アステラス製薬株式会社(本社:東京、以下「アステラス製薬」)は、Ironwood Pharmaceuticals, Inc.(NASDAQ: IRWD、本社:米国マサチューセッツ州、CEO: Peter Hecht, Ph.D.、以下「Ironwood社」)より導入し、日本において開発しているグアニル酸シクラーゼC受容体アゴニスト「リンゼス®錠0.25mg」(一般名:リナクロチド、開発コード:ASP0456、以下「リンゼス®錠」)に関し、本日、便秘型過敏性腸症候群1)(IBS-C)の効能・効果で、厚生労働省より製造販売承認を取得しましたので、お知らせします。

   アステラス製薬は、今回の承認取得により、新たな治療選択肢を提供することで、IBS-C治療に一層の貢献ができるものと期待しています。

   今回の承認取得は、主に、IBS-Cの成人患者を対象として日本で実施した第III相試験のプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験の結果に基づいています。本試験は、日本のIBS-Cの成人患者500例を、リンゼス®錠投与群(0.5mg)又はプラセボ投与群に1:1の比で無作為に割り付け、リンゼス®錠を12週間経口投与した際の有効性を検証するとともに安全性を検討した試験です。試験の結果、2つの主要評価項目である投与12週間における過敏性腸症候群(IBS)症状の全般改善効果及び残便感の無い自発的な排便(CSBM)のレスポンダー率において、リンゼス®錠投与群はプラセボ投与群と比較して統計学的に有意な改善を示しました。このうちIBS症状の全般改善効果のレスポンダー率はリンゼス®錠投与群で34%、プラセボ投与群で18%(P<0.001)でした。また、CSBMのレスポンダー率はリンゼス®錠投与群で35%、プラセボ投与群で19%(P<0.001)でした。さらに、腹部膨満感、腹痛・腹部不快感を含む、腹部及び便秘症状をみた副次評価項目においても改善が認められました。なお、主な有害事象は下痢で、その発現率はリンゼス®錠投与群で9.6%、プラセボ投与群で0.4%であり、程度は全て軽度から中等度でした。

   今回の承認取得に伴い、アステラス製薬はIronwood社に15百万米ドルのマイルストン支払いを行います。なお、アステラス製薬の通期(2017年3月期)連結業績への影響は軽微です。

承認内容の概要について

承認日:2016年12月19日

製品名:リンゼス®錠0.25mg

一般名:リナクロチド

剤型・含量:1錠中にリナクロチド0.25mgを含有するフィルムコーティング錠

効能・効果:便秘型過敏性腸症候群

効能・効果に関連する使用上の注意

便秘型過敏性腸症候群治療の基本である食事指導及び生活指導を行った上で、症状の改善が得られない患者に対して、本剤の適用を考慮すること。

用法・用量:        

通常、成人にはリナクロチドとして0.5 mg を1 日1 回、食前に経口投与する。

なお、症状により0.25 mg に減量する。

用法・用量に関連する使用上の注意

重度の下痢があらわれるおそれがあるので、症状の経過を十分に観察し、本剤を漫然と投与しないよう、定期的に本剤の投与継続の必要性を検討すること。

リンゼス®錠について

   リンゼス®錠は、腸粘膜上皮細胞に発現しているグアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体に局所的に結合して活性化することにより、腸管分泌及び腸管輸送能を促進し、加えて内臓痛覚過敏を改善します。リンゼス®錠は成人のIBS-Cと慢性特発性便秘(CIC)の適応症で世界30か国以上で承認されています。日本では成人の2.9% 2)がIBS-Cであると言われていますが、IBS-Cの効能・効果で承認されている薬剤はありませんでした。なお、アステラス製薬は同剤の日本における開発・販売権を有しています。

1) 過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)は器質的疾患を伴わず、腹痛・腹部不快感と便通異常(下痢、便秘)を主体とし、それら消化器症状が長期間持続若しくは悪化・改善を繰り返す機能性疾患です。過敏性腸症候群の便通異常や腹部症状は、ストレスをはじめとする種々の病因によって引き起こされ、最終的には腸管神経の過度の活性化に伴う消化管運動亢進によって生じると考えられています。

2) Kubo M, Fujiwara Y, Shiba M, Kohata Y, Yamagami H, Tanigawa T, et al. Differences between risk factors among irritable bowel syndrome subtypes in Japanese adults. Neurogastroenterol Motil. 2011;23:249-54.

以上

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