アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長CEO:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)は、産科フィスチュラ国際撲滅デーである本日、Action on Fistulaの第二段階として、フィスチュラ基金への支援を2020年まで継続することを決定しましたのでお知らせします。なお、資金は、アステラス製薬の欧州子会社であるアステラス ファーマ ヨーロッパ Ltd.(以下、アステラス製薬と併せて「アステラス」)が提供します。
産科フィスチュラは、救急医療を利用できない状況下での長期にわたる分娩によって誘発される膣と直腸または膀胱との間に形成される瘻孔であり、大便失禁や尿失禁を誘発します。開発途上国においては、適切な分娩介入を行うための医療にアクセスできない、或いは、身体的に未成熟な状態で出産する女性が多いため、未だ数多く見られる疾患です。また、産科フィスチュラ患者は異臭が絶えないことによる深刻な差別に悩まされ、家族や友人、隣人から距離を置かれることも少なくありません。このような女性は、教育や雇用の機会から遠ざけられて孤立と貧困の中で生きることを強いられる場合もあります。
産科フィスチュラは、先進国では実質的に根絶されていますが、ケニアでは依然として年間3,000例の新症例が生じており、1,000回の分娩で、およそ1件から2件のフィスチュラが生じていると言われています1。
Action on Fistulaはケニアで産科フィスチュラを抱えている女性の生活を改善するため、2014年にフィスチュラ基金が立ち上げたプログラムです。アステラスはフィスチュラ基金に対して資金提供を行うことで産科フィスチュラの撲滅に向けた取り組みを行っています。
Action on Fistulaでは、これまでに以下のような成果がありました。
・産科フィスチュラのケニア人女性2,471名に対して、手術を実施し、生活を改善
・6名のフィスチュラ専門外科医に研修を行うことで、ケニアにおける外科手術の提供能力が大幅に拡大
・6つの治療センターで常時外科手術を行えるようフィスチュラ治療ネットワークを構築
・治療の必要な女性に対し、治療を受けることを働きかける大規模な疾患啓発プログラムを構築
これらの成果を受けて、2017年5月から2020年4月までに、Action on Fistulaの第二段階として以下の活動を支援することを決定しました。
・さらに2,000名の産科フィスチュラの女性の手術を行い、ケニアにおける産科フィスチュラ治療を拡大
・フィスチュラ治療ネットワークを8病院まで拡大
・ケニアのGynocare Women’s and Fistula Hospitalで、ケニアに加え、サハラ以南のアフリカ及び東南アジアの6名の外科医に対して研修を実施
・治療過程全体を通じて女性のサポートを行えるよう、10名のフィスチュラ専門看護師の研修を実施
・心理的、社会的、経済的支援をすることで、患者さんの社会復帰を支援する20のサポートグループをケニア全土に構築
フィスチュラ基金のCEOであるKate Grantは以下のように述べています。「アステラスの支援により、各病院がほぼ単独で活動していた状況から、6つの病院が国内をカバーする治療ネットワークを構築することができました。これにより産科フィスチュラ治療を常時行えるようになり、ケニアでの治療状況を一変させることができました。当初の予定よりも2倍以上の女性を治療することができ、大変驚いています。」
また、アステラス ファーマ ヨーロッパ Ltd.の社長である松井 幸郎は以下のように述べています。「短期間で成果を出せたことをとても誇りに思っています。外科医の研修や、ケニアでの疾患啓発活動の展開といったフィスチュラ基金の貢献により、Action on Fistulaは、多くの女性の生活を改善することができました。今後3年間もケニアにさらに強固な治療インフラを構築し続け、産科フィスチュラに苦しむ多くの女性の治療に貢献し、Action on Fistulaの功績が長きにわたり引き継がれるものと信じています。」
Action on Fistulaは、アステラスが支援している非感染性疾患ケアの改善に重点を置いたAccess Acceleratedの主要なプログラムの一つです。
アステラスは保健医療へのアクセスの向上とより良い医療ソリューションの提供、科学の振興や地域社会への支援を通じて、社会の長期的な持続可能性の向上に貢献していきます。
以上
1 United Nations Population Fund, Direct Relief and Fistula Foundation Global Treatment Map, http://www.globalfistulamap.org/
フィスチュラ基金について
フィスチュラ基金は、世界中の女性が子供を持とうとしただけで孤立した悲劇的な人生を強いられるべきではないとの信念のもと、産科フィスチュラの治療に取り組んでいます。フィスチュラ基金は、20か国の施設を拠点とする地域パートナーに出資しており、政府の出資を受けていない他のどの非営利組織よりも多くの世界中のフィスチュラ修復手術に出資しています。フィスチュラ基金はシリコンバレーの中心地であるカリフォルニア州サンノゼに拠点を置き、Charity Navigatorから連続11回の四つ星認定を受けています。この認定を受けたのは、全慈善団体のわずか1%だけです。
Action on Fistulaとアステラスの活動について
アステラスの資金援助を受けているAction on Fistulaは、ケニアで産科フィスチュラを抱えた1,200名の女性の生活を改善することを目的として、フィスチュラ基金が2014年に創設したプログラムです。2016年度末までに、このプログラムでは、産科フィスチュラのケニア人女性2,471名に生活を改善させる手術を実施しました。これは、1,200名以上の産科フィスチュラの女性の生活を改善させるという当初の目標をはるかに超える実績です。今後3年間は、ケニアでの手術提供能力を高めながら、4,500名の女性を治療することを目標としています。
Action on Fistulaではフィスチュラを抱えて生活している女性を特定し支援できるよう疾患啓発活動やコミュニティワーカーへの研修を行っています。又、産科フィスチュラに対する関心を高め、産科フィスチュラの女性が社会的に見放される状況を取り除き、治療に向けて前進できるよう、フィスチュラを経験した女性のコミュニティへの復帰を助ける取り組みも支援しています。又、フィスチュラ治療ネットワークは、加盟医療施設へのアクセスを拡げ、常時手術を行えるフィスチュラ外科医を輩出する取り組みも行っています。
アステラス ファーマ ヨーロッパ Ltd.は、Action on Fistulaに資金提供することに加え、当社の従業員に、フィスチュラ治療を支援するための寄附を積極的に募っています。
尚、Action on Fistulaは‘国際チャリティとの連携’部門でフィスチュラ基金との活動について2017年Better Society Awardsを、‘優れた企業の社会的責任’部門で、2017年 Communique Awardsを受賞しました。
Action on Fistulaの詳しい情報につきましては、以下をご覧ください:
www.astellas.eu/action‐on‐fistula
Access Acceleratedについて
Action on Fistulaに対するアステラスの支援は、Access Acceleratedにおけるアステラスの取り組みの一部です。Access Acceleratedは、低所得国や低中所得国における非感染性疾患(NCDs)の医薬品アクセスを巡る様々な障壁の克服を支援していきます。Access Acceleratedは、20社以上の医薬品企業や団体で構成されるほか、世界銀行や国際対がん連合とのパートナーと連携し、2030年までにNCDsによる早期死亡件数の3分の1を減少させるという国連の持続可能な開発目標(UN Sustainable Development Goal)に向けて取り組みます。