アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長CEO:岡村 直樹、以下「アステラス製薬」)は、AviadoBio(本社:英国ロンドン、CEO:Lisa Deschamps)と、遺伝子治療プログラムAVB-101の独占的ライセンスを得るオプション契約を締結しました。AVB-101は、プログラニュリン遺伝子変異を伴う前頭側頭型認知症(Frontotemporal Dementia with Progranulin Mutations:FTD-GRN)の患者を対象とした第I/II相試験を実施中の、アデノ随伴ウイルスベクター(Adeno-Associated Virus:AAV)を利用した遺伝子治療プログラムです。

 前頭側頭型認知症(Frontotemporal Dementia:FTD)は、診断から3年から13年で死亡に至る重篤な若年性認知症です。一般的に、FTD患者は実行機能(注意力、記憶力、問題解決能力など)の急速な低下、行動異常、言語能力の喪失、無関心、運動機能低下を示すことが知られています。FTDは、65歳未満の認知症の主な原因であり、十分に認知されておらず、誤診されることも少なくありません1,2,3,4

 本契約に基づき、アステラス製薬は、全世界におけるAVB-101のFTD-GRNおよびその他の適応症を対象とする開発・商業化に関する独占的なライセンスを得るオプション権を有します。アステラス製薬はAviadoBioに株式購入対価として2,000万米ドルと、最大3,000万米ドルの一時金を支払います。アステラス製薬がオプション権を行使した場合、オプション行使に伴う支払い、プログラムの進捗および売上高に応じたマイルストンとして最大21.8億米ドル、さらにロイヤルティをAviadoBioに支払う可能性があります。

 アステラス製薬の経営戦略担当CStO(Chief Strategy Officer)のAdam Pearsonは、「アステラス製薬は、研究開発戦略であるFocus Areaアプローチの中で、特に注力しているPrimary Focusの一つに『遺伝子治療』を掲げています。私たちは、AviadoBioとの提携を通じて、遺伝子治療パイプラインを拡充し、衰弱性の神経変性疾患に苦しむより多くの患者さんを支援できることをうれしく思います。AVB-101はFTD-GRN治療における革新的な遺伝子治療プログラムであり、今回の契約締結により、AVB-101を次世代の遺伝子治療薬として、患者さんに届けられることを期待しています」と述べています。

 AviadoBioのCEOであるLisa Deschampsは、「AVB-101の第I/II相ASPIRE-FTD試験の最初の患者群への投与が完了したこのタイミングで、本契約を締結し、FTD-GRNを対象とした私たちの有望な遺伝子治療プログラムと、アステラスのグローバルにおける遺伝子治療の開発・商業化に関する専門性が相乗効果を発揮し、アンメットメディカルニーズの高いFTD-GRNの治療薬を開発できる可能性が生まれたことをうれしく思います。FTD-GRNやその他の神経変性疾患に苦しむ世界中の患者さんに、新たな治療選択肢を一日でも早く届けられるよう、一丸となって取り組みます」と述べています。

 本件によるアステラス製薬の通期(2025年3月期)連結業績への影響は軽微です。

以上

アステラス製薬株式会社について
アステラス製薬は、世界70カ国以上で事業活動を展開している製薬企業です。最先端のバイオロジーやモダリティ/テクノロジーの組み合わせを駆使し、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品の創出に取り組んでいます(Focus Areaアプローチ)。さらに、医療用医薬品(Rx)事業で培った強みをベースに、最先端の医療技術と異分野のパートナーの技術を融合した製品やサービス(Rx+®)の創出にも挑戦しています。アステラス製薬は、変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの「価値」に変えていきます。アステラス製薬の詳細については、(https://www.astellas.com/jp/)をご覧ください。

AviadoBioについて
AviadoBioは、最先端のサイエンスと精密な薬物送達技術を駆使し、神経変性疾患に苦しむ患者さんの人生を変える治療法を追求しています。脳に対する深い理解と独自の遺伝子治療プラットフォーム、送達技術を活用し、適切な薬剤を適切な部位に届けるという課題を克服するために取り組んでいます。AviadoBioの革新的な神経解剖学に基づくアプローチは、遺伝子治療の治療効果を最大限に引き出し、神経変性疾患の進行を止める、あるいは好転させる可能性があります。AviadoBioは、ロンドン大学キングス・カレッジおよびUK Dementia Research Instituteの先駆的な研究を基に設立され、そのリーダーシップチームは、遺伝子治療の開発、送達、および商業化に関する豊富な経験を有します。
AviadoBioの投資家には、New Enterprise Associates(NEA)、Monograph Capital、F-Prime Capital、Johnson & Johnson Innovation – JJDC, Inc.(JJDC)、SV Health Investors Dementia Discovery Fund(DDF)、Advent Life Sciences、EQT Life Sciences(Dementia Fund)、およびLifeArcが含まれます。詳細は、www.aviadobio.com、X @AviadoBio およびLinkedIn at AviadoBioをご覧ください。

注意事項(アステラス製薬)
このプレスリリースに記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述およびその他の過去の事実ではない記述は、アステラス製薬の業績等に関する将来の見通しです。これらの記述は経営陣の現在入手可能な情報に基づく見積りや想定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。さまざまな要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性があります。その要因としては、(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の遅延、(iv)新製品および既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(v)競争力のある新薬を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。

参考文献:
1. Onyike CU and Diehl-Schmid J. Int Rev Psychiatry. 2013;25(2):130–137
2. Riedl L et al. Neuropsychiatr Dis Treat. 2014;10:297–310
3. Onyike CU. Neuroepidemiology. 2011;37:166–167
4. Kansal K et al. Dement Geriatr Cogn Disord. 2016;41:109–122

 

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