アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長:畑中 好彦)は、アゾール系抗真菌剤 isavuconazonium sulfate(一般名、製品名:CRESEMBA®)に関する第III相ACTIVE試験の結果が判明しましたので、お知らせします。本試験では、カンジダ血症及び侵襲性カンジダ症の成人患者を対象として、isavuconazole(isavuconazonium sulfateの有効成分)の静脈内投与と経口投与による有効性と安全性を評価しました。主要評価項目である静脈内投与終了時の総合臨床効果において、isavuconazole投与群では、対照群であるカスポファンギン投与群に対する非劣性を検証することはできませんでした。また副次評価項目として、isavuconazoleの静脈内投与終了後、isavuconazoleの静脈内投与を継続、又は経口投与へ切り替えた群と、カスポファンギンの静脈内投与終了後、カスポファンギンの静脈内投与を継続、又はボリコナゾールの経口投与へ切り替えた群について総合臨床効果を比較した結果、両群間で大きな差はみられませんでした。なお、isavuconazole投与群の総合的な安全性プロファイルは、カスポファンギン投与群と同様であり、また、既に報告している第III相試験で得られた安全性データと概ね一致しました。

 グローバル開発機能長であるBernie Zeiher, M.D.は次のように述べています。「カンジダ血症や侵襲性カンジダ症は、新たな治療の選択肢が求められており、今回とは異なる結果を期待していました。今後、更なる解析を行い、本試験のデータを詳細に検討したいと思います。CRESEMBA®が、米国において承認されている侵襲性アスペルギルス症及び侵襲性ムーコル症に対する重要な治療の選択肢であることに変わりありません。」

 Modified intent-to-treat集団(N=400)における静脈内投与終了時の総合臨床効果は、isavuconazole投与群において60.3%、カスポファンギン投与群において71.1%であり、調整後の差は-10.8%(95%信頼区間(CI); -19.9%, -1.8%)でした。isavuconazole投与群とカスポファンギン投与群における有効率の差の95%信頼区間の下限値は、予め規定した非劣性限界値(-15%)を超えていました。

 CRESEMBA®は、米国において成人の侵襲性アスペルギルス症及び侵襲性ムーコル症に対する治療薬として承認されており、スイスのバシリア社と共同で開発を進めています。

以上

 ACTIVE試験について

 ACTIVE試験は、カンジダ血症及び侵襲性カンジダ症の成人患者440名を対象としたグローバル多施設共同第III相二重盲検無作為化試験です。主要評価項目は、静脈内投与終了時のisavuconazole投与群とカスポファンギン投与群における総合臨床効果の比較です。総合臨床効果は、独立データ評価委員会(DRC)により盲検下で評価されました。副次評価項目は、第1回目の追跡調査来院時(投与終了2週間を経過した時点)における総合臨床効果です。主要評価項目であるisavuconazole、又はカスポファンギン静脈内投与終了時における総合臨床効果は、臨床症状の改善度及び真菌学的効果、並びに他の全身性抗真菌剤の治療の必要性をもとに、DRCにおいて判定しました。副次評価項目である第1回目の追跡調査来院時(投与終了2週間を経過した時点)における総合臨床効果は、臨床症状の改善度、真菌学的効果、他の全身性抗真菌剤の治療の必要性、並びに再発又は新たな感染症の有無をもとに、DRCにおいて判定しました。

isavuconazole投与群では、治療開始から48時間は、8時間ごとにisavuconazoleを200 mg静脈内投与し、その後3日目から10日目まで200 mgの維持用量で1日1回静脈内投与しました。一方、カスポファンギン投与群では、1日目にカスポファンギンを70 mgの開始用量として静脈内投与し、2日目から10日目まで50 mgの維持用量で1日1回静脈内投与しました。それ以降は、静脈内投与の継続、あるいは経口投与への切り替えを選択することができ、経口投与へ切り替える場合、11日目以降投与終了時まで(最長治療期間56日)、isavuconazole投与群はisavuconazoleを200 mgの用量で1日1回、カスポファンギン投与群はボリコナゾールを400 mgの用量で1日2回、投与しました。

 カンジダ症について

 カンジダ症は希少疾病に指定されており、侵襲性カンジダ症は死亡率が高く、米国では40%に達しています。

 アステラス製薬について

 アステラス製薬株式会社(http://www.astellas.com/jp/)は、東京に本社を置き、「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」ことを経営理念に掲げる製薬企業です。既存の重点疾患領域である泌尿器、がん、免疫科学、腎疾患、神経科学に加えて、新たな疾患領域への参入や新技術・新治療手段を活用した創薬研究にも取り組んでいます。さらには各種医療・ヘルスケア事業との融合による新たな価値創出にも挑戦しています。アステラス製薬は、変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変えていきます。

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