アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長CEO:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)は、医薬品会社Vical Incorporated(本社:カリフォルニア州サンディエゴ、President & CEO:Vijay B. Samant、以下「Vical社」)と共同で開発しているサイトメガロウイルスワクチン(開発コード:ASP0113、以下「ASP0113」)の欧州、米国、オーストラリアで実施している腎臓移植患者を対象とした第II相試験において、主要評価項目であるASP0113の初回接種後1年間におけるサイトメガロウイルス血症の発現率で、プラセボ群に対する有意差が認められませんでしたのでお知らせします。

   本試験では、中央検査機関で測定したウイルス量が1,000IU/ml以上をサイトメガロウイルス血症の発現と定義し、腎臓移植患者にASP0113の初回接種後1年間におけるサイトメガロウイルス血症の発現率をプラセボ群と比較して検証しましたが、両群間で有意差が認められませんでした。また、副次的評価項目であるサイトメガロウイルス関連疾患の発現率及びサイトメガロウイルス感染治療のための抗ウイルス療法の使用率もプラセボ群と比較して有意差が認められませんでした。

   なお、安全性プロファイルはASP0113群及びプラセボ群で同程度でしたが、局所部位反応がASP0113群でより多く認められました。この試験の詳細なデータは今後の学会発表で開示する予定です。

   アステラスの開発機能長であるBernhardt G Zeiher, M.D.は、今回の試験結果について以下のように述べています。「今回とは異なる結果を期待していました。臓器移植患者のサイトメガロウイルス感染症に対するアンメット・メディカルニーズは高いため、本試験結果の更なる解析を行い、今回の試験で蓄積した知識を、今後の同様の患者群における開発プログラムに役立てたいと思います。また、造血細胞移植患者を対象とした第III相試験では組み入れ患者数が目標数に到達しており、引き続き注力していきたいと思います。」

   Vical社のPresident & CEO であるVijay Samantは以下のように述べています。 「我々はASP0113の開発に関してアステラス製薬と協力関係を築けたことを嬉しく思います。2017年後半に判明予定の造血細胞移植患者を対象とした第III相試験の結果を心待ちにしています。」

   本件については、米国において、現地時間9月19日に対外発表しています。 

以上

ASP0113について

   ASP0113は、臓器移植患者及び造血細胞移植患者においてサイトメガロウイルス感染症及びそれに伴う合併症を抑制するためにデザインされた開発中の二価DNAワクチンです。この二価DNAワクチンは、細胞性及び体液性免疫応答を誘導するために、サイトメガロウイルスのテグメントリンタンパク質65及び糖タンパク質B抗原をコードするもので、ポロキサマーCRL1005をベースとした独自の送達システムとともに製剤化されます。ASP0113は米国及び欧州で、臓器移植患者及び造血細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス感染抑制の治療薬として、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定を受けています。造血細胞移植患者を対象としたASP0113の第III相試験は、サイトメガロウイルスワクチンとしても、DNAワクチンとしても初めての第III相試験であり、現在進行中です。

アステラス製薬は2011年7月に、ASP0113の全世界における開発・商業化に関する独占的ライセンス契約をVical社と締結し、現在、アステラス製薬が主導して開発を進めています。

ASP0113腎臓移植患者を対象とした第II相試験の概要

   サイトメガロウイルス抗体陽性のドナーから臓器提供を受けたサイトメガロウイルス抗体陰性の腎臓移植患者(ドナー陽性/レシピエント陰性)を対象に、ASP0113の安全性、忍容性及び有効性を評価した無作為化二重盲検プラセボ対照試験です。北米、欧州及びオーストラリアの約80施設で、150名の腎臓移植患者が登録され、100日間のバルガンシクロビルによる予防的投与下で、ASP0113又はプラセボを投与する群に無作為に割り付けられ接種を受けました。

サイトメガロウイルスについて

   サイトメガロウイルスは、ヘルペスウイルス科に属するウイルスです。米国では半数以上の成人が50歳までに感染しますが、発展途上国では米国以上に多くの割合の人が感染していると言われています。健康人では通常、免疫が正常に働いているため大きな問題になりませんが、免疫が十分に機能していない人は、サイトメガロウイルスの再活性化のリスクが高く、重度の感染症を引き起こす可能性があり、最悪の場合、死に至るケースもあります。造血細胞移植患者や臓器移植患者、妊娠中に初回感染した母親から生まれた新生児では、リスクが非常に高くなります。

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