アステラス製薬株式会社(本社:東京、以下「アステラス製薬」)は、FLT3(FMS-like tyrosine kinase 3)阻害剤gilteritinib(一般名、製品名:XOSPATA®、以下「ギルテリチニブ」)について、中国の国家薬品監督管理局(National Medical Products Administration:NMPA)から、十分検証された臨床検査によりFLT3遺伝子変異が確認された成人の再発または難治性の急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukemia: AML)に対する治療薬として、条件付き承認を取得しました。ギルテリチニブは、2020年7月にNMPAから優先審査の指定*1を受け、さらに2020年11月に第3回「緊急臨床ニーズのある海外新薬リスト」へ掲載*2された後、迅速承認されました。ギルテリチニブは、成人の再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性AMLを適応症としてNMPAが初めて承認したFLT3阻害剤です。

 ギルテリチニブは、FLT3遺伝子内縦列重複変異(Internal Tandem Duplication:ITD)、およびチロシンキナーゼドメイン変異(Tyrosine Kinase Domain:TKD)の2種類の変異に対する阻害活性を示します。AML患者の約30%に見られるFLT3-ITD変異*3は、野生型のFLT3に比べ、再発するリスクを高め、全生存期間を短縮させることに関連しています*4,5。また、FLT3-TKD変異はAML患者の約7%に見られます*3FLT3遺伝子変異の有無は、AML治療の過程、および再発後においても変化する可能性があります。再発時にAML患者のFLT3遺伝子変異の有無を確認することは、最善の治療を行うために役立つ情報となります*6

 AMLは血液と骨髄に影響を及ぼすがんであり*7、その罹患率は年齢とともに増加します*8。AMLは、成人の白血病の中で最もよく見られる分類の一つです*9。中国では毎年約80,000人が白血病と診断されると言われています*10

 このたびの承認は、New England Journal of Medicineに掲載された第III相ADMIRAL試験の結果に基づいています。本試験における全生存期間(中央値)は、救援化学療法*11群の5.6カ月に対し、ギルテリチニブ投与群は9.3カ月と有意な延長が認められました*12(ハザード比=0.64(95%信頼区間 0.49, 0.83), P=0.0004)。また、現在進行中の第III相COMMODORE試験における中国人患者の薬物動態データも合わせて審査されました。

 ギルテリチニブの安全性評価は、ギルテリチニブ120 mg /日の投与を一回以上受けた再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性AML患者319例を対象に行われました*12。ギルテリチニブ投与群で、グレードを問わず10%以上の患者に発生した有害事象は、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)増加(25.4%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)増加(24.5%)、貧血(20.1%)、血小板減少症(13.5%)、発熱性好中球減少症(12.5%)、血小板数減少(12.2%)、下痢(12.2%)、悪心(11.3%)、血中アルカリホスファターゼ増加(11%)、疲労(10.3%)、白血球数減少(10%)、および血中クレアチンホスホキナーゼ増加(10%)でした。ギルテリチニブ投与群の1人に致死的な有害事象である分化症候群がみられました。また発生頻度の高い(3%以上)重篤な有害事象は、発熱性好中球減少症(7.5%)、ALTの増加(3.4%)、およびASTの増加(3.1%)でした。その他の重篤な有害事象には、心電図のQT延長(0.9%)および可逆性後頭葉白質脳症(PRES)(0.3%)が含まれています。

 アステラス製薬は、再発または難治性のAML患者さんとその治療に携わる医療関係者に、NMPAが迅速審査により承認したXOSPATA®を新たな治療選択肢として提供することにより、中国におけるAML治療に一層の貢献をしていきます。

 なお、本件によるアステラス製薬の業績への影響は、通期(2021年3月期)連結業績予想に織り込み済みです。

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