- 第III相ARCHES試験の5年間の追跡調査のデータにおいてエンザルタミド+アンドロゲン除去療法(ADT)群がプラセボ+ADT群と比較して死亡リスクを30%減少 -
- 中央値61.4カ月間の追跡調査後の5年生存率はエンザルタミド+ADT群で66%プラセボ+ADT群で53% -
- 転移性ホルモン感受性前立腺がんを対象として、投与後5年時点で、統計学的に有意な全生存率の改善を示した唯一のアンドロゲン受容体阻害剤 -
アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長CEO:岡村 直樹、以下「アステラス製薬」)は、Pfizer Inc.(本社:米国ニューヨーク州)と共同で開発、商業化を進めている経口アンドロゲン受容体阻害剤であるXTANDITM(製品名、一般名:エンザルタミド)が、転移性ホルモン感受性前立腺がん(metastatic hormone-sensitive prostate cancer:mHSPC)患者を対象とした第III相ARCHES試験(NCT02677896)の非盲検継続試験における長期追跡調査の結果、エンザルタミド+アンドロゲン除去療法(androgen-deprivation therapy:ADT)群では、プラセボ+ADT群と比較して、全生存期間(Overall Survival:OS)が延長し、死亡リスクが30%減少したことをお知らせします。
これらのデータは、米国イリノイ州シカゴで開催される2025年米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)年次総会(6月3日(火)午前9時45分~午後12時45分、米国中部時間)において、口頭発表される予定です(抄録番号:5005)。
ARCHES試験の5年間の追跡調査におけるOSについて、高腫瘍量病変を有する患者(ハザード比 [Hazard Ratio:HR = 0.70, 95%信頼区間 [Confidence Interval:CI]:0.56-0.88)、低腫瘍量病変を有する患者(HR = 0.71, 95%CI:0.49-1.05)、ドセタキセル療法の前治療歴がある患者(HR = 0.67, 95%CI:0.43-1.05)、およびドセタキセル療法の前治療歴が無い患者(HR = 0.71, 95%CI:0.57-0.88)のいずれにおいても同様の結果が得られました。また、高腫瘍量病変を有する患者ではOSの中央値が36カ月延長しました。5年間の追跡調査における治療に関連する有害事象の発現率は、これまでのARCHES試験と同様の結果であり、新たな安全性シグナルは認められませんでした。
今回のARCHES試験の5年間にわたる追跡調査の詳細な結果については、近日中に査読付きの学術誌に投稿予定です。
上記、ARCHES試験の5年間の長期追跡調査データに加え、mHSPC患者を対象に、エンザルタミドと非ステロイド性抗アンドロゲン治療剤(non-steroidal anti-androgen:NSAA)(両剤に、ドセタキセルを併用あるいは非併用したADTを実施)を比較、評価したEMZAMET試験(NCT02446405)の8年間にわたる追跡調査のデータも、ASCO年次総会のポスターセッション(6月2日(月)午前9時、米国中部時間)で発表される予定です。シドニー大学がスポンサーになり、オーストラリア・ニュージーランド泌尿器・生殖器および前立腺がん試験グループ(Australian and New Zealand Urogenital and Prostate Cancer Trials Group Limited:ANZUP)が主導する独立した第III相EMZAMET試験では、mHSPCの患者における死亡リスクが低下しました。
ENZAMET試験ではmHSPCの患者にエンザルタミド+ADT(ドセタキセル併用または非併用)(エンザルタミド群)あるいは、NSAA+ADT(ドセタキセル併用または非併用)(NSAA群)の投与がなされ、がなされ, 追跡期間の中央値98カ月におけるOS中央値は、エンザルタミド群で8年、NSAA群で5.8年でした(HR = 0.73, 95%CI:0.63-0.86)。投与後96カ月時点での全生存率は、エンザルタミド群で50%、NSAA群で40%でした。また、無増悪生存率(progression-free survival:PFS)についても、エンザルタミド群がNSAA群よりも良好な結果を示しました(HR = 0.49, 95%CI:0.42-0.57)。全死亡者622名のうち468名が前立腺がんによるものであり、エンザルタミド群(207名)、NSAA群(261名)でした。その他の原因による死亡者数は合計154名であり、エンザルタミド群(78名)とNSAA群(76名)において同程度でした。平均治療期間については、エンザルタミド群(58カ月)がNSAA群(36カ月)よりも長く、33%の患者において、エンザルタミドが160 mg常用量で投与継続されていました。
XTANDITMは、現在、米国、欧州連合、日本を含む90カ国以上で承認されています。2012年に最初に承認を取得して以来、世界中で100万人以上の患者さんがXTANDITMによる治療を受けています。
以上
転移性ホルモン感受性前立腺がん(metastatic Hormone-Sensitive Prostate Cancer:mHSPC)について
転移性ホルモン感受性前立腺がんは、転移性去勢感受性前立腺がんとも呼ばれ、ホルモン療法に反応を示しながらも前立腺以外の部位(リンパ節、骨、肺、肝臓など)に転移した前立腺がんを指します。
ARCHES試験について
ARCHES試験(NCT02677896)は、国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験です。1,150名の転移性mHSPC患者を対象として、米国、カナダ、欧州、南米およびアジア太平洋地域において実施しました。本試験は、黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)作動薬または拮抗薬による治療を継続している、あるいは精巣摘除術の既往例を有する患者を対象に、エンザルタミド1日160 mg群またはプラセボ群に無作為に割り付けられました。本試験には、低腫瘍量病変と高腫瘍量病変の両方の患者、新たにmHSPCと診断された患者と、および根治的治療を受けた後に転移した患者が対象となりました。また、mHSPCに対して最近ドセタキセルによる治療を受け、病勢進行が認められなかった患者も対象となりました。本試験の主要評価項目は、画像診断上の無増悪生存期間(radiographic progression-free survival:rPFS)であり、これは無作為化から、中央判定による画像診断上の病勢進行が初めて客観的に確認された時点、または治療中止後24週間以内の死亡のいずれか早い時点までの期間として定義されました。最終解析における主要な副次的評価項目である全生存率に加えて、5年間の臨床的に意義のあるフォローアップで長期の全生存率をさらに定量化することを目的に5年間の事後解析が実行されました。ARCHES試験の詳細については、www.clinicaltrials.govをご覧ください
ENZAMET試験について
ENZAMET試験は、ANZUP Cancer Trials Group Limitedがシドニー大学NHMRC(National Health and Medical Research Council)臨床試験センターと共同で主導する試験で、オーストラリア、カナダ、アイルランド、ニュージーランド、英国、米国において実施されました。本試験では、mHSPC患者1,125名を対象に、エンザルタミドとアンドロゲン除去療法(ADT)の併用療法、または従来の非ステロイド性抗アンドロゲン剤(NSAA)とADTの併用療法を比較評価しています。本試験の主要評価項目は全生存期間(OS)です。ENZAMET試験(NCT02446405)の詳細については、www.clinicaltrials.govをご覧ください。アステラス製薬は、ENZAMET試験実施のために、資金やサポートを提供しました。
アステラス製薬株式会社について
アステラス製薬は、科学の進歩を患者さんの「価値」に変えることを目指すグローバルライフサイエンス企業です。私たちは、がんや、眼科・泌尿器疾患、免疫、ウィメンズヘルスなどの多様な領域において、革新的な治療法を提供しています。研究開発プログラムを通じて、アンメットメディカルニーズの高い疾患領域において新たなヘルスケアソリューションを開拓しています。
アステラス製薬の詳細については、www.astellas.comをご覧ください。
XTANDIに関するPfizerとアステラス製薬の提携について
2009年10月、現在はPfizerの子会社である Medivation, Inc.とアステラス製薬は、米国でXTANDITM(エンザルタミド)を共同で開発および商業化するための商業契約を締結しました。アステラス製薬は、米国外での商業化と、グローバルでの製造およびすべての追加の規制当局への申請を担っています。Pfizerは、米国での利益の一部であるアライアンス収益として受け取り、米国外での販売に対してはロイヤリティを受け取っています。
注意事項
このプレスリリースに記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述およびその他の過去の事実ではない記述は、アステラス製薬の業績等に関する将来の見通しです。これらの記述は経営陣の現在入手可能な情報に基づく見積りや想定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。さまざまな要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性があります。その要因としては、(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の遅延、(iv)新製品および既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(v)競争力のある新薬を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。