アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長CEO:安川 健司、以下「アステラス製薬」)は、Seattle Genetics, Inc.(以下、「Seattle Genetics社」)と共同で開発を進めている抗体-薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate:ADC)エンホルツマブ ベドチン(遺伝子組換え)(一般名、以下「エンホルツマブ ベドチン」)について、第I相試験(EV-103試験)の最初の結果を発表しました。今回の解析では、未治療の局所進行性または転移性尿路上皮がんで、シスプラチンによる化学療法に不適応の患者45例を対象に、エンホルツマブ ベドチンと免疫チェックポイント阻害剤ペムブロリズマブの併用による安全性を評価しています。今回の解析で安全性に関わる主要評価項目が達成され、白金製剤が不適応の患者に対する一次治療としてのペムブロリズマブ併用による有望な臨床効果が示されました。この結果は、バルセロナで開催されている2019年欧州臨床腫瘍学会(European Society for Medical Oncology Cancer Congress: ESMO)で口頭発表されました(Abstract #901O)。

 今回の安全性評価では、患者の51%(23/45例)に重症度がグレード3以上の有害事象が認められました。これらのうち最も頻度の高い有害事象はリパーゼの増加で13%(6/45例)でした。薬剤に関連した有害事象により9%(4例)が治療を中止し、このうち最もよく見られたのは末梢性感覚ニューロパチーでした。また、多臓器不全症候群に起因した薬剤に関連すると考えられる死亡が1例ありました。

 臨床的に注目される薬剤に関連した有害事象のうち、重症度がグレード3以上のものは、発疹11%(5/45例)、高血糖7%(3/45例)および末梢神経障害4%(2/45例)で、エンホルツマブ ベドチンの単剤療法で認められたものと同様でした*1。ステロイド剤の全身投与を必要とする重症度がグレード3以上の臨床的に注目される免疫関連の有害事象が患者の11%(5/45例)で発現しました(肺炎、水疱性皮膚炎、高血糖、尿細管間質性腎炎、重症筋無力症)。臨床的に注目される有害事象に重症度がグレード5に該当するものはありませんでした。

 副次評価項目では、エンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブの併用により、多数の患者で腫瘍縮小が認められ、全奏効率は71%(32/45例、95%信頼区間:55.7‐83.6)でした。完全奏効率は13%(6/45例)でした。患者の58%(26/45例)に部分奏効、また、22%(10/45例)に病勢の安定が認められました。また、91%の患者が最初の評価時点で奏効が観察されました。

 University Hospitals Seidman Cancer Centerの Genitourinary Oncology Case Comprehensive Cancer CenterのDirectorであるDr. Christopher J. Hoimesは「進行性尿路上皮がんは予後不良の疾患であり、特に一次治療においてシスプラチンに不適応の患者には、さらなる治療選択肢が求められています。今回の解析で、エンホルツマブ ベドチンと免疫チェックポイント阻害剤ペムブロリズマブの併用について今後の開発を支持する有望なデータが得られました」と述べています。

 エンホルツマブ ベドチンは、ほぼ全ての尿路上皮がん細胞に存在し、がんの形成に関連するタンパクであるネクチン-4を標的とするファーストインクラスのADCです*2。米国では、術前または術後の補助化学療法として、あるいは局所進行または転移した状態において、白金製剤およびPD-1またはPD-L1阻害剤による治療歴のある局所進行性または転移性尿路上皮がんの患者さんに対し承認申請しています。

 本件については、米国において現地時間9月28日に対外発表しています。

 なお、日本において、局所進行性または転移性上皮がんに対するエンホルツマブ ベドチンの適応は未承認です。

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