多様性を力に〜DE&Iの推進でイノベーションを起こす
世界中から多様な人材が集うアステラスでは、Diversity Equity & Inclusion(多様性、公平性、受容・包括、以下DE&I)を推進しています。2021年にはグローバル共通のDE&I戦略を策定し、社員のDE&Iに対する認知促進や、無意識に持つバイアス(アンコンシャスバイアス)から脱却するための活動などを通じて、お互いを尊重し合える企業文化を育むことを目指しています。
まずはこちらの動画をご覧ください。
社内のDE&Iを推進することで、社員がいきいきと働き、積極的なコラボレーションが生まれます。その結果として、私たちはイノベーションを創出し、患者さんの「価値」に変えていきます。人事部門でDE&Iの推進をリードする、ラ・トーヤ・マクレラン(La Toya McClellan)、ブライアン・ティボー(Brian Thibeaux)、石原あやが、これまでの活動や直面した課題、そして社内のDE&I推進が患者さんにどんなインパクトをもたらすのかについて語ります。
10年以上にわたり脈打つDE&Iの文化
アステラスのDE&I推進は、2007年に社長直轄プロジェクトとしてスタートしました。そして2009年には、DE&Iについての理解を社内で広めるべく、それぞれの社員が持つ文化を理解するための活動や研修が始められました。
その後、米国を中心にDE&Iについての啓発活動、カンファレンスの創設、教育カリキュラムの作成など、DE&Iを文化として根付かせるための活動が行われました。社員が女性活躍について考える「アステラス女性サミット」(2016年)や、人種格差について話し合う「The We Are One forum」(2020年)といった大きなイベントも開催され、2021年にはグローバル共通のDE&I戦略を策定しました。
「グローバルDE&I戦略の主要目標の1つは、『多様性を活かして事業価値を創造する』ことです。この目標を達成するためには、全社員でこの意識を共有し、社内でムーブメントを巻き起こす必要があると思っています。そして、企業活動のあらゆる場面でDE&Iの文化が根付いている組織となり、多様な思考で高い生産性を発揮するチームを育てることを目指しています。約15,000人の多様な国籍、文化を持つ社員の意識をまとめることは大きな挑戦ですが、この目標に向かって着実に歩みを進めており、成果も出始めています」と、DE&Iの推進活動をグローバルでリードするラ・トーヤは話します。
成果の一つであるEmployee Impact Groups(EIGs)について紹介します。
グローバルで広がりを見せるEIGs
EIGsとは、会社公認の、従業員主導で活動するグループです。現在、障がい者、アフリカ系アメリカ人、アジア人、ヒスパニック、LGBTQ+、退役軍人、女性、という7つのグループがあり、2014年から米国で活動を始めています。それぞれのグループは、有志のメンバーによって積極的に運営されており、メンバーの帰属意識の醸成、成長支援、異文化間交流の促進、ビジネスへの影響拡大、社内外のコミュニティやパートナーへの支援活動など、積極的に活動しています。米国で始まったこの活動が、グローバル全体に広がりを見せています。
「私たちは米国でDE&Iを推進し、EIGsの活動をサポートしています。グローバルでこの活動を展開していくにあたり、まずは全ての社員が、国や地域、部署の垣根を越えて、既存のグループに参加できる体制整備に取り組んでいます。そして、既存のグループの分化会を始めたい、もしくは新しいグループを立ち上げたい社員がいる場合、プロセスをわかりやすく提示し、丁寧にサポートするようにしています。すでにカナダと英国では、新しいグループが立ち上がり、中米及び南米の社員たちも前向きに検討を進めています」
EIGsの活動が世界中に広がりを見せる中、地域によっては、現地の状況に合わせた段階的なアプローチが必要な場合もあります。その一例として、日本の取り組みを石原が紹介します。
地域ならではの課題に向き合う
「グローバルのDE&I戦略に沿って、社員に新しい意識を醸成する際、長い歴史を通して各地域に根付いている考え方は大きなハードルとなります。例えば、以前の日本では、ダイバーシティ=女性活躍と認識されてしまう状況がありました。この認識を強制的に変えるのではなく、未だダイバーシティに対する正しい理解が浸透していない状況を受け入れ、思考や行動様式を無理なく変化できるよう配慮する必要があります。そこで、日本の社員向けに実施する研修では、まず性別に対しての思い込み、無意識に持ってしまうバイアスに気づいてもらうことから始めました」
日本の社員に大きな気づきをもたらす機会となったのが、2021年に始めた「Open Café」です。社員がオンラインまたはリアルで参加できるイベントで、キャリア実現の悩みや、それぞれが抱える課題について共有し、経営陣と直接話せる場としてスタートしました。現在ではLGBTQ+、男性の育児参加、女性活躍、障がい者、といったDE&Iの幅広い話題について学び、話し合える場として発展し、社員の意識改革に高い効果を発揮しています。
「Open Caféはこれまで累計1080人の社員が参加し、日本の社員のDE&Iに対する意識がだんだんと変わってきていることを実感しています。2022年には、日本においてもEIGsとの連携を開始しました。EIGsの活動によって、DE&Iの文化をより深く浸透させていきたいと考えています」
あらゆる垣根を越えて柔軟にDE&Iを推進
グローバル全体でDE&I推進の足並みを揃えるには、明確な方向性と確かなリーダーシップが必要です。米国で最初に行われた、組織の枠を越えたDE&Iの会合では、規模が大きすぎたため形式的になり、効果のある方向性の策定や意思決定にはいたりませんでした。新たな協議会では、DE&Iの推進チームや人事部門のリーダーに加えて、経営陣も名を連ねたことで、より多くの権限を与えられ、円滑にDE&Iを推進できるようになっています。さらに、サプライヤー・ダイバーシティの観点で調達チームが参画したり、ESGの観点でサステナビリティチームが参画したり、グローバルでアステラスのDE&Iを変革するキーパーソンが集まることで、現状や目標について意義深い議論を行っています。
DE&Iを患者さんの「価値」に繋げたい
DE&Iの文化を浸透させることで、社内がより活性化し、会社としての可能性が拡がっていきます。それは、患者さんにより良い「価値」をもたらすためにも非常に重要である、とラ・トーヤは話します。
「どのような患者さんがいるのかを考えると、ジェンダーだけではなく、信仰、経済、政治など、患者さんの生活に影響を与える物事全体が思い浮かび、おのずとダイバーシティ(多様性)という言葉の意味が分かります。社員の多様性は、患者さんを取り巻く状況を理解する上でも、非常に大きな力になります。また、健康のエクイティ(公平性)という観点で、私たちは多様な患者さんの状況を想像し、当社の製品にアクセスできるかを考えなければいけません。そして、一人ひとりが受け入れられ、活かし合えるインクルージョン(受容・包括)の文化を社内で醸成することが、最終的に患者さんの『価値』につながると信じています」
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