アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:畑中 好彦)は、米国メディベーション社と共同で開発・商業化を進めているアンドロゲン受容体阻害剤エンザルタミド(一般名、製品名:XTANDI/イクスタンジ、開発コード:MDV3100)について、第Ⅱ相STRIVE試験の結果が得られましたのでお知らせします。STRIVE試験では、非転移性または転移性去勢抵抗性前立腺がん患者を対象としてエンザルタミドとビカルタミドを比較しました。主要評価項目である無増悪生存期間において、エンザルタミド群ではビカルタミド群と比較して統計学的に有意な延長が認められました(ハザード比=0.24;95%信頼区間、0.18-0.32;p<0.0001)。無増悪生存期間の中央値は、ビカルタミド群の5.7か月に対し、エンザルタミド群では19.4か月でした。
STRIVE試験における投与期間の中央値はエンザルタミド群で14.7か月、ビカルタミド群で8.4か月でした。重篤な有害事象はエンザルタミド投与群の29.4%、ビカルタミド投与群の28.3%でみられました。グレード3以上の心臓関連の有害事象は、エンザルタミド投与群の5.1%、ビカルタミド投与群の4.0%でみられました。また、痙攣発作は試験中にエンザルタミド群で1例みられ、ビカルタミド群ではみられませんでした。投与期間中に最もよくみられた副作用のうち、ビカルタミド投与群よりもエンザルタミド投与群で多くみられたものは、疲労、背部痛、ほてり、転倒、高血圧、めまい、食欲減退であり、これまでに知られているエンザルタミドの安全性プロファイルと一致していました。
本試験の結果について、治験責任医師の一人であるDavid Penson医師(Director of the Center for Surgical Quality and Outcomes Research and Chair of the Department of Urologic Surgery of Vanderbilt University Medical Center)は、「本試験の対象患者において、エンザルタミドがビカルタミドよりも長期間にわたって病勢をコントロールできることが示されました。」と述べています。
STRIVE試験は、TERRAIN試験に続き、エンザルタミドとビカルタミドを直接比較した2つ目の試験です。
副次評価項目や安全性情報を含む詳細な試験結果は、今後、学会にて発表する予定です。
本件については、米国において、現地時間4月2日に対外発表しています。
以 上
STRIVE試験について
第Ⅱ相STRIVE試験は米国において実施され、396例が組み入れられました。黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アナログによるホルモン療法あるいは外科的去勢術後に進行した転移性前立腺がん患者257例、非転移性前立腺がん患者139例が登録されました。主要評価項目は無増悪生存期間で、これは、ランダム化から画像診断上の進行(骨もしくは軟部組織)、PSA値の増悪(Prostate Cancer Working Group 2 criteria)、原因を問わない死亡のうちいずれかの事象が最初に起こるまでの期間と定義されています。本試験では、エンザルタミド160 mgを1日1回投与した群とビカルタミド50 mg*を1日1回投与した群とを比較しました。患者組み入れは2014年3月に完了しています。
*欧米でLHRH アナログとの併用において承認された用量。日本におけるビカルタミドの承認用
量は1 日80 mg。
TERRAIN試験について
2015年3月25日付のプレスリリース「2015欧州泌尿器科学会議のPlenary Sessionでエンザルタミドの新たなデータを発表」をご参照ください。