが社員の質問に答える「Ask Me Anything」 セッションや、組織健全性目標に関するパネルセッション「OHG Leadership Conversations」を開催しています。グローバルの全社員を対象にこれまで計20回実施し、約8300人が参加しました。(2022年2月末時点)
さらに他部門と協働して達成する「Shared Objectives (部門横断的な目標)」を設定することで、部門間のコラボレーションを促進しています。

「組織健全性目標」を推進することで、グローバルでの適所適材を実現すると同時に、社員一人ひとりが自身のキャリア形成やステップアップを達成し、挑戦したいことに少しでも近づける—そんな職場環境を作っていきます。そうすることで、全社員がより大きなこと、より多くのことを、より早く成し遂げることができるようになり、アステラスが目指すイノベーション、トランスフォーメーションを実現できる組織となり得ると考えています。

 

意欲的目標を立て、チャレンジできる環境を整える

——最後にメッセージをお願いします。

私たちが果たすべき役割は、患者さんとそのご家族が健康な毎日を取り戻せるよう、また医療現場の方々の負担を減らせるよう、新たな「価値」を提供し続けることです。そのためにアステラスが創出する革新的な治療法をより早く、より広範囲に、正しい形で届けるため、研究、開発、製造、営業などすべての部門がVISIONを共有し、協働しながら、会社全体で取り組んでいきます。

「価値を作り出し届けているのは、結局のところ『人』である」—このことを理解している企業ほどグローバルで成功しています。
社員一人ひとりが持つ力を存分に発揮することが多くの価値を患者さんに届けることにつながるという考え方の下、人を大切にするアステラスの魅力を最大化する取り組みを、これからも積極的に推進していきます。


 


 

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