がん治療の最前線をリードする~アステラスが切り拓く革新的な治療法
アステラスは、がん領域への新規参入から10年間で、代表的な製薬企業の1つと認められるまでに成長しました。これまでに、70か国以上で100万人以上の患者さんに、3つのベスト・イン・クラスのがん治療薬を提供し、新たなイノベーションを追求し続けています。そして現在、治療の困難ながんに焦点を当て、がん免疫や標的タンパク質分解誘導の最先端のモダリティで構成される初期段階のパイプラインを進展させることで、がん領域でのリーダーシップをさらに強化しています。
メディカル担当CMO(Chief Medical Officer)である谷口忠明のリーダーシップのもと、アステラスはがん患者さんの生活を一変させる治療法の開発を推進しています。谷口は、アステラスがどのようにがん領域でリードを続け、今後のがん治療がどのように進化していくかを語ります。
がん治療における課題
がん治療法は複雑且つ多岐にわたり、患者さんに治療法を提供するためには絶え間ない努力が必要です。2022年にアステラスに入社した谷口は、腫瘍外科医としての豊富な経験を生かし、がん治療法をいち早く患者さんに届けるアステラスの取り組みを力強くリードしています。
谷口は、「外科医として、術後の治療選択肢が限られている患者さんを見て、フラストレーションを感じることがありました。この経験が、新たな治療法の開発に取り組む原動力となっています」と語ります。
外科医からバイオ医薬品業界へ転身した谷口は、20年以上にわたり研究開発、メディカルアフェアーズ、商業化に携わり、革新的ながん治療薬創出のために必要な包括的な知見をもとにアステラスの取り組みを推進しています。
2024年の欧州臨床腫瘍学会(European Society for Medical Oncology:ESMO)では、承認薬に関する複数のがん種におけるデータを発表しました。さらに、アンメットメディカルニーズが高い難治性のがんを対象とした、がん免疫および標的タンパク質分解誘導の革新的なパイプラインを公開しました。「新たな治療法を待ち望む患者さんのニーズに応えるために全力を尽くしています」と谷口は強調します。
また、2023年のESMOでは、アステラスが開発した治療薬によって患者さんの生存率が飛躍的に向上したデータを発表し、谷口は聴衆からスタンディングオベーションを受けた当時の情景を思い出し、「より優れた治療法の開発に挑む意義を再認識した、あの感動の瞬間が忘れられません」と振り返ります。
がん領域における進化の軌跡
アステラスでは、戦略的にがん領域のポートフォリオを進展させることにより、より多くの患者さんが治療を受けられるようにすることを目指しています。まず、泌尿器や免疫における高い専門性と知見を生かして、前立腺がんや膀胱がんなど、特定のがんに焦点を当ててきました。
この成功をもとに、胃がん、肺がん、膵臓がん、頭頸部がんなど、より多くの患者さんが抱えるアンメットメディカルニーズの高いがん疾患へと適応範囲を広げ、彼らの生活を一変させる治療法の開発に努めてきました。
「この強固な基盤により、新たながん種への拡大だけでなく、標的治療や新しいモダリティの開発にも取り組むことができました」と谷口は語ります。「これからも、がん治療の限界を押し広げるファースト・イン・クラスの治療法の創出を目指します」
着々と進む次世代治療薬の開発
最先端のがん治療を追求するためには、新しいアプローチが必要です。アステラスでは、がん免疫や標的タンパク質分解誘導などのがん領域への投資を強化し、次世代のがん治療薬の研究開発を進めています。また、AIやロボティクスなどの革新的なテクノロジーも取り入れ、新しい治療法の発見と開発を加速させています。
「標的タンパク質分解誘導は革新的な技術であり、従来の方法では対応できなかった病気の発症に関わる約80%のタンパク質を標的とすることができます。これにより、『アンドラッガブル』とされていた標的が原因のがんに対する治療の可能性が広がるのです」と谷口は説明します。
アステラスの標的タンパク質分解誘導のリードプログラムは、KRAS G12D変異体を標的とするタンパク質分解誘導剤です。KRASの変異は多くのがんで見られますが、従来の低分子化合物による阻害に適した活性結合部位(深いポケット)を持っておらず「アンドラッガブル」とされていました。例えば、KRAS G12D変異体は膵管腺がんの約40%、結腸直腸がんの約15%など、さまざまながん種で見られますが、この変異体を標的とする承認された治療薬は未だありません。
がん免疫では、がんに対する免疫サイクルの様々な段階をターゲットにした次世代の治療薬を開発しています。現在、腫瘍溶解性ウイルス(oncolytic viruses: OV)や二重特異性免疫細胞誘導抗体、低分子、細胞医療、抗体-薬物複合免疫賦活薬 (immunostimulatory antibody-drug conjugates: iADC) など、さまざまなモダリティの研究開発を進めています。
積極的なコラボレーションでさらなる躍進を
アステラスでは、多様なコラボレーションが今後の躍進の鍵であると捉え、世界中の研究機関、学術センター、バイオテクノロジー企業と積極的にパートナーシップを締結しています。
例えば、Mass General Brighamとの提携により、医療従事者と患者さんの視点を取り入れた医薬品開発プロセスを構築しています。また、Sutro Biopharma 社、Poseida Therapeutic社、Kelonia Therapeutics社など、最先端技術や独自の専門性を持つ企業とのコラボレーションを通じて、多角的なアプローチを実現しています。これにより、アステラスの研究開発が飛躍的に進化し、多くの患者さんに最先端の治療法を提供するという目標の達成を加速させています。
アステラスは、治療が困難ながんに直面する患者さんとそのご家族のニーズに応え、がん治療の変革に取り組んでいます。「患者さんのニーズに全力で応えるとともに、医療の最前線で活動する医療従事者の方もサポートしていきたい」——これこそが、医療の最前線に立ってきた谷口の強い想いです。
アステラスのがん領域における探求は、これからも続きます。この10年間で積み重ねた知識と確立した技術をさらに進化させ、がん患者さんの人生を変えられるような革新的なソリューションを追求していきます。これからも、治療が難しいがんのニーズに応え、患者さんの生活をより良くするために取り組んでいきます。
研究開発の詳細は、以下をご覧ください。
Primary Focus がん免疫
Read morePrimary Focus 標的タンパク質分解誘導
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