アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長CEO:安川 健司、以下「アステラス製薬」)は、Mogrify Limited(本社:英国ケンブリッジ、CEO:Darrin M. Disley、以下「Mogrify社」)と、感音難聴の治療薬創出を目指した再生医療に関する共同研究契約を締結しました。

 本共同研究では、Mogrify社のダイレクトリプログラミング*1に関する独自のプラットフォームを活用し、新たな蝸牛有毛細胞*2を生み出すため、感音難聴の細胞分化に関わる転写因子*3の新規組み合わせを同定することを目的としています。本共同研究において、Mogrify社は、自社のプラットフォームを活用して、化合物のスクリーニングおよび検証を行い、アステラス製薬は研究費を負担するとともに、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いた遺伝子治療に関する専門性と感音難聴における前臨床ならびにトランスレーショナル・リサーチの基盤技術を活用して、開発候補品の同定を目指します。

 全世界で推定15億7,000万人が難聴に罹患しており1、米国のデータによると、難聴者の10%以上が少なくとも片耳で高度から重度の感音難聴を発症しているとされます2。高度から重度の感音難聴は生活の質を著しく低下させますが、現在使用可能な治療薬はなく、高いアンメットメディカルニーズが存在します。

 Mogrify社のChief Scientific OfficerのLouise Modisは、「Mogrify社のヒトの遺伝子調節ネットワークに着目したアプローチは、優れた因子の組み合わせを同定することに適しており、目的とする耳の細胞へ直接分化させる効率が向上します。アステラス製薬の遺伝子治療および感音難聴研究におけるケイパビリティと組み合わせることにより、新規治療法の開発につながります」と述べています。

 アステラス製薬のGene Therapy Research & Technical OperationsのSenior Vice PresidentであるMathew Pletcherは、「今回の共同研究は、アステラス製薬のAAVをベースとした遺伝子治療に関する専門性と、『聴覚再生』『ダイレクトリプログラミング(分化転換)』の研究領域で培ってきた耳科学におけるケイパビリティを組み合わせた取り組みです。共同研究によって、アンメットメディカルニーズが高い感音難聴の治療薬創出につなげられることに期待しています」と述べています。

 本件によるアステラス製薬の業績への影響は、通期(2023年3月期)連結業績予想に織り込み済みです。

以上


*1 ダイレクトリプログラミング:多能性幹細胞を介さずに体細胞から目的とする分化細胞に直接誘導させること。
*2 蝸牛有毛細胞:内耳にあり、音刺激を電気信号に変換し、音として知覚している。
*3 転写因子:DNAに特異的に結合するタンパク質で、遺伝子の発現を調節する。標的の遺伝子に応じて多様な種類や組み合わせがある。

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