アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長CEO:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)は、急性骨髄性白血病(AML: acute myeloid leukemia)治療薬として開発を進めているFLT3/AXL阻害剤ギルテリチニブ(一般名、開発コード:ASP2215)について、造血幹細胞移植(HCT: hematopoietic stem cell transplant)後の維持療法におけるFLT3遺伝子内縦列重複(ITD: Internal Tandem Duplication)変異陽性(FLT3/ITD+)AML患者を対象とした国際共同第III相試験(MORPHO試験)の最初の患者への投薬が開始されましたのでお知らせします。無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験であるMORPHO試験では、HCT後2年間の維持療法として、ギルテリチニブをプラセボと比較します。主要評価項目は無再発生存期間(RFS: relapse-free survival)であり、Blood and Marrow Transplant Clinical Trials Network(BMT-CTN)と協力して本試験を実施します。

   治験責任医師であり、BMT-CTN Studyの共同代表を務めるSidney Kimmel Comprehensive Cancer Center of Johns Hopkins UniversityのMark J. Levis, M.D., Ph.D.は次のように述べています。「FLT3遺伝子変異陽性のAML患者は他の遺伝子変異を有するAML患者と比べて治療後の予後が悪い可能性が高く、幹細胞移植後に寛解を達成する患者もいるものの、残念ながら多くの患者では再発することが分かっています。今回、HCT後の患者に対し、ギルテリチニブを投与する本試験を開始できることを大変嬉しく思います。」

   がん細胞の増殖に関与する受容体型チロシンキナーゼであるFLT3及びAXLを阻害するギルテリチニブは、AML患者の約1/3で認められるFLT3の2つの遺伝子変異であるITD変異とチロシンキナーゼドメイン変異(TKD: Tyrosin Kinase Domein)の両方を阻害します。AMLは血液と骨髄に影響を及ぼし、高齢者で多く罹患するがんです。米国がん協会によれば、2016年米国において約21,000人が新たにAMLと診断され、約10,600人が死亡に至ったと推定されています。

   アステラス製薬の子会社であるAstellas Pharma Global Development, Inc.のsenior vice president及びtherapeutic area head, oncology developmentであるSteven Benner M.D.は、次のように述べています。「FLT遺伝子変異陽性AML患者は治療選択肢が非常に限られています。MORPHO試験の開始は、アステラス製薬だけでなくFLT遺伝子変異陽性AML患者の治療にとっても大きな一歩だと考えています。アステラス製薬は、遺伝子変異及び耐性突然変異を有する難治性の血液がんに苦しんでいる患者を対象に、ギルテリチニブの有効性を検証するための4つの第III相試験を進めています。アステラス製薬は一日も早く新たなAML治療の選択肢を提供できることを期待しています。」

以上

MORPHO試験について

第III相MORPHO試験は、AML患者さんを対象とする2群間比較無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験です。FLT3/ITD変異を有するAMLと診断された346名の患者さんが本試験に登録されます。本試験への参加には、移植前に1回目の完全寛解(CR1)の状態であることが条件とされています。完全寛解の状態とは、骨髄(BM)中の芽球が5%未満、BMに急性白血病の形態学的特徴がなく、骨髄外白血病のエビデンスがないものとして定義されます。CR1の状態にあるFLT3/ITD+ AMLの被験者はHCTを受けた後、ギルテリチニブ(120 mg)投与群またはプラセボ投与群に無作為に割り付けられます。投与は、移植された造血幹細胞の生着後から開始し、2年間継続します。参加者は以下の条件で層別化されます。

(1)前処置レジメンの強度(骨髄破壊的措置vs. 強度減弱措置)、(2)HCTから無作為化までの期間(30~60日vs. 61~90日)、(3)移植前に実施された直近の検査におけるBM穿刺液中の微小残存病変の有無。治験の主要評価項目はRFSです。試験は北米、欧州、日本を含むアジア太平洋地域の各国で実施されています。本治験の詳細については、www.clinicaltrials.gov(治験識別名NCT02997202)にアクセスしてください。

ギルテリチニブについて

ギルテリチニブはアステラス製薬と寿製薬株式会社の共同研究により見出されました。アステラス製薬はギルテリチニブについて全世界での開発、製造、並びに商業化に関する独占的な権利を有します。

アステラス製薬では、優先度の高いプロジェクトをFast Trackと位置づけ、重点的に経営資源を投入し、研究開発期間の一層の短縮を図っており、ギルテルチニブをFast Track第1号に指定しています。

アステラス製薬について

アステラス製薬株式会社(https://www.astellas.com/ja)は、東京に本社を置き、「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」ことを経営理念に掲げる製薬企業です。既存の重点疾患領域である泌尿器、がん、免疫科学、腎疾患、神経科学に加えて、新たな疾患領域への参入や新技術・新治療手段を活用した創薬研究にも取り組んでいます。さらには各種医療・ヘルスケア事業との融合による新たな価値創出にも挑戦しています。アステラス製薬は、変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変えていきます。

BMT CTNについて

The Blood and Marrow Transplant (BMT) Clinical Trials Network (CTN)は、2001年10月、大規模な多施設共同臨床試験を実施するために設立されました。本ネットワークは、National Institutes of Health(米国国立衛生研究所)の2部門The National Heart, Lung, and Blood Institute及びThe National Cancer Instituteから資金助成を受けています。

注意事項

このプレスリリースに記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述およびその他の過去の事実ではない記述は、アステラスの業績等に関する将来の見通しです。これらの記述は経営陣の現在入手可能な情報に基づく見積りや想定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。さまざまな要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性があります。その要因としては、(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の遅延、(iv)新製品および既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(v)競争力のある新薬を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。

 

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