アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長CEO:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)は、Affinivax Inc.(本社:米国マサチューセッツ州、CEO: Steven B. Brugger、以下「Affinivax社」)と、同社の多重抗原提示システム(Multiple Antigen Presentation System、以下「MAPS」)技術を利用して創製した肺炎球菌起因疾患を対象としたワクチンについて、全世界における開発・商業化に関する独占的ライセンス契約を締結しましたのでお知らせします。

肺炎球菌は健常な小児や成人の上気道で高頻度に見つかる細菌です。アメリカ疾病予防管理センターの試算によると、米国では年間約90万人が肺炎球菌に起因する疾患に罹患し、その内、約40万人が入院し、約5万人が亡くなっていると言われています。更に、世界保健機関の試算では、特に新興国において肺炎球菌に起因する疾患で多くの人が亡くなっており、その数は世界で年間約160万人にのぼり、その約半分が5歳以下の小児であると言われています。肺炎球菌は肺炎、髄膜炎、敗血症等を引き起こす可能性があることから世界規模の公衆衛生問題となっているため、より予防効果の高いワクチンが待ち望まれています。

本ワクチンは、MAPS技術を利用して創られた糖鎖抗原とタンパク質抗原の両方から成る肺炎球菌ワクチンです。その結果、既存のワクチンに比べて、侵襲性感染症1)に対して広範囲の予防効果を発揮し、更に、上咽頭における病原菌のコロニー形成を抑制することが期待できます。

アステラス製薬の上席執行役員・経営戦略担当である安川健司は次のように述べています。「画期的なMAPS技術を利用した肺炎球菌ワクチンの開発についてAffinivax社と提携したことを嬉しく思います。MAPS技術を利用したワクチンが、高いアンメットメディカルニーズである肺炎球菌に起因する疾患の予防における新たな選択肢となり、世界中の患者さんへ一層の貢献ができるものと期待しています。」

Affinivax社のCEOであるSteven B. Bruggerは以下のように述べています。「我々のMAPS技術をアステラス製薬に評価して頂いたことを光栄に思います。今後、アステラス製薬をパートナーとしてワクチンの開発を進めることにより、世界的に重要な肺炎球菌に起因する疾患の予防に貢献できることを嬉しく思います。又、この提携はアステラス製薬のワクチンフランチャイズ強化に貢献できるものと考えています。」

本契約締結に基づき、アステラス製薬は今後、本ワクチンの開発・商業化を行い、これらに要する費用を負担します。また、アステラス製薬はAffinivax社に対し、10百万ドルの契約締結時一時金のほか、開発の進捗に応じた対価及び上市後は一定の売上高達成に応じた対価を支払います。更に、アステラス製薬は、Affinivax社に対して、正味売上高に応じたロイヤルティを支払います。

なお、今回の契約締結に伴うアステラス製薬の当期(2017年3月期)業績への影響はありません。

1)侵襲性感染症:血液や髄液等、本来菌の無い部位から細菌が検出された場合を指し、一般的に重症例が多い。

Affinivax社について

Affinivax社は重症な感染症に対する高いレベルのワクチンを開発する次世代技術に挑戦しています。Affinivax社はBill & Melinda Gates Foundationの支援と世界のワクチン専門家との協働の下、世界の小児又は成人に対するワクチンのパイプライン構築を行っています。又、2015年初頭より、非営利団体であるPATHの支援の下、MAPSワクチンの肺炎球菌起因疾患に関する研究を進めています。更に、Affinivax社はアステラスとその業務提携先であるClearPath Development Company と2015年9月よりMAPS技術を利用した院内感染症予防ワクチンに関する共同研究を推進しています。更なる詳細は同社ウェブサイト
www.affinivax.com)をご覧ください。

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