アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)、国立大学法人東京大学 医科学研究所(所在地:東京、所長:村上 義則、以下「医科学研究所」)、国立大学法人千葉大学(所在地:千葉、学長:徳久 剛史、以下「千葉大学」)、および株式会社朝日工業社(本社:東京、代表取締役社長:髙須 康有、以下「朝日工業社」)は、このたびコメ型経口ワクチン「MucoRice-CTB(以下、「ムコライス」)」の実用化を目指した共同研究契約を締結しましたのでお知らせします。今回開始するプログラムは、医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)*1に採択されており、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)より支援を受け、実施します。

 ムコライスは、医科学研究所 国際粘膜ワクチン開発研究センターの清野 宏教授、幸 義和特任研究員らにより開発され、遺伝子組換え技術を用い、コメの内在性貯蔵タンパク質の代わりにワクチン抗原となるタンパク質を発現させたコメ型経口ワクチンです。ムコライスは室温での保管が可能で、バイオ医薬品に特有の厳格な温度管理の必要がありません。栽培技術の確立により効率的に生産することが可能になれば医療費負担軽減に貢献できる可能性があります。

 本契約のもと、アステラス製薬はムコライスの生産条件検討および製剤化を担当します。医科学研究所、千葉大学および朝日工業社はムコライスの生産体制の構築を行います。

 なお、医科学研究所とアステラス製薬は 2016 年よりムコライスを活用したコレラ*2、毒素原性大腸菌*3 を対象としたワクチンの共同研究に取り組んできましたが、2017 年よりその研究対象の範囲をウイルス性腸管下痢症*4(例:ノロウイルス*5)に広げています。

 アステラス製薬、医科学研究所、千葉大学および朝日工業社は、本共同研究を通じて、社会生活に大きな影響を及ぼす感染症ワクチンおよび治療薬の研究開発に取り組むとともに、より強固なムコライスの生産体制を構築することにより、遺伝子組換え穀物の医薬品生産への活用に挑戦することで、アンメットメディカルニーズに応えていきます。

以上

*1 CiCLE(医療研究開発革新基盤創成事業):産学官連携による、医療現場ニーズに的確に対応する研究開発の実施、創薬等の実用化の加速化等が革新される基盤(人材を含む)の形成および医療研究開発分野でのオープンイノベーション・ベンチャー育成が促進される環境の創出を推進することを目的として創設した事業です。
*2 コレラ:コレラ毒素を産生するコレラ菌によって起こる激しい下痢を伴う急性胃腸炎です。コレラ菌によって汚染された水や食物を摂取することで起こるため、途上国で多くみられます。
*3 毒素原性大腸菌:人に下痢や腹痛などを起こす毒素を産生する大腸菌です。毒素原性大腸菌に汚染された水や食物を摂取すると激しい下痢を引き起こします。衛生環境の良くない地域で多くみられ、乳幼児の下痢症の原因となり、またこれらの地域への旅行者が罹患する下痢症の主な原因ともなります。
*4 ウイルス性腸管下痢症:コレラ菌などの細菌が原因となる下痢症ではなくロタウイルスやノロウイルスが引き起こす下痢症です。
*5 ノロウイルス:感染性胃腸炎や食中毒を引き起こすウイルスの一つで、口から入ったウイルスが腸管内で増えて、吐き気、おう吐、下痢、腹痛などの症状を引き起こします。健常人では症状が軽いことが多いですが、体力の弱い乳幼児や高齢者などでは、重症化し、時に吐物を喉に詰まらせて死に至る場合もあります。

アステラス製薬について
アステラス製薬株式会社(https://www.astellas.com/ja)は、東京に本社を置き、「先端・信頼の医薬で、世界の 人々の健康に貢献する」ことを経営理念に掲げる製薬企業です。既存の重点疾患領域である泌尿器、がん、免 疫科学、腎疾患、神経科学に加えて、新たな疾患領域への参入や新技術・新治療手段を活用した創薬研究に も取り組んでいます。さらには各種医療・ヘルスケア事業との融合による新たな価値創出にも挑戦しています。 アステラス製薬は、変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変えていきます。

東京大学 医科学研究所について
東京大学 医科学研究所は、1892 年に北里 柴三郎先生により設立された伝染病研究所を前身とし、附属病院 を持つ、わが国随一の医学・生命科学のための附置研究所です。本年、創立 125 周年を迎えます。感染症、が ん、免疫疾患などの疾患を対象とし、「ベンチからベッドへ」そして「ベッドからベンチへ」と基礎・臨床双方向研究 の成果を医療に直結させることを使命としています。北里先生の「実学」という DNA を継承し、最先端基礎研究 を通して、ゲノム医科学、抗体医薬/粘膜ワクチンの開発、遺伝子治療、再生医療など、次世代医療実現化に 向けた先導的研究が展開されています。

千葉大学園芸学研究科について
千葉大学園芸学研究科は、国立大学法人唯一の園芸研究科として 100 年の歴史と伝統を持ち、「食と緑」に関 わる多くの業績と知的資源を蓄積しています。そして、理学、工学はもとより一般的な農学とも異なるユニークな 研究科として、園芸と造園に関する伝統的領域に加え、生命科学、環境科学へと領域を拡げ、人々の健康や生 活空間の科学まで包含する幅広い分野について地域社会・国際社会のニーズに的確に応えるべく教育・研究 を行っています。

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株式会社朝日工業社(http://www.asahikogyosha.co.jp/)は、企業理念である「空気・水・熱の科学に基づく高 度な技術によって最適空間を創造する」ことを使命とし、設備工事事業および機器製造販売事業を展開してい る企業です。1925 年の創業以来、「人々の豊かな暮らしと社会の発展に寄与する快適環境・最適空間の創造」 に一貫して取り組んでまいりました。地球環境に優しい設備や省エネシステムの提案・施工、省エネ機器の製 造販売などを通じて低炭素社会の実現に寄与すべく、その取り組みを今後も着実に進めてまいります。

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