-遺伝子治療分野でのリーディングポジション確立に向けた重要なステップ-
-リードプログラムのAT132が第I/II相臨床開発段階-
-2020年の第1暦四半期に買収完了予定。Audentes社を完全子会社化-
アステラス製薬株式会社(本社:東京、以下「アステラス製薬」)は、米国のバイオテクノロジー企業 Audentes Therapeutics, Inc.(NASDAQ:BOLD、本社:米国カリフォルニア州、Chairman and CEO:Mathew R. Patterson、以下「Audentes社」)との間で、アステラス製薬がAudentes社を買収することで合意し、12月2日(日本時間)に契約を締結しました。
また、当社は本契約に基づき、米国持株子会社アステラス US ホールディング Inc.(本社:米国イリノイ州)の 100%子会社である Asilomar Acquisition Corp.(以下「Asilomar社」または「公開買付者」)を通じて、 Audentes社に対して、現金による株式公開買付け(以下「本公開買付け」)およびそれに続く現金を対価とする合併(以下「本買収」)を実施します。
本公開買付けは、Audentes社が発行済みの全ての普通株式を一株当り60.00米ドルの現金を対価として取得するものです。これは、Audentes社株式の2019年12月2日終値(28.61米ドル/株)に対して110%のプレミアムを加えた価格となり、総額は約30億米ドルとなります。また、Audentes社の取締役会は、本公開買付けへの応募をAudentes社株主に推奨する旨の決議をしています。
1. 本買収の目的等
(1) 本買収の目的
アステラス製薬は、「Focus Area アプローチによる価値創造」を経営計画2018における戦略目標の一つに掲げ、バイオロジーとモダリティ/テクノロジーの独自の組み合わせを見出し、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品の創出を目指しています。現在、4つのPrimary Focusを特定し、優先的に経営資源を投下していますが、「遺伝子治療」をそれらに続く有望なPrimary Focus候補と位置付け、遺伝子治療薬の研究開発に取り組んでいます。
Audentes社は、希少かつ重篤な神経筋疾患を対象に、アデノ随伴ウイルス(AAV)に基づく遺伝子治療薬の研究開発に注力するバイオテクノロジー企業であり、AAVを活用した独自の遺伝子治療薬の技術プラットフォームや治療薬を自前で製造することができる高い能力を有しています。また、有望な遺伝子治療プログラム群からなるパイプラインを構築しており、特に、X染色体連鎖性ミオチュブラー・ミオパチー(XLMTM)を対象とするAT132は、同社のリードプログラムとして現在、第I/II相臨床開発段階にあります。
Audentes社の買収は、Focus Area アプローチを一層推進し、遺伝子治療を当社の新たな成長領域に進化させていくための重要なステップです。本買収の戦略的意義は以下の通りです。
- 極度の筋力低下、呼吸不全および早期の死亡という特徴を有する重篤で生命に関わる希少な神経筋疾患であるXLMTMを対象に開発されているAT132による、近い将来における当社の成長機会の獲得
- Audentes社のAAVに基づく遺伝子治療薬の技術プラットフォーム、大規模な自社製造能力および神経筋疾患の研究開発に関する知見と、アステラス製薬の研究開発力およびグローバルでの事業基盤を融合させることにより、遺伝子治療プログラムの強固なパイプラインの構築と開発のスピードアップ
- Audentes社の製造能力、患者団体や学術的なパートナーなどとの貴重な人的ネットワークの取り込みによる、遺伝子治療の領域におけるパートナリングやパイプライン拡大の機会創出
アステラス製薬の代表取締役社長CEOである安川 健司は、「遺伝子治療の分野における科学的・技術的な革新により、患者さんにこれまでにない持続的価値がもたらされ、さらには一回の治療で疾患を根本的に治療できる可能性が高まっています。Audentes社は、XLMTMを対象とするリードプログラムのAT132をはじめ私たちのパイプラインを補完する有望なプログラム群を有しています。当社は今後、Audentes社の優れたチームとともに、希少かつ重篤な疾患を有する患者さんのアンメットメディカルニーズに応えていくために、遺伝子治療の領域においてリーディングポジションを確立していきます」と述べています。
また、Audentes社の Chairman and CEO である Matthew R. Patterson は「このたびのアステラス製薬との契約合意を大変嬉しく思います。革新的な科学にフォーカスし、研究開発から商業化までのグローバルネットワークを有するアステラス製薬の一員となることで、私たちは遺伝子治療プログラムの開発を着実に進展させ、患者さんに貢献することができると確信しています」と述べています。
(2) 二段階買収に関する事項
本公開買付け終了後、Asilomar社とAudentes社は、Audentes社を存続会社として合併し、Audentes社は当社の連結子会社となる予定です。
2. 本公開買付け等の概要
(1) 買付期間(予定)
最初の買付期間は、今後数週間以内に開始され、開始後 20 営業日で終了します。
特定の状況下において買付条件が充足されない場合は、買付け期間を延長することがあります。
(2) 買付けを行う株券等の種類
普通株式
(3) 買付価格
普通株式 1 株あたり60.00米ドル
注)買付価格は、Audentes社の業績見通し、パイプライン、保有技術の潜在的価値、当社の遺伝子治療プログラムとのシナジー等を総合的に勘案しつつ、第三者の専門家からの助言などを参考にし、Audentes社との交渉を経て決定しています。
(4) 買付けに要する資金
約30億米ドル
Audentes社全発行済株式の買付け、オプション、Restricted Stock Unit等その他証券に関する支払いを行うために要する金額を記載しています。なお、本買収にあたっては、買収を目的として当社が有する貸付けファシリティ等を活用した銀行借入れによる資金調達を予定しており、資金調達は本買収が成立するための条件とはなっていません。
(5) 買付けの条件
本公開買付けは、米国独占禁止法に基づく承認、およびAudentes社の発行済普通株式の 50%超の株式が応募されること、その他同種の取引に通常規定される各種条件を満たすことを前提に行われます。
(6) 下限応募株式数
公開買付者は、Audentes社の発行済普通株式の 50%超の株式の応募があった場合に買付けを行います。
3. 本公開買付けによる当社保有の Audentes社株式数の異動
本公開買付け前保有株式割合 0%
本公開買付け後保有株式割合 100%(*)
* 本公開買付けにより、Audentes社株式の 100%を買い付けることができた場合
4. 対象会社の概要
①名称 | Audentes Therapeutics, Inc. | |||
②所在地 | 600 California Street, 17th Floor, San Francisco, CA 94108, US | |||
③代表者の役職・氏名 | Chairman and CEO: Matthew R. Patterson | |||
④事業内容 | 遺伝子治療技術を活用した医薬品の研究開発 | |||
⑤連結純資産 | 383,459千米ドル(2019年9月30日時点) | |||
⑥設立年 | 2012年設立 | |||
⑦発行済株式総数 | 45,857,989 株(2019年11月29日時点) | |||
⑧上場会社と対象会社の関係 | ||||
資本関係: | 当社と対象会社の間には、記載すべき資本関係はありません。 | |||
人的関係: | 当社と対象会社の間には、記載すべき人的関係はありません。 | |||
取引関係: | 当社と対象会社の間には、記載すべき取引関係はありません。 | |||
関連当事者への該当状況 | 対象会社は当社の関連当事者には該当しません。 | |||
⑨対象会社の最近3年間の連結経営成績および連結財政状態(**) | ||||
決算期 | 2016年12月期 | 2017年12月期 | 2018年12月期 | |
連結純資産(千米ドル) | 119,371 | 156,598 | 442,754 | |
連結総資産(千米ドル) | 142,057 | 178,662 | 472,555 | |
連結売上高(千米ドル) | - | - | - | |
連結当期純利益 (千米ドル) |
(59,668) | (90,238) | (128,821) |
** Audentes社が米国取引委員会 (SEC)に提出した Form 10-K から引用
5. 今後の見通し
本公開買付けおよび本買収による当社の通期(2020 年 3 月期)連結業績への影響については、現在、精査中です。
6. 財務および法務アドバイザーについて
当社の財務アドバイザーは 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社/Morgan Stanley & Co. LLC、法務アドバイザーは Covington & Burling LLP です。
Audentes社の財務アドバイザーは Centerview Partners LLC、法務アドバイザーはFenwick & West LLPです。
本公開買付けに関する詳細情報については、米国証券取引委員会(SEC)のウェブサイト(http://www.sec.gov)に掲載される予定です。
以上